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北朝鮮では追加制裁なし、ベネズエラでは巨大制裁

2019-03-23 19:58:45 | アジア情勢複雑怪奇

奇妙な記事。

北朝鮮制裁決議めぐり安保理で欧米と中ロが対立/nhk
2019年3月23日 5時06分北朝鮮情勢
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190323/k10011857671000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_004

北朝鮮に対する制裁決議をめぐって、国連安全保障理事会では、中国やロシアが、北朝鮮の市民生活への影響を考えるべきだと主張したのに対し、アメリカなどは、制裁の厳格な実施を求め、意見が対立していることが分かりました。

今さら何を、といったところ。

しかも今安保理が開かれているわけでもない。

こうした中、国連関係者によりますと、安保理では北朝鮮に対する制裁決議をめぐって、常任理事国の足並みが乱れていることが分かりました。

 

ということで、自己都合で今記事を作ったみたいな話だわな、と思うわけだがそれは一体なぜ?

ひょっとしてトランプのこの発言に対するリアクションなのか?

22日付けで、トランプは、

米国財務省が既にある制裁に加えてさらに大規模なのを北朝鮮に課すだろうと発表したが、俺は今日その追加制裁をやめるよう命令したぜ!

などと言っている。

 

It was announced today by the U.S. Treasury that additional large scale Sanctions would be added to those already existing Sanctions on North Korea. I have today ordered the withdrawal of those additional Sanctions!

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1109143448634966020

 

命令できるならあちこちで命令しとけよ(笑)という話なんだが、とにかく今回北朝鮮向けはブロックした模様。

 

米財務省が勝手な理由で各国に制裁をかけまくってるのは既に承知の通り。

理由の正統性なんかなんだっていい。対ロシアなんて、既に米国への選挙介入でも課されているし、イギリスが勝手に作ったスクリパル事件でも課せられ、クリミア問題からこっちで何千人かのロシア人と何百社かのロシア企業が、アメリカとその支配下の企業との付き合いが難しくなってる。

理由なんてなんだっていいわけ。どっちみちリンチ(私的制裁)だから。

イラクに対する経済制裁で50万人の子どもが医療を受けられず死んだことを、「価値がある」と言ったマデリン・オルブライト以来、アメリカとはこういう国であるという点でゆるぎない評価がある。あはは。

 

という中、しかし、ベネズエラ向けには、さらに徹底した制裁を課している。財務省だけではない。ビザの制限もしたし、外交官を退避させもした。停電もなんかわけあり。

金曜日には、ベネズエラ政府がテロリストと目されるグループを逮捕したことを受けて(というものなんだが)、米政府は新たにベネズエラのメジャーな銀行に制裁を課した。

これは多分相当デカい。2400万人の顧客に影響を及ぼすだろうがベネズエラ政府が非難をしている。

US sanctions against Venezuela's bank will affect 24 million clients — foreign ministry

http://tass.com/world/1050173

 

また、ベネズエラ原油の向け地として、中国とインドが主要輸入国だったんだが、インドを外させたように見える。

TASSがアゼルバイジャンのエネルギー省の発表分を引用しているところによれば、ベネズエラは、インドへの原油輸出を停止し、ロシアと中国が主要向け地とみなしている、とベネズエラの石油相が言った模様。

"The minister said that Venezuela had suspended oil exports to India and stressed that Russia and China were considered to be major oil export destinations," the statement reads. Quevedo added that Venezuela "is working to diversify its exports."

http://tass.com/economy/1049276

 

これも大きい。

The Atlanticという、その名も大西洋主義者の本拠地みたいな雑誌の記事によれば、ボルトンはじめとするトランプ政権は、マドゥロが権力にしがみつけば、経済的に追い詰めてやる、という考えをまったく捨てていない模様。

いやまぁそれでこそネオコンなわけだが、ネオコン病は他国人にも広がっており、駐米コロンビア大使は、

マドゥロとそのレジームは20年も国を壊しているんだ、2カ月かそこらで辞任すると思うなんて馬鹿げてる。どれぐらい長くかかるかわからないが、見てろ、マドゥロと彼の野郎たちにとってはもっともっと厳しいことになるんだ、

などと言ってる模様。

“After 20 years of destroying a country, to think that in two months [Maduro and his regime are] going to leave, it’s ridiculous. It’s naive to a certain extent,” Santos continued. “I don’t know how long it’ll take, but believe me, things are going to get a lot more tough for Maduro and his thugs.”

https://www.theatlantic.com/politics/archive/2019/03/united-states-weights-limited-options-venezuela/585541/

 

大使だよ、大使。大使においてこの言葉使いなんだなと考えると、ネオコン勢力のマフィア化はまったく規定のもので、そして、もはやこのへんの病人には回復の見込みはない(一生、というのではないにせよ)。

多分、トランプ政権は、自分の選挙のための生贄として、ベネズエラが追い込まれてる、どうだ、まいったか、この社会主義者、みたいな宣伝に使うんだろうと思う。

が、しかし、これって、結局、マドゥロが降りてくれない場合、マイナスしか残らないという話になるのだが・・・。

 

とはいえ、軍事オプションがあまり語られず、経済で追い詰めるという主張がメインなのはある意味新しい展開かも。

こうなったのは、ブラジル軍が最初っから今般のネオコン式取り組みに疑義を示していた、というのも結構大きいと思う。ブラジルに限らず、南米では、アメリカの傀儡なんてものを支援したら政権が持たなくなる確率は巨大。ここらへんが日本とは違う(笑)。

あとは、ベネズエラには既にS-300が配置されており、今回もブラジル側で使用されているのが確認されていたこと。こうなると、ブラジルにしても米にしてもそう簡単に制空権が取れない。これは根本的な問題として静かに大きいと思う。

べネズラ軍の軍備が強化されたのは2012年以来と考えられており、これはつまり、カーダッフィー以降、自分たちに矛先が向くとの予測であったのだろうと思う。強化したのはもちろんロシア軍。

 

■ オマケ

真面目に思うに、ベネズエラに対する米国の政策はまったく自国にとっての利益になっていないと思う。2002年にチャベスにクーデターを仕掛けて失敗したあたりから、恨みがこもってずっと適当な関与をし続け、オバマの時に国家の安全保障にかかわるみたいな大仰な案件に発展し、それをそのままトランプが引き継いだ格好。

逆のことを考えてみよう。ベネズエラは実際もともと国民の半数以上がある意味忘れられた存在のような恰好になっていた。だから、欧州でも日本でもそうであったように、近代国家への再編の時には、貧しい人たちを救い出し教育して国家の一員にして、もって有望なる消費者にするというスキームが取られるわけで、ベネズエラもまぁそうなんだなと鷹揚に構えていたら、今頃、こんなに悪い関係にはならず、ベネズエラ原油のメジャーな輸入先として、むしろやんわりと間接統治ができた可能性があるのではなかろうか。

その場合、ドルが主要な取引通貨なわけだから、アメリカの覇権の仕組みとして、実に安心じゃないの? 中国やロシアがここまで関わることもなかったのでしょう。

まぁ米資本、欧州資本と中南米の間にそんな信頼関係が築かれた試しはないことからチャベスが登場したわけで、実際問題ないものねだりだとは思うが、2000年前後の頃、取り得た別のアプローチを考えてみることも無題ではないと思う。結局、信頼関係樹立を阻むものがそこにあり続けているわけだから。

 


 


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