昨日ふと自分のブログを見たら、読まれてる記事に1年半も前に書いた記事があがっていた。これ。
安倍政権の対ロ外交って何が目的なの?
読み返してみて、だいたいあたってるやんと思いました。本気でやる気はないし、むしろピクチャーを大きく取ればロシアに不利益になるよう思いっきり突っ込んでいるのに、なぜだか相手(ロシア)が日本に好意的に乗ってくるはずだ、と思ってたんでしょうね。
現状はこんな感じのままじゃないですかね。
マトヴィエンコ上院議長訪日と東アジア版NATO
で、それはもういいとして(よくはないんだが)、マイケル・フリン。本当にトランプ政権の安全保障補佐官に登用される見込みらしい。
トランプ氏 安全保障政策担当の大統領補佐官にフリン氏起用
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161119/k10010774761000.html
NHK的にいうとこんな人
アメリカ陸軍の現役時代には、アメリカ中央軍の情報部門の責任者を務めるなど、情報分野の専門家としてイラク戦争やアフガニスタンでの対テロ作戦にも関わり、国防情報局長官に就任しましたが、上層部との確執などから任期途中で退役を迫られたとされ、以来、オバマ政権のテロ対策に批判的な立場を示してきました。
で、多分主要メディアの記事にはもれなく、イスラムに対して強硬だと書いてあると思うんだけど、それが既にトリッキーだと私は思うなぁ。
フリンは、普通のムスリムの人を攻撃しているわけではない。イスラムというのは政治的イデオロギーで、わけても非常に問題なイデオロギーがある、これが過激派となっている。これは普通にイスラムとかムスリムとか言うんじゃなくて、ちゃんと定義して言うべきなんだ、これを放置することはホントに危険だ、という態度なの。
これは、よくよく考えると、実に実に実にthe West のある種の秘密を暴露しかねない態度なわけですよ。
だって、サウジのワッファービズムとかそこらへんを中心にして出来上がっていった「過激派」のことを、よろしくない、こんなことはやめさせるべきなんだという主張だから。
で、これはサウジだけの問題ではない可能性は常にある、と私は思っている。だってthe West がムスリムを使い出したのはもうずっと昔からだし。
しかも、単なるイデオロギー問題として語っているのではなく、フリンは本職の軍の情報機関の人なので、どこで誰が動いているかわかった上で言ってる。
で、そこからロシアとの協力は大事だ、という認識に繋がる。この過激イデオロギーが広がるのを座視するのは間違っているし我々はみんな被害を受ける、ロシアはもっと被害を受けている、という認識も披歴していた。
別の言い方をすると、フリンは、ロシア向けなら狂人を食らいつかせたってかまわないだろう、とか、世界支配のためならジハードを投げ込め、みたいな態度はない人だ、とも言えますね。さよなら、ブレジンスキーみたいな(笑)。
さらに、フリンは赤鉛筆を差し出されてこれは青だと言えと言われても、赤に決まってるだろうと怒りだす人、って感じが全体に濃厚。
これって、西側的には大問題だよね(笑)。
今年の8月にワシントンポストが掲載したインタビュー。長いし、マイケル・フリンとはどういう人なのかがかなりよくわかる良いインタビューだと思う。
が、このタイトルが、プーチンとあったことがあることを問題にしているというのが、もうね、現在のアメリカの宗教支配的な側面が垣間見えて嘆かわしい。
Trump adviser Michael T. Flynn on his dinner with Putin and why Russia
Today is just like CNN
https://www.washingtonpost.com/news/checkpoint/wp/2016/08/15/trump-
adviser-michael-t-flynn-on-his-dinner-with-putin-and-why-russia-today-
is-just-like-cnn/#comments
プーチンとあったことがあるといっても、同じ会場でほんのちょっと合ったという程度らしいが、ロシアがらみでもっとインパクトがあるのは、RTが主催した会場で40分ぐらいインタビューされているやつじゃないかと思う。インタビュアーはソフィー。上で書いたようなイスラム理解を縷々述べている。これこれ。
Q&A with US frm. Director of Defense Intelligence Agency Michael Flynn on MidEast crisis
■ フリン登用のリスク
まだどうなるか全然わからないけど、フリン登用のリスクは、フリンは正しさ(というか正常な感覚だと思う)追及で突っ走ったとしても、米には永久に戦争をやりたい派がぞろぞろいるわけだから、彼の言を利用して、大規模反・イスラム戦争を引き起こしかねない、というあたりか。
あと、イランを非常に嫌悪している。上のようにイスラム過激派を掃討するのだとしても、イランには絶対に手を借りない、みたいなことも言ってた。
そういうわけで、アメリカの保守系(孤立系とも揶揄される一群)は、フリン登用に反対してる。多分、ロン・ポールもそうだと思う。
が、しかし、逆にいえば中東の盤面からイランを外せないような仕組みを作ってしまえば、残るのはフリンの正常な感覚に基づく過激派潰しに関する議論だけ、となる可能性もある。
このへん、ロシア、中国の動きに注目したい。