DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

ファシズムというより第2次占領期になってる気がする

2019-05-26 22:12:17 | アジア情勢複雑怪奇

トランプが大相撲を観戦したというのを国技館のあたりから中継するテレビを見ていて、この女、キャバクラとかバーのチーママだよなとか思ってそっちの方に気がいった。アナウンサーのことね。

で、チーママが何をそんなに興奮しているのかというと、トランプ大統領様が安倍首相様とご一緒に相撲をご観戦になられたから。

そして、チーママによれば、どうしてトランプ様があと1月も立たないうちに安倍ちゃんとまた会うのに来られたかというと、天皇にお会いになるのが名誉で名誉欲をくすぐられたのでは、おほほ、だそうだった。また、日米が緊密なことを、中国や北朝鮮に見せるという意味もあったのでは、などとも言っていた。

要するに、チーママが、「パパ」は私だけのものでパパはウチに来ることがホントに嬉しくて、パパは、シナちゃんとかチョウちゃんなんかに気が移ったりしないのよ、だってパパは私が大好きなんだもの、みたいな感じを全開にしておるなと思った。

 

アホか、としか言いようがないんだが、日本のキャラだなという気もする。残念だが戦後の日本はこうだし、実は戦前にもそこはかとなくそういうところがあったりする。

 

■ ファシズム分析は通俗理解にしか届かないのでは?

そこでふと、4、5日前、片山杜秀さんが、日本の社会はファシズム化がだいぶ進んでいるといったことを書かれていたことを思い出す。片山さんは「未完のファシズム」というご本で戦前の東条内閣はファシズムまで行けなかった話をお書きになっているのでファシズムというテーマに拘りがあるのだろうと思う。

片山杜秀氏 日本は“束ねられる”ファシズム化が進んでいる

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254019

 

が、しかし、進んでいるのは「ファシズム」なのだろうか? ないようなあるようなという感じで私はあんまりピンと来てない。

そもそも、ファシズムというのは、実は大多数の国民を騙す幻想を振りまく装置のようなもので、実態はといえば資本家/財界とドイツ帝国復興が忘れられない元貴族のじーさま方による、個人というか市民の権利のはく奪の物語というべきでしょう。

このへんは、東大の石田勇治先生がここ数年事細かに語ってらっしゃって、大変勉強になった。ドイツ史、欧州史でもだいたいこういう流れになっているという感じのように見受ける。

20180125 UPLAN 石田勇治「ワイマール憲法の末路~緊急事態条項は何をもたらしたか?」

 

単純に、ジャーナリズム界が繰り返し繰り返しおかしな歴史を語ってるため、通俗理解みたいなものが収まらず、よって、歴史修正主義にもっていかれているというのが the West の共通事情のようにみえる。

したがって、ファシズム化が進んでいるという視点から解明しても大した実りはないと思うんですよ。問題は実は誰が駆動力になっているのか、もっと具体的な人々、事情を意識すべきでしょう。

ドイツの30年代の場合はヒンデンブルグを代表例とする資本家/財界とドイツ帝国復興願望派、そしてそこに連なるウォールストリート&シティ、ということで、彼らをシャカリキにさせたのはドイツ国内の社会主義者&共産主義者がどこまで行っても相当に強かったため、といっていいんじゃなかろうか。

ナチ vs 社会主義者&共産主義者は、ナチが政権を取る直前まで共に30%強ぐらいの支持率。ナチが適正な手続きで過半数を取ったことは一度もない。

(ナチスは合法的に権力を取った、国民がこぞって選んだ、というのはナチス時代からあるプロパガンダ)

 

■ ポジティブな自発的服従

それよりも、私は、まるで敗戦が決定した後のようだなといった感じがしてる。このおもねり、このポジティブな自発的服従。

そう、ファシズム期というより第2次直接占領開始の時になってる気がする

そこで思い出すのは、日本政府が終戦を国民に告げ、マッカーサーが厚木に降り立つ前に、手回しの良い人たちが米兵用の慰安所を用意しようとしていた話。高見順の「終戦日記」にあった。

敗戦日記 (中公文庫BIBLIO)
高見 順
中央公論新社

 

8月末の時、高見がその手配をしている関係者に、そんな仕事集まらないでしょう、大変ですねといって声をかけると、いやそれが結構集まってるというので高見はちょっとむっとする。その後11月だったかのところには、なんと募集人数の倍も応募があったという話が出てきて憤慨するという記述があったと思う(11月か、12月かは忘れたけどなんせ1945年中)。

一体これは何だ、自分は東南アジアの戦地をまわって現地も見たが日本人の将兵が入ってくるのに合わせてわざわざ慰安所を仕立てるような奴らはどこにもいなかった、と高見は憤慨するのだが事態は普通に進んでしまう。

 

そんな成り行きがあって、その後は、世界史上稀に見るといっていいような、なんというか奇妙なまでにスムーズな米軍による占領状態となり、その後偽の独立を果たし、今に至るまでソフトな占領状態が続いている。

それを、今度は、もっと、かつてないほどに緊密なパートナーシップで行くそうで、これはもう、かつてないほどあからさまで、かつてないほど巧妙に、かつてないほどのスケールで、かつてないほどの深さで、バージョン2の占領状態になるということなのではないのか。

在日米大使館が取り出した5月25日のトランプ様のお言葉

「日米はかつてないほど緊密な友好関係で結ばれている。今日ほど両国の友好関係が緊密となったことはないと心から思う。また、両国民の絆もかつてないほど強まっている」

-ドナルド・トランプ大統領

 

