イスラエルのネタニヤフが5月9日のロシアの対ナチス戦勝記念日、通称ビクトリーデーに参加したことの意味、示唆、象徴を書こうとして書けないでいる私。
ネタニヤフは単なる一時期のイスラエルの首脳であるのみならず、親子三代みっちりシオニストという家の人で、しかも、そもそもの出身地はロシア帝国支配下だったポーランドからリトアニアにかけてという場所なので、シオニスト運動とロシア帝国の関係のところから、大戦、ロシア革命、二回目の大戦から東欧諸国から出て来たユダヤ人がイスラエルという国を作って、蛮行を働いて国際社会的に表面上は強いがとことん忌み嫌われる存在になるまで全部に関わっている人と言っていいと思う。
ついでにいえばポーランド時代の名前はミリコウスキー(Milikowsky)さん。ネタニヤフというのは改名したヘブライ語的な名前。
ということで、話が大きすぎて書けないでいる私だがそうしている間にも時間が経ってしまうので、とりあえず5月9日のビクトリーデーのもう一つのハイライトである「不滅の連隊」にもネタニヤフとセルビアのヴチッチ大統領が参加していた写真を貼りながら多少は頭の整理をしてみたい。
今年の不滅の連隊はモスクワで100万人ぐらいの人出となっていた模様。
不滅の連隊とは、2015年に書いた通りこういうもの。
Immortal Regiment(不滅の連隊)とかいう名前で行われたこの催しでは、みんなして自分のお祖父さんやらお父さん、お母さん等々大祖国戦争で亡くなった家族の写真を掲げてる。TASSによればこの日このようにして外に出たロシア人は1000万人を超えるという話。800万だったか? どっちにしてもすごい数だけど、大祖国戦争では2700万人ぐらいが亡くなっているので、ほとんどすべての家族で誰かしら亡くなっているというのは嘘でもなんでもないでしょう。
「不滅の連隊」
毎度プーチンもおとうさんの写真を持って外に出ている。
今年は、ネタニヤフ首相もヴチッチ大統領も写真持って出て来た。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/07/b9d357a65e86b46547e6a92b93de36f9.jpg)
http://en.kremlin.ru/events/president/news/57440
で、ネタニヤフが持ってるのはお父さんの写真なんだろうか? いやしかし肩章がついてるから将校のように思える。がネタニヤフの父ちゃんは軍人ではない。
つい何年か前に亡くなったと記憶するが最終的には学者さん枠と言っていい人だと思う。もっと線の細い顔をしていたようにも思うが、顎の線が張ってない、やや逆三角形的な感じがお父さんかもしれないという気配はそこはかとなくあるといえばある。おじいさんはラビだから軍人ではないだろう。
誰なんだろう、ってか制服はどこの?ポーランド軍か?
わからない。わからないんだが、わかるのは、ネタニヤフの一族はドイツとロシアの間にある土地に深く根差した人だということ。
そして、イスラエルにはソ連崩壊時ソ連からイスラエルにいってイスラエル国籍を取った人々が多数いると言われているんだが、その前に、そもそもシオニスト運動を展開して、当時のイギリスの監督下にあったパレスチナに移住していった人々の中には、本人の決心次第ではソ連に残り今頃ロシア人になっていた可能性のある人たちが多数いる。
と、こうやって書いていくと、だから地中海東岸に東欧人が多数いる権利ないだろ、イスラエル消えろ、みたいな話に流れそうだが、いや流れたっていいんだが、流れようが流れまいがこれも一つの歴史なので間違ってるから消しましょうというわけにはいかない。ビデオゲームじゃないんだから。
が、しかし、今のイスラエルの蛮行をこのままにしておくわけにもいかないし、パレスチナ人をあのままにするわけにはもっといかない。
そこでどうしたらいいでしょうかというフェーズがかれこれ30年ぐらい前にもあったが何もできず、むざむざとパレスチナ人を死に追いやっただけの時間が過ぎた。
これからどうなるのか私にはわからないし、目に見えて実行可能なピクチャーを持った人は誰もいないだろう。
だがしかし、ネタニヤフがプーチンと行動を共にすることによって、今まで可視化されていなかったことが可視化されていることは、今後に繋がるのではないかと私は思っている。
それはこういうこと。
で、ですね。過去30年ぐらい、世界中の学生は教科書を通じてホロコーストを教えられ、ユダヤ人差別を嘆き、もうあってはならないと教えられるわけです。
であれば、その悲劇の当事者を代表するユダヤ人の集団が、ソ連赤軍がナチを打倒し、反攻に転じた過程で多数のユダヤ人が救われたという事実を喜んでいるのなら、一緒に喜ぶのが筋ではあるまいか?
