イランのAMNというサイトに現在のアレッポの戦力を示すグッドなマップがあった。軍事もの追ってるあちこちの報道と合わせても現状こんな感じだと思う。
右側の緑のひょうたんみたいな形が、今もめてる東アレッポ。
この図の緑の飛び地のことね。で、赤いところが政府軍。
と、現状を見ると、東アレッポはほんとにシリア軍が囲んでるようですね。
で、この図を頭に入れれば、今現在西側なる強盗・テロリスト支援団体のありとあらゆる主流メディアが、来る日も来る日も書いて書いて書きまくってる事情が、あれ、どうもおかしいな、となるのではなかろうか。
(ってか、ならないのがこの西側で育った人たちの多数なんだろうなと最近思ったりもする。つまり、頭を使って読むという習慣がない。きれいにない。テレビやら有名な新聞が書いたことをそのまま、そのトーンのままに受け止める。まぁ XXXなんですってよ、嫌よね、みたいな。)
それはともかく、こうまで囲まれていて、その中にアルヌスラ(国連指定のテロリスト集団)または過激派、外国から来てる武装集団がいるわけですよ。
それはつまり、そいつらが緑の中にいる一般住民を人質に取ってるという意味なんです。もしそうでないとしたら、他の理由は一つしかない。それは中の住民は全員、それら外国人または外国支援の武装集団を支持している、ということ。でも、アメリカ、イギリス、ロシア等々の人で現地に入った人はみなそれを否定している。一部は確かに支持者ですが、残りの人たちは出られないんです、と。
アメリカ人のバネッサさんとか、ブラック上院議員の話はこのへん。
宴の始末(12) ガラパゴス版シリア紛争と「150:20」
宴の始末(13) 「飛行禁止区域設定するって、ロシアと戦争だよ」by 参謀本部議長
さてそこで、フランス、イギリス、アメリカ等のNATO諸国は、この中からそれら国連指定テロリストを含む武装集団を東アレッポから出せ、というロシア&国連特使のデミストラさんの提案を蹴っているわけです。
つまり、彼らは東アレッポの市民に、今後も人質になれといっている、と。いいのかそれ!!! なんですよ、まったく。
まぁでも、本当はそういうことなのね。
昨日プーチンはトルコでエルドアンと一緒にこういっていた。
「ロシアとトルコは、シリアにおける流血事態の早期解消を支持している。ロシアとしては、できるだけ早く政治的決着に移行する必要があると考えている。私たちは、平和を望むすべての人々はこの提案を支持すべきだだろうと思ってます。」
ロシア・トルコ首脳会談、トルコストリーム建設で合意
まったく妥当な発言でしょう。で、政治決着という意味は、NATO諸国はテロリストと手を切れ、ということ。武器を与え、金を与えるのを止めろ、ということ。
そして、西側なるところはそれができない。できないが、できないよ、とは言いたくない(笑)。だから、ロシアが空爆、ロシアが空爆、と騒いでいる。
空爆っていうけど、上の状況からすればアレッポに関してはもう大きな空爆が必要なな事態じゃないように見えるけどね。
空爆してるとしたら、主に、もっと東のISの施設と、後は、西側(特にアメリカ、イギリス、フランス)が勝手にシリア国内に設置してる基地もどきの施設じゃなかろうか。この際全部壊しておこうと思っても不思議はない。シリア国は当然賛成でしょう。
フランスとかイギリスが狂っている理由って、ひょっとしてこれか?という気がしてきたりもする。注目しておこう。
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かといって、別の情報源を探そうにも、宇宙を語る怪しげなサイトから絶滅危惧種の左翼系ジャーナリストまでいろいろで、ある程度信用できそうな所を見つけるまでがまた大変。
ところで、AMNはイランではなくて、米国の汎アラブ系ニュースサイトのようです。
かくいう私も、天気予報がダマスカスだし、前にイラク人が寄稿しているのを読んだことがあったので、てっきりシリアかイラクの会社だと思っていました。
(確認したら、サーバが米国にありました)
それから、戦況でしたら Institute for the Study of War という団体のサイトもおすすめです。
http://www.understandingwar.org
こちらは米国の団体ですが、客観的だと思いますし、定期的に概況をPDFにまとめてくれるので、時間がないけど大まかに把握しておきたい方にも便利です。(英語ですが、たいした量はありません)
日々の空爆も含めた詳細な状況なら、青山弘之先生の「シリア・アラブの春 顛末記」が一番だと思いますが(既にご存知ならすみません)、これを読むと、まだシリアのあちこちで空爆が続いているようです。
http://syriaarabspring.info
AMNについて訂正していただいてありがとうございました。これは私のまったくの勘違いでした。
初めてこのサイトを見たのが、ロシアがイランの基地を使うかもよ、というニュースだったのでその時にイラン関係のサイトと一緒に放り込んで、イランのサイトと認識しちゃったんだろうな、と思います。
ISWは私はあんまり好みじゃないです。まとめって感じではいいとは思いますが。
青山先生のサイトは見に行ったことがありますけどあまり見てません。
戦争って客観的要素も大事だけど、怪しい噂も現地がそう信じているならそれが重要要素になるってことが大有りなので、事態の把握は結局いつも半分なんだろう、みたいに思ってます。
それと、ちょっと言葉が足りませんでした。
「客観的」というのは、「確度の高い情報」ではなくて、「欧米=善、アサド&プーチン=悪」みたいな政治的主張とは無縁という意味のつもりでした。お堅い研究団体だから当然と言えば当然のはずですが、以前日本の元外交官のセンセーが書いているのを読んで、専門家も信用できないなぁと思ったことがあったので。
現地の人がどう思っているかが大事っていうのは同感です。
ちょっと違う話ですが、大分前にSNSでシリア人が北朝鮮の公式発言(米国の子分の日本が核実験にビビっている云々)を(どちらかといえば好意的に)紹介していたのを見て、「え〜?」と思ったことがあります。
でも、考えてみたら「朝鮮民主主義人民共和国」はシリアの友好国なんですよね。ちょっとだけど、兵士も送ってるって噂ですし。去年ダマスカスに「金日成公園」ができたというし。
シリアの人たちに見えている世界って、こっちの常識とは全然違うんだろうなぁ、と実感した次第です。
わざわざコメントありがとうございます。
各国それぞれに見てるものが違うので、ひとつの出来事のリアクションにしても私たちが考えるのと同じ認識ではないだろう、ということですよね。
また何かあったら教えてください。
間違いもいっぱいあるけど、デマっぽいのに踊らされたり訂正されたりという様子も残って、こういうのって貴重だわと思った記憶があります。
2013年までのラウンドではフランスがとても強硬だったわけで、現在の態度もうなずけます。