在日米大使館からのお触れ書きは以下の通り。

 国際協力と繁栄の共有という新たな時代へ向かう中、日本とのパートナーシップを前進させるドナルド・トランプ大統領 

https://jp.usembassy.gov/ja/president-trumps-visit-advances-partnership-with-japan-ja/

  • 今月初め、日本国民は、「美しい調和」を意味する新元号「令和」を迎えた。
  • この新元号の精神の下、トランプ大統領は、日米の強固なパートナーシップを前進させ、自由で開かれたインド太平洋地域という共通のビジョンの実現にあらためて取り組む。
  • 大統領への就任以来、トランプ大統領は、強固な安全保障、技術進展、および経済発展に基づいた真のグローバルパートナーシップの構築に向け、安倍首相と協力してきた。
  • 日米両国は、自由で開かれた社会を守ると同時に、両国をさらに強化し、真の意味で繁栄を共有するため、共に取り組んでいる。

 

などなど、もう方針が決められてる(笑)。

 

■ わかってるアメリカ

で、いやなんか、ほんと、気持ち悪いと私が思うのは、中国の台頭、ロシアからの厳しい態度、北朝鮮問題もワヤ、という状況の中で、日本はもう自発的に服従しているとアメリカが認識しているな、これは、といった感じが見えること。そもそもNHKなどのメディアを操縦してるのは在日米大使館なんじゃないかって感じがするし。

トランプはそこらへんを見切ってると思う。だから、良い人として振る舞ってる。

そして、日本の財界との会話ではこんなことを言ってる。

日本は、何年も何年もかなりのメリットを得て来た。でもいいんだよ、多分、そうだからこそあなたがたは私たちをこんなに好きなんだ

Japan has had a substantial advantage for many, many years, but that’s okay, maybe that’s why you like us so much,” Trump said during a meeting with Japanese business leaders in Tokyo.

Trump takes dig at Japan for ‘substantial’ trade advantage and calls for more investment in US

https://www.cnbc.com/2019/05/25/trump-digs-at-japan-for-substantial-trade-advantage-and-calls-for-more-investment-in-us.html

 

こういうのを、日本のタコな評論家たちは、日本は貿易黒字の時叩かれ云々という実利問題として語って、トランプは日米関係をわかってないのだのと言うんだろうけど、問題はそこじゃないでしょう。

日本はアメリカとくっついてることで得して来ただろ、と言ってるんだと思う。

そして、日本の支配層も、そこにくっつく芸者衆も太鼓持ち衆もこれに抗えない。

なぜなら、天皇教カルト信者が一夜にして民主主義者となれたのも、俺は民主主義者だがソ連は違う、中国は違うと言えるのも、ポツダム宣言をちゃんと読んでないし、第二次世界大戦の処理もおかしいし、問題だらけだが威張ってられるのも、みんなアメリカさんの極東における一の子分だから。

これを外したら、過去をみないとならないし、今までのガラパゴスランド的論説も変えないとならない。そんなのイヤ!でしょ。

 

■ オマケ

で、思うに、これだけassurance(保証、安心)を日本国民向けに振りまいているということは、何があっても一緒だ安心しろ、なんじゃないですかね。

つまり、何かがあるかもしれない。それは多分朝鮮半島問題の前進、でしょうね、多分。

来週ラブロフ外相が来日するので、そこでまた北朝鮮問題が話し合われるはず。

 

■ まったく関係ないオマケ

知らない間にオリンピックがとてつもないことになっている。傘のような笠を開発したらしいんだが、普通に麦わら帽子をかぶった方がはるかに安上がりではなかろうか?落としてもたたんじゃっても惜しくないし。意味がわからない。そして、どこからどう見てもカッコ悪い。

 


 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トランプ、ロシア疑惑の発端... | トップ | IMF支援は受けるな、外債はデ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日本人は強者に弱い (ローシャン)
2019-05-27 23:11:42
「敗戦日記と」同じようなことが満州でもあり、新京の陸軍病院で看護婦だった母から聞いた話です。

進駐してきたソ連軍はかなり乱暴狼藉を働きましたが、最初きた兵隊がみな囚人兵(手に入れ墨をしていた)だったこともその一因です。

後に来た正規軍は規律が正しくしっかりしていたと言います。

「マダム」を要求するソ連兵に迎合してこちらから看護婦を積極的に慰安にだそうとする将校もいました。母の班で一番の美人が選ばれたのですが、その人は青酸カリで自殺しました。

婦長がしっかりした班は毅然と断り何もなかったそうです。

またソ連参戦が必至の情勢になると、ある眼科医は看護婦に向かって「お前らは露助がくると皆、妾になるんじゃ覚悟しとけ」といつも脅かしていたそうです。

返信する
誰のための皇室なんだ! (私は黙らない)
2019-05-29 06:33:54
一体誰のための皇室なんでしょうか。
何度か言わせていただいていますが、この令和ブームが私は胡散臭くてやってられない。改元したからって、不都合な歴史がリセットされるわけじゃないでしょ。なんですか、メディアのこのフィーバーぶりは。皇室なんて、空気みたいなもので十分。なぜ、ここまでメディアが大騒ぎする?Hidden Agendaでもあるんですか?皇室がマスターをお迎えしたのが、そんなに光栄ですか。
それと、見た目問題なのだけど、新天皇とTさんの圧倒的身長差が、マッカーサーと彼の祖父二人並んだあの有名な写真と重なった人は多いと思う。実際、現実は、あの写真とまったく変わっちゃいない。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事