アレッポとかフィリピンとかいろいろ気になることは多いけど、チャイナってかハン・チャイニーズは強いわなぁとか思ったのはこれ。
中国企業による海外M&Aが過去最高に
人民網日本語版 2016年10月05日14:41
http://j.people.com.cn/n3/2016/1005/c94476-9123140.html
今年、中国の対外直接投資は高い伸びを維持し、1~7月の非金融部門の対外直接投資は1028億ドル(1ドルは約102.8円)に達し、61.8%増加した。中でも欧米先進国のハイエンド製造業に対する直接投資が盛んだ。中国の対外直接投資によって、中国企業はバリューチェーンのハイエンドへの近道を得て、また、投資対象もさらなる発展の新たな原動力を得たと分析される。
要するに、通貨が激増している世の中なんだからその紙っきれ持っててもしょうがないわけで、それを回して、非金融に投資してより実体的な資産形成に寄与しましょう、って話だよね、これ。
やっぱ、ハン・チャイニーズの強みは、この人たちは法定通貨ってのが何者かをよく知ってるってことじゃないかと思う。別の言い方をすれば法定通貨、つまり紙か数字にすぎないものはゴールじゃなくて、富の蓄積こそゴールだってよく知ってるっつーこと。それは金やら宝石であることもあるけど、でも人が生きている限り必要な産業への投資ってのも、富の蓄積的だよね。だって、通貨のバリューが変動したら製品価格が変動して動いていってくれるから、人がそれを使う限り儲けは常に出るだろうという計算が立つでしょ。
日本も、軍票まいて、チャイニーズのすれっからしの財産観の形成に十分寄与してますね(笑)。
この辺でもちょっと書いた話です。
日本を守ることの意味
youtubeにも落ちてるみたいだけど、『圓の戦争』、白いですよ。2011年にNHKが放送したもの。
元ネタはこの本。
大陸に渡った円の興亡〈上〉 | |
多田井 喜生 | |
東洋経済新報社 |
ということで、私が思うのは、日本が1980年代後半から円の価値がやたらに上がった時にやるべきことのひとつってこういうことだったと思ってみたりもするんですよ。あれは、確かに国内産業的には苦しい場面もあったんだけど、でも、価値が倍増してんだから見ようによっては要するに棚からぼたもちみたいなところはあったわけですよ。
そこで、欧州やアメリカじゃなくて、むしろ、中国とロシア(当時はソ連だが)沿海州あたりの、要するに日本の周辺のインフラ投資をしていけばよかったんじゃないのかなと思うんだすよ。沿海州とかサハリンにLNGポート作って、そのまま輸入しとけば、どうあれ3割の資源は北から来るという体制が今頃できていた。
で、そのためには、そこで第二次世界大戦に至るまでの日本の行動についてのなにがしかの申し開きが必要だっただろうから、それをあっさりすっかりすれば良かったと思うのね。アメリカとか関係なく、自分んちの周辺についてよく見る、知る、考えるという時期にすりゃよかったと思うわけですよ。
あれとこれは俺がやんちゃでした、無茶でした、でもその時こうでああで、と総決算すれば、やっぱり日本のごめんなさいになるんだけど、でも、相手からせっつかれたり貧乏になってから申し開きするより、はるかにやり易かったと思う。卑怯な言いざまに聞こえるかもしれないけど。
で、そうすると、日本は北東アジアにおけるれっきとしたリーダー、センターになっただろうなぁとか思うわけです。
しかしそうはならず、儲かったお金はアメリカに向かってたりするんだよね。アメリカを買いそう、みたいなことを書かれてアメリカ人の反感を買ったりしたこともあった。そんなことのどこに意味があったんだろうかと今さらながらそう思う。
どうしてそうなるかといえば、当時の、そして現在の日本人にとって世界とはいわゆる西側諸国だけだったから、なんでしょうね。で、ここでの序列が上がって、ここで大事にされることが最上位の目的になってるって感じ。
と、考えてくると、これもまた歴史を知っておくことの重要性の問題だと思うんですよね。19世紀からの興亡を考えればいろいろ見えてくるものはあるわけですよ。
つか、ニクソンショックがあってもまだ何も変化が必要だと思わなかった日本の知識人って何?って気もする。
なにしろ日本にとって悔やんでも悔やみきれないのは、世界中が資本主義と共産主義で戦ってるとかいう実態のない話をうのみにしたことだと思う。
大陸に渡った円の興亡〈下〉 | |
多田井 喜生 | |
東洋経済新報社 |
日本人はなぜ戦争へと向かったのか: 外交・陸軍編 (新潮文庫) | |
NHKスペシャル取材班 | |
新潮社 |