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帝国の指令が届かない

2019-03-07 16:29:37 | アジア情勢複雑怪奇

いやなんか面白い出来事が一杯ある今日この頃といった激動の時代でございますね。マジで、冷戦期に大人で90年代に人生終わった人って気の毒だわ、とか思う。統制が行き過ぎていて狂った羅針盤で生きてたようなもの。

 

大きな話ではないのだが(いや枠組みとしては大きいが)、トルコのエルドアンがまたまた笑わせてくれてていいわぁ。

S-400という防衛システムをロシアから購入すると決定してそれだけでも口あんぐりの驚き事件だったが、既に設置も間近。だというのにペンタゴンはずっと水面下でトルコに嫌がらせをしたり、重大な結果を招くぞと脅しをかけたりしていた。が、エルドアンも閣僚も屈せず、今日のひとことは、

「俺たちは独立国であり、奴隷ではない」

We’re an independent country, not slaves.

 ‘We aren’t slaves’: Erdogan defies US pressure over S-400 deal with Russia, says S-500 may follow 

https://www.rt.com/news/453206-s400-deal-erdogan-slave/

 

(S-400の取引は)既に決まったもの。戻るとか絶対ない。そんなの道徳的じゃない、不道徳だって話。吐き出したものを舐めろと俺らに命令する権利は誰にもない、みたいなもう、ヒートアップしまくり。

 

エルドアンはそもそもトルコという土地柄もあり、CIAでもペンタゴンでもみんな知ってますという人。そしてシリア壊滅作戦に入っていたある意味、悪い奴筆頭格みたいなおじさん。しかし、2015年10月のシリアへのロシア・イランの介入を受けて、もはやこりゃアカンな、と思い定めたものか、そこからプーチンロシアに説得され、トルコストリームが来て、ロシアとの貿易を考えさせられ、クーデーターがあり、と幾多の困難を乗り越えて今やS-400を購入して、独立国トルコの確立に邁進している。

トルコの豹変によって戦局は大きく変わったんだから、佐々木道誉のようだ、と思ってみているといい気がする。風流かどうかはわからんけど。

 

そういう食えないキャラとは趣を異にするが、実のところここまでで最も大きく帝国のお達しを聞いてないのはインドではあるまいか。

トルコと同じくS-400購入も確定しているが、これはもともとソ連製の兵器を大量に持ってるインドとしてはそんなに驚きではない。

最近の動向としては、アメリカがイランと取引するなといっても取引を続け、ベネズエラとの取引をするなと言われても、べネズララ原油の輸入量を増やしている展開が目覚ましい。それを西側メディアがこぞって殴り込みをかけないというところが、さらに興味深い。

そういうことで、それでは示しがつかないと思った米財務省はインドに懲罰措置としてGeneralized System of Preferencesのステータスをはく奪した。これは多分、米の国の仕事に入れるとか、関税を低くするとかそういうステータスなんじゃないかと思う。だから、調達業務に関わってるインド企業からすれば不満のでるところ。が、インドは現在のところ静観してる。

‘No knee-jerk reaction’: India says impact of US withdrawal of trade benefits will be limited 

https://www.rt.com/business/453032-india-us-trade-benefits-retaliation/

 

あるブロガーが計算したところでは、ベネズエラ産原油は品質の問題もあってその他の一般的な湾岸産などに比べて安価なので、米の制裁の影響の少なくとも半分は元が取れる、みたいな感じらしい。

それはともかく、インドの動向には当然ながら、インド・ロシア・中国の3国の話し合いなどもあるだろうと考えるべきで、その中でもロシアの影響は大きい。現在はさらに大きい。なぜなら、カシミール問題再燃で現在パキスタンと実弾飛ばした状態にあるから。

こういう場合、インドはロシアにモラルサポートしてほしい。パキスタンは、アメリカの支配が濃く、かつ、中国のマブダチみたいな国だから。

にもかかわらず、カシミールで事が起こった時、ロシア外務省は最初静観して、次に、ロシアは仲介の用意があると中立の立場を表明したというので、インドの一部(特に軍事関係者だろうと思う)は、ギクッとなっていた模様。ロシアメディアがパキスタン寄りだと騒いでいる一群もいた。

他方で、アメリカの方は現在アフガン撤退戦略に人員を割かれている状況で、当然のことながらこの戦略には海のあるパキスタンの協力がとても重要。「インド・太平洋軍」とかいってインドを引っ張ろうと懸命の努力を重ねている事情もある。だから、へんな関わり方をしたくない。つか、できない。

