日経がなにか珍しい記事を出していた。
アメリカのメディアは「反トランプ」 ラジオ司会者が偏った報道に警鐘
https://news.yahoo.co.jp/articles/77e810a6a313ac1cfea984179e90e172ba11a696?page=1
アメリカの現在のメディアと政治の様子を書いた本からの抜粋で、大まかにいえば米メディアは圧倒的に民主党に偏向しているという内容のもの。
弁護士でラジオ政治番組の司会者でもあるマーク・R・レヴィン氏は、近著『失われた報道の自由』(道本美穂訳、日経BP)のなかで、米国の主要な新聞・テレビ局の多くは民主党を支持し、「匿名情報」や「つくり話」によって共和党やトランプ政権をおとしめようとしていると批判している。日本人にはあまり知られていない、米メディアの偏向報道の実態を、本書の抜粋を通じて見ていこう。
このへんは日本で浸透してないね。
トランプ陣営が2016年の大統領選挙でロシア政府と共謀したとする、民主党を支持するメディアが流したストーリーは、完全なつくり話という結果になった。この2年半というもの、このストーリーは毎日のように朝から晩までテレビや新聞やインターネットで「報道」され、メディアが考え出したさまざまな陰謀、策略、疑惑、推測、仮定、結論が伝えられてきた。
で、まぁ、今さら何をとしかいいようがないんだけど、ふとtwitterでこの記事を見るとこの中の、
ところが、米国においては、この「常識」はまったく通用しないようだ。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、CNN、NBCといった主要メディアのほとんどは民主党を支持し、中立を保とうとしているのは、フォックスニュースなどごく少数のメディアにすぎないと『失われた報道の自由』の著者レヴィン氏は指摘する。
という点にくいついて、Foxは中立じゃない!極右のニュースだ云々というtweetが見られる。
まぁ予想の反応なんだけど、こういう「くいつき方」の連鎖が、米主導の西側の世論の劣化に拍車をかけているんだろうなぁと思ったりする。
つまり、確かにこの文のFoxのところは、まぁ疑問符はつく。だけど、文の全体が示している趣旨は、トランプ叩きに奔走して、あられもない嘘をつきまくってたニューヨークタイムス、ワシントンポスト等々の米政治でいう「リベラルメディア」、世界的にいえば「主流メディア」であり、それについての状況証拠がともあれ挙げられている。
そして、現実に起こっていることを鑑みれば、実際おかしな報道を放置しまくっていることは幾つも例を挙げられる。
だから、そこに注目して読めばこの記事はそれはそれなりに有用な記事と言えるでしょう。
だが、そうでないところに食いついて、ダメだ、と言う人が多分後を絶たない。拒否反応って感じなんでしょうね。
どうしてこうなるのかというと、事実を見ようとするよりも、言葉の切れ端にしがみつくからなんだろうなと思う。
事実起こっていることを総体として見るとどんな感じなのか、現実はどうなっているのかという注目点よりも、自分にとって好ましい言葉を探す動機が大きいという状況。
あるいは、読み手が、自分に容易に受け止められる仮想現実を探している、というべきか。
■ 主流メディアの蛮行@日本
アメリカの様子が気になる日経さんには、しかしながら日本の様子にも気を配っていただきたいものだ。
「大阪市廃止・特別区設置住民投票」の看板が町中に出回っている中、
そして、投票所にいけば、あなたの一票は、大阪市を廃止し、特別区を設置することについてですよ、と念押しさるように文言の入った投票用紙が配られるにもかかわらず、
あいかわらず、主流メディアは、ずっと「大阪都構想」と言い続けている。
こんな感じ。10月21日の記事。
都構想の争点6「大阪の将来像」
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20201021/2000036314.html
いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票の争点をシリーズでお伝えしています。
今回のテーマは、「大阪の将来像」です。
賛成派・反対派ともに「大阪の成長」を目指すという点では一致していますが、そのために都構想が必要か否かで意見が分かれています。
どんだけ大阪の将来を見事に描いてみたところで、この住民投票が賛成多数で可決された場合に起こることは、今まで1つだった巨大な自治体を4分割する膨大な作業であることは変わらない。
この膨大なコスト、手間、時間を巨大なリスクとみなさずに描くビジョンにどうしてリアリティがあるのか謎だ。
日本の20ある政令指定都市は、むしろ合併して、大きくして、効率性を追求し、併せて権限をゲットしようと政令指定都市になったのであって、大きな都市をわざわざ解体して、効率性を落として、併せて権限を放棄しようとするケースは初めてだ。
地方財政法の先生やら大阪選出の自民党の国会議員さんなんかが、必死になって反対に回っているのはマジで実務上大変なことになると思ってるからでしょう。
前回の投票用紙には、この「大阪市を廃止し」という文言がなかった。
この住民投票は「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に基づくんだから、この時点でそれ違法やろと私などは思うが、いずれにしても維新とその支持者は大阪市は廃止されないと言いまくった。
今回は、ようやく大阪市を廃止して、特別区を設置することの是非が問われているという正しい認識の枠組みが現在絶賛拡大中というところまで来た。
そこで最近はそれでもお得だという点を強調している維新さん。4市を1つにして事務費が浮いたらまぁ余裕ができるやろな、というのが常識人が理解できる話。1つを4分割するとマジックが発生すると主張するのが維新。
(よく見ると、年間1000億円効果があって10年で1兆1000億と書いてある。なんで10年なの? いっそ100年で100兆円と書いたらええやないの)
主流メディアが語るナラティブに釣られて不幸にならないようにするにはどうしたらいいもんか、構造込みで考える必要があるんだろうなと思う。
呑気な結論だけど、でも、メディアが一斉に嘘をつく傾向を前に、あなたやめてください、恥ずかしくないのかぁなどと言ったところで相手は止めないだろうと一旦諦めて戦術を考え出さないと、飲まれるだけだ。
■ オマケ
前にも書いた通り、大阪の事象は、ウクライナ人をEUにさえ入ってしまえば豊かな国になる、なんの問題もない! みたいにして煽っていった手口とそっくりだなと思わずにはいられない。グルジアもそうだし、中央アジア各国もそうだった。
共通するのは、何か夢を与えることと、現実的な議論には一切耳をかさない人々を多数生むこと。
日本にもカラー革命が仕掛けられているという感触を持ってみていることも重要な気がする。
しかしがっかりすることもないでしょう。大阪は抵抗できてる。次第に全国を巻き込んで、これは嘘や、あかん、という人たちが何年もがんばれた。これは「嘘が通ってしまう、通されてしまう」風潮への抵抗として将来高く評価されることになるかもしれない。かもしれない、だが。
こう解釈するとすべての疑問が解けますね。
納得しました。
ありがとう