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旭日旗問題:体制変更をしなかった日本が見える

2019-09-14 19:33:40 | アジア情勢複雑怪奇

ミソというか糞が付きすぎて冗談のようにタチの悪い東京五輪では、これでもかと問題が起こるんだが、昨今は、旭日旗おかまいなしという判断を五輪組織委員会がして、さらに波紋を呼んでいる風。

「旭日旗」の禁止は予定していない=東京五輪組織委員会

https://jp.reuters.com/article/southorea-japan-olympics-flag-idJPKCN1VY15M

[東京 13日 ロイター] - 日本の東京五輪・パラリンピック組織委員会は13日、「旭日旗」の掲示に政治的意味合いはなく、使用を禁止する計画はないと述べた。 

 

旭日旗は軍の旗なんだから、政治的意味がないという理由は馬鹿っぽい。

そして、韓国が騒ぐから折からの嫌韓問題に収められてしまっているけど、いやぁ、これは敗戦した日本の敗戦処理のいい加減さの問題でしょう。

大日本帝国を潰していなかったことの証明みたいなもの。

だから、この旗の話は、日本の正式な再軍備問題。正式なというのは憲法改正を伴うということで、この意味は国際的に見れば、日本はしばらく外征しない国となっていたが、このたび、また、日本軍を創設してネオコンと一緒になって世界制覇にでかけたいらしい、という話。

 

この旗の問題なわけで五輪での登場はその余波。この写真は、今年の夏にThe Economistが書いた安倍の改憲の話のところについていた写真。

 

Can Shinzo Abe change Japan’s basic law?

https://www.economist.com/asia/2019/08/10/can-shinzo-abe-change-japans-basic-law

 

そして、昔、アジアの様々なところで目撃されたこの旗がまた蘇るのか、と認識する人もいるでしょう。

 

したがって、本質的には、韓国がうるさいことを言ってる、みたいな話ではすまない。

すまないが、なんで正面からどこも非難してこないのかというと、米英+αは、日本を味方に引き込むことが生き残りの道だと思ってるから、目をつぶる、NATOに極東基地ができてうれしいな、といったところだからでしょう。

日本はつまり、東インド会社の極東代理人として有頂天だった時代を再現しようとしているようなもの。

ついでに、東インド会社末裔としてのアングロ・シオニストチームは、ここで中国と喧嘩してくれるといいよな、ぐらい思ってるでしょう。ロシアとの関係は絶対に緊張を緩めないよう「ナチ・リベラル」を飼いならしてるからOKみたいな感じ。

 

でも、中国は他人が敷いたケチな喧嘩は買わないので、黙ってる。黙ってるが、永遠に黙ってなくてもいいわけで、どこかのタイミングで、例えば、片面講和問題の悪質さをやり玉にあげる、などといったこともあるかもしれない。

ロシアは既に、日本を「第二次世界大戦の結果を認められない唯一の国」と認定することで、問題の骨格構築作業を行っているともいえるでしょう。これをロシア一国だけの問題と考えるのもまた間違いでしょう。これは国連という連合軍設計者全体の問題。

1941年12月にはソ連に勝ってる算段だった

 

で、現実的には、この両国は日本がどうしたというより、金融資本+西側軍・諜報組織(メディア含む)との闘いにおいて日本というのは完全に「あっち」なのか、多少はユーラシアの国家としての意地もあるのか、ここ数年いろいろ呼びかけたけど、結局、完全に「あっち」なんだなと結論した、みたいな感じでもあるでしょう。

これ見たら誰だってわかる。世界の米軍基地の図。

 

基地らしいものは800カ所と言われてるけど軍事施設扱いは4000カ所あると言われている。誰も本当のところがよくわからない。でもわかるのはオレンジの丸が大きいところは基地が集中しているところ。

世界中の米軍基地のマップ

 

■ 完全な西側化

で、日本がロシアが開けてくれた問題の枠組みを蹴り上げた結果はどうなるのか、というと、日本の完全な西側化がなお一層はっきりするということになるんでしょう。

実際、日本では「ナチ・リベラル」が教育、言論界で強いので、ここの見取り図が日本の「普通」になってる。

その見取りとは、

  1. アメリカやイギリス、西ヨーロッパは民主主義の国で、日本はそうならなければならない
  2. それに対して、中国やロシア、北朝鮮、シリアetc. は独裁国家なので、見てはいけません、信用してはいけません

というもの。

これって要するに、ネオコンなんですよ。ネオコンと「ナチ・リベラル」は表裏一体

よく考えるとこれって1960年、70年あたりの「左派」の考えとは違うんじゃないかと思う。だから日本の「ナチ・リベラル」はここ30年ぐらいの間に作られていったんだろうなと考えている。そしてこれこそ問題だと言い続けているが、今一つまとまってない。

一応これがそのシリーズ。

ポスト安倍が見えない日本 (8):対処療法は安倍の専売ではない

 

で、今日の問題は、インド人、中国人、ロシア人にも多少こういう「ナチ・リベラル」願望の感じの人はいなくはないが、基本的にマジョリティは信じてないままだと思われることだと思う。

欧米はデモクラティックなところもあって良いところもあるが、基本は植民地主義者集団だ、というのがアジア一般のマジョリティの解答じゃなかろうか。

最低でも、英米+西欧をノーガードで褒めたりはしない。また、英米+西欧諸国の下につかないとならないとも思ってない。対等、友好、といった語で語られる関係を求めている。

