今度の総選挙は実のところ何がなんだかわからない総裁選の果ての何がなんだかわからない選挙といった趣なわけだけど、どうしたわけだか与党集団がテーマを作っていて興味深い。いっそ面白い。
この間は、
【衆院選】麻生太郎氏が痛烈「あちらは立憲共産党」応援演説で野党共闘批判
https://news.yahoo.co.jp/articles/455737b63adc722985a633f98e1a92e010de07a0
https://news.yahoo.co.jp/articles/455737b63adc722985a633f98e1a92e010de07a0
という具合に、反共主義で野党共闘を崩そうとしていることが明白だった。
これには、すぐさま、そなあんたら「自由公明党」やろ、というリアクションがあってそれも面白かった。まさにそうだけど、公明党もそうだけど、現実的には、「自由文鮮明党」ラインこそ解明されるべきストリームだと思うな。
この動画はとても興味深い。昔から何度かアップされてた動画(1分ほど)だけど改めて文字起こししておこう。
統一教会の会合で演説する福田赳夫
urlはここ。
1974年5月7日、帝国ホテルで時の大蔵大臣福田赳夫氏が、
アジアに偉大なる指導者現る、その名は文鮮明、ということである。
私はこのことを伺いまして久しいのでありますが、今日は待ちに待った、その文鮮明先生と席を同じくし、かつ、ただいまは、文先生のご高邁なご教示に預かりまして、本当に今日はいい日だなぁと、いい時間だなぁと(動画終了)
とか述べている。
「アジアの偉大なる指導者現る、その名は文鮮明」というのは誰が言いだしたのか、というのも知りたいものがある。福田氏の言い方からすると、誰かがそう言い、私も同意である、という恰好なので誰かエライ人がそうプッシュしていて、福田もその線に並ぶことにした、ということじゃないかと拝察する。実に興味深い。
■ 政治言論を無効化していった与党
で、総じていえば、現在の自民党は、「自由に新興宗教と財界の党」みたいな党でしょう。財界にとっては、利益を共有できる人たちが与党なら誰でもいい。だから、国民の利益を真面目に考えちゃうような人たちではなく、新興宗教の一群と芸能人を支えにして選挙することにした。
自民党には、長い間、経世会など、新興宗教がバックでない一群、地方名望家層を背景にしたみたいな集団もいたわけだけど、それが何十年かかけて追い落とされて、小泉のところでかなり完全な「自由に新興宗教と財界の党」になって、その後、安部が2回やっている間に、もはや、さすがにかつて自民党を支持していた人たちでも目をそむけたくなるような集団になっている、って感じ。
見過ごされているけど、芸人の影響もかなり大きい。東京MX TVなんかは石原慎ちゃんの肝入りで、立川談志が言論タブーをぶっこわして、それを西部さんが引き継ぎ、結局は、ひたすら憲法改正と核武装論を売り込む局になっていって、そこがチャンネル桜と繋がり、その派生形が多数登場していったのがこの20年ぐらいの流れでしょう。
談志さんも西部さんも、冷戦期「陣地」が反共右派グループだったから仕方がないんだろうけど、結局、彼ら本人が本当に望んでいたとは思えないもものの盛大な応援団として人生を終えた。
■ 今後
で、現状、安部周辺の人たちの不人気さは表明されるだろうと思うけど、選挙結果としてみた時には、「自由に新興宗教と財界の党」は勝つんだろうとは思う。しかし、この「自由に新興宗教と財界の党」とその補完勢力としての維新には、もう勢いはないと思う。今般も、なにか、メディアがいうほど自民+維新が強い感じはしない。メディアは、選挙の操作をするためのおぜん立てをしてたりしないか、など疑っておく必要は一応あるでしょう。
で、中期的にみて、たとえ与党が勝とうとも全体として彼らに自浄能力があるとも思えない。ということは、立て直しできない。
するとまたどこかで、2009年の民主党勝ちました選挙みたいなのがあるのかもしれない。しかし、前回同様これも行きどまりになると思う。財界の党を倒すのは常に難しい仕事だから、そのためにどうしても協力できるところを協力を、という態度に終始していくのは仕方がない。が、その間、ビジョンの共有ができず、むしろ勝手なイメージが拡散する。これは結構大変なこと。
また、日本の場合は、冷戦期の著しく愚かしいプロパガンダが左右を問わずみっちり生きている国なので、仮に、野党連合が勝ったとしても、小沢でも志位でも枝野でも、みんな国際情勢に暗く、その認識は、1990年ぐらいのものでしょう。すなわち、ネオコンの一極支配妄想が崩れた世界に生きてない。
去年までにさんざん書いた通り、この30年の西側の失敗によってむしろ1945年からのナラティブの嘘っぱち具合が明らかになってきている。もう西側だけが教科書作って話を売り込めばそれが歴史になる時代は終わってる。
2020年:the Westのナラティブ管理崩壊年
1年後:2020年 the Westのナラティブ管理崩壊年
同時に、人々はそれほどアホでもないらしく、各国ローカルのインチキ歴史も強くはなれそうにない。日本でいうなら、今更靖国だの古事記持ち出して何がどうなるものでもない。
どこから変われるんだろうかと考えると唖然としてしまう。変わるってほんと、難しい。
■ オマケ:よく考えてみるべき人
時系列に整理してて思うのは、福田赳夫は何者だったのかというのは、非常に興味深いと思う。文鮮明万歳もそうだし、日中国交回復の土台作りの表の顔は確かに田中角栄だけど、もろもろ揉めて、6年後の1978年8月に日中平和友好条約を通したのは福田赳夫。
雅子さんのお父さん小和田恆氏は日中平和友好条約で福田氏を支えた秘書官。そして皇后雅子への道に尽力したという噂のある人。
全体としてみれば、福田グループはグローバリストの極東責任者みたいなポジションの人たちって感じかしら。小和田氏はその後もずっとハーグに出ずっぱりで、奇妙なまでにオランダと縁を持っている。