ということで、ここらへんの揉め事はSCOマター、あるいはロシア・中国・インド(RIC)3国マター、しかし事実上中露の仲介になる/なってるんじゃないかと想像する。

 

そんな中、ヨーロッパではイタリアが正式に一帯一路構想を支持して参加しようとしている模様。

Italy is planning to formally back China’s multi-trillion-dollar Belt and Road Initiative (BRI). It would become the first G7 nation to join the ambitious project which promises to significantly boost global trade. 

https://www.rt.com/business/453133-italy-join-china-belt-road/

驚きは全然ないがこれは興味深い。フランス側じゃなくてアドリア海はさんでバルカン側の動向に影響するでしょう。

 

中東では、カタールがS-400購入に前向きらしい。カタールが持ってどうするんだろうかと謎といえば謎だが、この動きにサウジは不快感を示す。そこで、カタールは、お前に関係ねーだろうと応じている模様。

"None Of Their Business": Qatar Blasts Saudi Objections To Possible Russian S-400 Purchase

https://www.zerohedge.com/news/2019-03-04/none-their-business-qatar-blasts-saudi-objections-doha-seeking-russian-s-400

 

だんだんS-400が、SCO(上海協力機構)の標準装備であるところを超えて、帝国からの独立の証、みたいな意味を持ってきた気がする(笑)。

実際、制空権確保に寄与するからまんざら嘘でもないとも思うが。

 

ベネズエラでは、ドイツ大使が「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからぬ人物)」指定を受けて国外退去を求められている。

Venezuela to expel German ambassador for meddling in internal affairs

https://www.reuters.com/article/venezuela-politics-germany/venezuela-to-expel-german-ambassador-for-meddling-in-internal-affairs-idUSL1N20R17G

マドゥロ政権は、グアイドがコロンビアだのブラジルで支援を求めベネズエラに帰国する際、外観誘致などの罪状で逮捕できる可能性が特大にあるとみんな思っている中、通常の市民として通した。

アメリカ側は、グアイドになんかあったらしょーちしねーと騒ぎつつ、手下の国の外交官たちにグアイドを囲むようお願いしていた。で、ホントにやったらしいドイツ大使が、ベネズエラ国の内政に不当な干渉をしているとマドゥロ政権から国外追放を言い渡された。

それを受けてグアイドは、ドイツ大使さん帰らる必要はない(俺が大統領だ)と言っている模様だが、ドイツはどう出るんだろうか。バカを晒すに10ユーロかけてみたい(笑)。

帝国側の反応としては、ベネズエラの公務員80人のビザを停止(米国入国禁止)、また、ホワイトハウスが、各国の(外国の)金融機関にベネズエラと取引をすると米国は制裁をかける可能性がある、と脅している。

The United States is putting foreign financial institutions on notice that they will face sanctions for being involved in facilitating illegitimate transactions that benefit Nicolas Maduro and his corrupt network

https://www.rt.com/news/453182-bolton-threaten-foreign-institutions/


2005年にはこれで北朝鮮が資金ぐりがつかなくなって大変なことになったわけだが、そこから14年、みんな対策をたてきたなぁってところ。中露という懐の深いところがあるだけでなく、考えてみればわかるが、北朝鮮サイズの1国だから一方的な制裁も効くが、ロシア・中国・インド・イラン・トルコが結託して反抗した場合、アメリカ1国が不用意に金融制裁などしたら、困るのは当該国と取引してる西側勢になる。

上に政策あれば、下に対策ありといった感じで、まさしく帝国、統治に苦しむ、の構図だわ。


 


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3 コメント

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ロシアにも (И.Симомура)
2019-03-08 04:04:53
”上に政策あれば、下に対策あり”で,ハルビン学院出身O先生の「上に権力の闇,下に闇の権力」を思い出しました.賭けビリヤードの好きな方で,大陸育ちの飄々とした紳士でしたね.誘拐事件の犯人の出身地を録音の声だけで同定できました.
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少佐ハリーロフが見えます (И.Симомура)
2019-03-09 03:35:05
ロシア嫌いの女房が出張っており,心置きなくロシア映画を見ていましたらhttps://www.youtube.com/watch?v=stmX4m2g0sg музыкальное оформление воинских ритуалов. МО СССР 1982г. 13:05, 16:43, 18:54, 20:35, 21:10に若き日のハリーロフ少佐の姿を見つけました.泣けてきます.
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ありがとうございます (ブログ主)
2019-03-09 14:06:50
Симомураさん、

見ました。ご紹介ありがとうございます。泣けてきます、ほんとに。
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