 

ということは、

(1) 日本人は「世界のコミュニティ」の一員として責任ある国家になるべく邁進して「民主主義」でない国家群を潰そうと努力することとによってユーラシア諸国との間に深い溝ができる。

(2) その一方で、ではWestern European(西欧)文明の諸国が日本との間に何か共通性を求めていたり、親近性を求めるのかというと、それはかなり疑問。

従って

(3) 日本の立ち位置がわからなくなる。仲間が、少なくとも近隣にはいない。

ということになるんでしょう。

 

いや、もうなってるという見解もあると思うけど、多分、1947年憲法第9条がここでかろうじてユーラシア諸国との繋がりを担保していたと言えるのかもしれない。

その意味は、1947年憲法下の日本は、ユーラシア諸国を侵略するような真似はしないとの宣言になっていたということ。別の言い方をすれば、それ以前の大日本帝国のような東アジアの狂犬ではないということ。

細かくいえば、そうだからこそ国連憲章に基づき国際社会の仲間入りを達成したわけだけど、現在の日本はどうやってそれが成り立ったかを失念してる。それはサンフランシスコ講和条約ではない。それはソ連との講和条約という嘘を演出したからでしょう。ソ連が反対したら復帰できないんだから。

だから、考えようによっては今般の日本の動きというのは、過去においても現在においても、日本の対ソ/露の行動は、実は「悪意」であるとの表明みたいなものでもあるわけで、これってこの先どうなのと考えると怖い。(※悪意は、知りながら、との意味の方)。

 

いずれにしても、この文脈から考えた時、憲法改正を叫びつつ旭日旗をふる日本というのは、明らかに1947年憲法下の日本を捨てるという意思であり、旭日旗が示唆しているのは、それ以前の国、すなわち大日本帝国への帰還らしいぜ、ということなんですかね。ああ、気持ち悪い。

 

■ オマケ

なんでここまで失敗してきたの、私たち、というと、この「ナチ・リベラル」系統が構図をしっかり見てないからだと思うわけですよ。

例えば、今般の旭日旗の話でも、韓国だけじゃない、オーストラリアだって旭日旗には遺恨があるのだ、みたいなことを言ってみたりする。そのうちどこか、イギリス系とかアメリカ系がちょこっと触れたら、ほうらみろ、となるかもしれない。

つまり、「ナチ・リベラル」にとって価値の基準は、西側諸国の判断、あるいはもっと詳しくいえば、西側諸国で権威があると言われているメディアが書くこと、になっちゃってる。

我と我が身の知識、道徳、経験の及ぶところこうであるという恰好になってない。

そして、現実には、これら西側諸国は人権だの民主主義というネタを通して世界支配しようという根深い執念を持ってるわけだから、極東の日本が使えるならそれでいいとしか思ってない。極東の日本の来し方行く末には興味がない。

従って、適当にアリバイ的に安倍を批判することがあっても、利のある方にスルーすることとなる。

これは憲法改正論議がまさにそうだった。

安倍政権の憲法草案が出てきた時、こんなものは西側的なセンスで憲法ではないのだと言い張っていた人たちが多数いたけど、じゃあその西側各国から安倍への批判は起きましたか?

そういえば、宮台に至っては、安倍のやるようなことをアメリカはやらせない、とか言っていたこともあった。どうしてますか? 放置してるじゃないの?

ということで、いやほんと、国内に話を総括して主体的に振る舞えるプレーヤーがいないってほんとマズイ状況。しかし、これがこそが「完全な西側化」の意味ではあるでしょう。属国だから主体がないんです。

 

■ オマケ2

上の例としてこんな感じ。

橋本聖子も東京五輪で「旭日旗」持ち込み許可の方針! 大日本帝国・軍国主義と安倍歴史修正主義の象徴を世界に晒す愚行

https://lite-ra.com/2019/09/post-4970.html

 

世界に晒す愚行には違いないんだけど、世界って誰?って話なわけですよ。もちろんアメリカからも批判する人は出てくるかもしれない。

しかし、上で書いたように西側勢は日本を取り込もうとするわけだから批判しないかもしれない(状況が変われば別だが)。

そうしたらどうするわけ? 結局、アメリカから押されなければスルーになってしまう。ということは、この人たちが非難してやまない安倍修正主義者と結果的に同じなんですよ。アメリカからダメ出し食らわないならOK、ってこと。

問題の在り処を視野に入れないで周りでわーわー言ってもどうしようもない。


 

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
自主性の問題 (ブログ主)
2019-09-17 13:08:22
セコイアの娘さん

怒られなければ何もできない人たちの方が問題だと思います。

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納得いかない (セコイアの娘)
2019-09-17 04:09:54
連打すみません。どうしても納得いかない。
いつも思うのだが、北朝鮮がダメで、どうしてシンガポールはOKなの?同じ独裁なのに。
独裁か否かによる善悪二元論のご都合主義。
返信する
静観? (セコイアの娘)
2019-09-17 03:58:49
西側の一機関であるIOCが、「静観」との立場で、旭日旗を事実上容認しているのは、なぜ?
だって、おかしいですよね。連合軍にとっちゃ、かつての敵の軍旗でしょ?もしかして、西側は、日本の大日本帝国化を、密かに目論んでるの?
どうして、こう隣近所のアジアの国々の神経を逆なでするようなことを、わざわざする?

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