にもかかわらず、ネタニヤフがこう語っても、世界の主要メディアはそれを伝えないわけですよ。それどころか、曲解して、だからイランの脅威に立ち向かうのだみたいなバカなことを書いているイスラエルの新聞まで出てくる始末。
ナチズム打倒においてソ連が果たした役割を決して忘れない by ネタニヤフ
この現象からわかることは、ホロコーストを「布教」しまくってる人々とイスラエルに住むユダヤ人の動向は必ずしも同じではないようだ、ということでしょう。
アンネ・フランクはオランダのケースですからね。それは該当しないと言ってるんじゃないですよ、もっとずっと比較にならないスケールの出来事が東部にあったことを伏せていることが問題だと言っているんです。
そして、その桁違いに大きな出来事の大まかにいえば偽の帰結が現在のイスラエル。ここには、ソ連を裏切った一群の人たちの問題も入る。これも調べなきゃだ。
ということなので、シオニストのユダヤ人の重鎮がモスクワでロシアの代表者と会った意味は、歴史をほぐしていく試みには違いないし、過去200年ぐらいのスパンで見た時にそこにあるのはどういうピクチャーなのか、どういうネットワークなのかを探り当てる試みでもあると思う。そうでないと解けないものがある。
シオニスト側も問題だけど、サウジ王家なんてものをこしらえたおかげで、アラブ人がちゃんとパレスチナの面倒を見られなかったという経緯も重大だと思う。エジプトとかアメリカの援助ですっかり牙を抜かれちゃいましたという展開だったりもするわけだし。
さらにはアラブを超えたイスラム地域はいつのまにかムジャヒディーンを出して、戦後の一時期確実に大きな勢力としてパレスチナ側を庇っていたソ連を襲撃した。
ロシアがイスラム側の自律性を促して、側面支援を心がけているように見えるのは、そういう背景は俺らのせいじゃないからさ、というところなんだと思う。
その背後に多くのロシア人とユダヤ人の支持がある。。
イスラエルの中東政策が何であれ彼らが多くの過去を共有している事実は重たい。
その過去をパレスチナの人に押し付けるのはどこから来るのだろうか。
中東の問題を解決するのはロシアだね。
もしかするとユダヤ人の問題もだ。
それにしてもナチスドイツの罪は深い。
ヨーロッパの闇をユダヤ人が背負う必要ないが
彼らはどこかでそう思ったのだろうか?
歴史を共有しているというのは実際個人間のヒストリーを共有しているケースが多いから、たとえ場合場合に敵同士でも分かり合えるものがあるということなんでしょうね。
ナチスは一体誰が仕組んだんだという点が問題だと思います。その意味では大半のドイツ人も被害者のようなもの。だからこそ、ロシアは「対独」ではなく「対ナチ」といい続けていると理解してます。
https://www.youtube.com/watch?v=AaNjPAFD-UI&t=1s
https://www.youtube.com/watch?v=HcV8-I_zgC8&t=1s
https://www.youtube.com/watch?v=zQbxN_c3tMY&t=1s
パルヒョーノフという有名なジャーナリストの作品です。特定の政治的意図はなく、ロシアのユダヤ人の歴史を語ってくれています。この人もあの人もユダヤ人、或いはユダヤ系だったのかと驚かされます。
ロシアでは確かにユダヤ排斥はあったのでしょうが、それにしても19世紀以降のロシアの歴史はユダヤ人抜きでは考えられません。スポーツ部門以外、特に頭脳、感性を使う分野でのユダヤ人勢力の大きさには驚きます。それと平行して小生が強調したいのは、「ロシアの魂」を表現する作家、歌手、演奏家にユダヤ人でも誰でも受け入れ、ロシアの偉人とするロシア土着の寛容さです。ロシア語で表現できれば誰でもロシア人だということです。
いえいえ関係大ありだと思います。その土壌があってこそのロシアにとってのユダヤ人ですから。
おっしゃる通り19世紀あたりは特にそうですね。そして私もロシアという地の多様と豊饒、そして勇気にしばしば驚かされます。
なんで勇気かというと、例えば今のトレンドだったらすべて悪いのはユダヤ人だ、みたいなことを言うと英米圏を含めた西側の人たちと同じ目線で誰かを悪魔化できて都合がよかったりする。
ところが、そういうことじゃないだろうと言う人が出て来る。これは勇気が要ることも多くある。しかしロシアにはいる。これが多様と豊饒への鍵になってるなとも思うわけです。
映画はプロパガンダでもあるわけですが(特にアメリカは)最後はそういうメッセージで終わってますね。
>と、こうやって書いていくと、だから地中海東岸に東欧人が多数いる権利ないだろ、イスラエル消えろ、みたいな話に流れそうだが、いや流れたっていいんだが、流れようが流れまいがこれも一つの歴史なので間違ってるから消しましょうというわけにはいかない。ビデオゲームじゃないんだから。
https://www.youtube.com/watch?v=lh9-h4mTVLc
このタイトルは、「独ハンブルグのウクライナ領事は反ユダヤ主義者で第三帝国信奉者であることが判明」ヴェルマハトの歩兵の鉄兜をかぶった自身の写真とか、バビヤールはなかったとか、反ファシストに死を!とか、を満載したfacebookの存在が明るみになり、「いいね」を押した「お友達」の多くは大使を含む外交官だったというスキャンダルです。これを掘り出してきたのはウクライナ人のシャリーというジャーナリストで、マイダン後「西欧の何処か」に逃げ、現在はロシアで大人気ブロガーです。毎日2~3本の10分程のビデオをアップしていますが、それぞれに50万程度の視聴回数と数千のコメントが寄せられています。(ロシアでの政治に対する関心の高さはかなりのものです)僕は彼がナバリヌイをおちょくるのを大変気に入って、よく見ています。ウクライナ情勢を知る上でも非常に役立つと思います。このウクライナ領事の件のビデオは、「正確な」英独仏の字幕が付いていますのでお薦めです。
https://www.youtube.com/watch?v=xiB_iQ5RNq4
https://www.youtube.com/watch?v=5YN1U3GD0Gc