DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

貿易戦争→通貨戦争、食料と燃料OK

2019-08-06 12:36:32 | アジア情勢複雑怪奇

今日は8月6日。それにふさわしい話を書こうと思っていたのだが、それどこではない米中。

米、中国を為替操作国に指定 圧力を強化
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48250880W9A800C1000000/

【ワシントン=鳳山太成】米財務省は5日、貿易で有利になるよう意図的に通貨を切り下げているとして中国を「為替操作国」に指定したと発表した。通貨・人民元の対ドル相場が1ドル=7元台に下落し、トランプ大統領が為替操作だと批判を強めていた。貿易問題が行き詰まるなか、圧力を強める新たな交渉カードを切った形だ。中国の反発は必至で、米中対立の激化は避けられない。

 

とか言ってますが、これはつまり、先ごろトランプが消費物品にまで10%の関税をかけたことへのお返事でしょ。

つまり、それによって多少の貿易減少が起こるのを通貨安で緩和しようというもの。普通に読めるでしょう。

そして先にルビコンを渡ったのはトランプなんだから今更吠えてもはじまらない。

1カ月ぐらい前、中国はロシアからの小麦、大豆の輸入を増やすような措置を取っていたので、これはつまり食べ物を賭場におかないで戦おうっつー話かしらなど思った。

China approves wheat, soy imports from Russia

https://www.reuters.com/article/us-usa-trade-china-agriculture/china-approves-wheat-soy-imports-from-russia-idUSKCN1UL275

 

ロシアと中国との関係では年末に「シベリアの力」というパイプラインが開通する予定なので、エネルギーも賭場には置かないといってみたようなものか。

つまり、米中の戦いは長引くと習近平というより政治局のおじいさんたちの覚悟が強いのではないのかと拝察する。

 

アメリカの作戦というのは食料や燃料を輸入に頼らせて、その上で通貨安を誘導してその国をガタガタ言わせるみたいなものだった。

一説によれば中国も1950年代混乱の最中、アメリカが穀物制裁をして(アメリカの仲間が穀物を中国に売らないようにした)混乱させれたらしい。餓死者誘発型のいつもの措置ですね。そこでそのスキームを破って穀物を輸出したのがカナダだったらしい(マイケル・ハドソンによる)。

MMT・国家主権・IMF/世銀体制

 


■ 一応足元を固めてはいる日本

日本もエネルギーがらみでは、中東、中東とばかりは言ってられないという考えはあるものと見えてロシア側からの購入を増やしている。つい最近の動向としてはこんなのがあった。

「ヤマルLNG」プロジェクト、日本向け出荷を開始

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/06/20dfaacd91922362.html

 

さらに、3、4年先のことになるんだとは思うけど、Arctic 2というプロジェクトに出資してる。三井&Jogmec(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)

NOVATEK, Mitsui and JOGMEC Sign Sale Agreement for Arctic LNG 2 Stake

http://www.novatek.ru/en/press/releases/index.php?id_4=3280


北極海まわりについては、日揮、千代田加工といった有名どころのプラント屋さんも参入しているし、商船三井も船で大きな投資をしている。

また、イランとの関係を崩すまいという考えも一応ホールドされているようでそれもいい。

ということなので、地政学派みたいな人たちは結構頑張っているというのが私の評価だす。


■ 半導体

そして半導体。
韓国への態度が悪いというので日本の中では、安倍に対して厳しい評価をする人たちが一定数いるわけだし、日本のやり方がよかったとも思わないんだが、でも、こじれてくれば、半導体に関していえば、日本企業の中にもこのまま韓国の言い分だけ聞かなきゃならない理由もないぜと思っている人たちも多数いるのではないかと拝察する。

半導体摩擦に関しては、若い人は知らないんだろうけど、年取ってる人たちは相応にアメリカと韓国に対して不信感を持ってるはず。

アメリカは、日本、韓国、台湾を適度に競わせつつ、全部の上に自分がいるという設計だったわけだけど、その際日本は犠牲になっていると言っても過言ではないですよ。

ということなので、まだ優位性のある部分を使って、この際中国と合弁企業でも立ち上げてアップストリーム復帰を狙うという試みがあっても私は驚かない。そんな勇気があるのか知らないけど、でもロジカルには、アメの凋落を見つつそう動くというのもありだと思う。

 

■ 混乱期なので国民の声をデカくしておく

で、まぁ混乱期ですなぁといった成り行きが続くと思う。

こういう場合、安倍がどうしたというより、国民は、種子法も反対、水道法も反対、米は自国産を食うぞ、防カビ剤だらけの大洋の向こうの穀物なんかごめんだ、といった態度を堅持していくことが長い目でいって私たちのためになると思う。

上で書いたように、中国が買わなくなる分を日本に押し付けて、日本の農業を壊滅させる気でいるな、というあたりが要注意。へんなもん買わせられるならボイコットでもなんでもする覚悟をもっておこう!

 

■ オマケ:同盟国じゃない臣下だ

半導体については、昨年遠藤誉さんが書かれていた記事がわかりやすいかも。

日本の半導体はなぜ沈んでしまったのか?

https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20181224-00108787/

 

成り行きに関しては遠藤さんのまとめに説得力を感じ、書いてくださったことに感謝する私ですが、この中で、何度も、アメリカは同盟国でありながら日本に云々といった言辞が出てくるところが、結局のところ日本がはまった罠の暴露になっているなと皮肉なことも思った。

 ただ、日本はアメリカの同盟国だったからこそ、抵抗できずに潰されてしまったが、中国の場合はそうはいかない。致命傷でも負わない限り、徹底して抵抗し続け、逆に強大化していく可能性(危険性?)を大いに孕んでいる。それは「中国製造2025」を完遂させるための中国の執念や人材の集め方などをご覧いただければ、ご理解頂けるものと信じる。

 

同盟国を潰す同盟国なんてないですよ(笑)。首都上空の制空権を奪って勝手に出入りする同盟国なんて、戦時中でもあり得ない。

つまり、アメリカには同盟国はないんです。友好関係を結ばない人たちなんですから。アメリカにとって「友好」な国というのは、同盟じゃなくてvassal(臣下)なんですよ。

だから、臣下にされていることを同盟国だと思いなし、同盟国アメリカのためになるなら、なんて考えることが既にして罠にはまってた。しかし終わったわけではないんだから、私たちは知的に敗戦しているんだなと理解して作り直せばいい。

 


 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「枝野から太郎へ」by 白井聡 | トップ | 5Gモスクワデビュー、香港の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事