ウクライナは、結局のところ米英のリップサービス以外に何もなく、ゼレンスキー率いるキエフ政権は、単独でロシアに立ち向うこととなった。
思えば、キエフの右派セクター、アゾフetc.の過激派は、ロシアこそ敵だと騒いでいたのだから、思いがかなったじゃないかと見ることもできる。それはちょうど1930年代のポーランドを見る思いだ。ロシアなど大したことはないと大口をたたいていたものだった。
それはそれとして、この問題は日本ではとびぬけておかしな報道をしている様子だが、アメリカ人の中には、結構辛抱強くこの問題につきあってきたクラスターが存在する。
主流メディアから締め出されているが、自力でかなりの読者を抱える反ネオコンの旗頭みたいになってる、元レーガン政権の経済補佐官だったポール・クレーグ・ロバーツは、
プーチンの24日の演説を引いていた。
我々の言うことを彼らは聞かなかった。今度は聞いた方がいい。
“They didn’t hear what we told them. They had better hear this time.” — Vladimir Putin
そう、短くはこの8年間だけど、その前に2007年にミュンヘン会議があってそこで旧ソ連圏内まで侵入してくるNATOに警戒を示した。その前には、ブッシュ政権によるABM条約の一方的な破棄を止めてくれと言った。
全部聞き入れられず、知らん顔してNATO=米軍が、2014年にクーデターをしてウクライナの行政体をコントロールすることとなり、ウクライナ各地に軍事施設を作り出した。
昨日、ニコライエフ付近の施設が爆破されていたが、そこはアメリカが基地として使用しようと作ったところ。こういうのがあるから、去年あたり、イギリス軍だのアメリカ軍が黒海に入っていって、どうだ見ろ、俺たちはここを取るんだぜ、という態度を見せることができたわけですよ。
そういう挑発を黙って見過ごすことは、結局は、後になればなるほど大きな武力衝突になることは目に見えている。だから、もうそういうのを止めろ、とプーチンは言ってきた。
つまりね、8年前にもう戦争は始まっていたと言ってもいい。だから、自主的に退却してくれ、とロシアは言っていた、というところ。
そこを、ポール・クレーグ・ロバーツなどは、そんなことを言ったってネオコンのアメリカ政府は聞かない、プーチンは弱腰だ、という路線だった。つまり、武力を使って叩くなら小さいうちに叩いた方がいい、という考えが最初からあった。
こういう考えの人は実のところアメリカ人には結構いる。アメリカの政権が話を聞いて、自ら正常な方針を取るとは到底思えない、と思ってるわけ。なにしろ、自分たちは、立派なヘゲモン(覇者)だと頭っから信じ込んでいる手合いが国務省、ペンタゴン、etc.に多数いるから。
そうであるのなら、ロシアはいつか決断して武力を使うしかなくなるだろう、と思ってたわけ。しかし、そうすると黒海周辺での通常戦力でロシアに勝てないアメリカは核兵器に訴えるんじゃないか、という懸念があって、ここらへんの人たちは気が狂いそうになっていた。
思えば、それはロシアにも同じくあったでしょう。だから、いろんなチャネルを使って米の各部門の意思を確認して、ボトムラインの妥協させていった、って感じじゃないだろうか。少なくとも、お前にとって、核戦争を起こすほどの価値はウクライナにはないだろ、という点を米(+英)の軍事部門に認めさせてからものごとを始めたのではないのか、と想像する。想像だけど、でもそうだと私は確信してる。
■ ミアシャイマーの解説
また、この間書いた、アメリカのリアリスト系統の学者さん、ミアシャイマー氏の動画「ウクライナはなぜ西側の失敗なのか」 。
ミアシャイマーのウクライナ動画 & UKのリーク・デマ
1月23日にこのエントリーを書いた時、私は、160万もビューが付いている、と書いているが、今見ると、790万を超えていた。
7,940,243 回視聴
2015/09/26
2015/09/26
何日か前この話を書こうと思って見た時に確か600万ぐらいだったので、さらに勢いがついたのかもしれない。まぁ、そうなるでしょう。
あらためてリンク貼っておきます。
Why is Ukraine the West's Fault? Featuring John Mearsheimer
で、1月23日のエントリーでも書いたけど、せめてこのぐらいの筋のいい解説を持ち出して、いやいや今般の出来事は、と解説できるエライ人は日本にはいないわけ?
もう呆れるほど愚か。
■ 今後のアメリカ
で、アメリカの現状は、大雑把にいって、2割強はこの話を今すぐミアシャイマー的に解説しても納得できる状況だと思うわけです。そして、煽らずとも多少メディアに乗せたら4割ぐらいにはなるんではなかろうか。
日本人が知ってないだけで、NATOはあっちがワルシャワ条約機構を止めた時につぶすべきだった、という考えはアメリカには根強くある。それによって同盟関係みたいなへんなものを整理して、軍備もモダンにしたい、と思ってた。
つまり、これは、政治問題化した時、勝てるようなイッシュー。だったら共和党は拾え、といいたいとろこだが米の国会議員は民主も共和も根っこは同じだし、冷戦メンタリティー+軍需利権は共和党の十八番なので、みんなして隠してる。トランプも、拾えなかった。バイデン息子の金がらみしか触れてない。情けない。
で、問題はしかし、全然隠れてないところにあるわけです。ということは、誰かが拾って、上手にアメリカの顔を立てられるよう成形できれば(できれば、だが)、遡上にあがる可能性は多いにある。
そういう状況なので、今後は、冷戦期の嘘、冷戦後30年のネオコン時代の嘘を整理して話を整えておかないとならないわけだど、どこから考えていいかわからないほど、日本の言論環境はパ~だと思う。いやしかし、ヨーロッパも酷いな。つまり、子分の領分が酷い。
まさにそれ。アメリカにはウクライナはバイデンが作った傀儡、と言えちゃう土壌がある。つまりクーデターで無理やり作った満州国。
日本は満州国のみならず、やたらに各地の民族主義を煽って傀儡作りをしたがった人たちなのに、なんで自分がやってきたことと同じだと思わないんだろう?
(以下引用)
ロシアの偽情報作戦、ソ連時代から「お家芸」 ウクライナ危機の深層
2022年2月25日 12時00分朝日新聞デジタル
――ロシアは一連のウクライナ問題で、どのような偽旗作戦を行ったのですか。
例えば「ウクライナ軍によって、東部のロシア系住民が虐殺されている」、「ウクライナ軍による砲撃が激化している」というような、写真や動画つきの情報がネット上にアップされました。そして偽情報をロシア国営放送やスプートニクといったニュースサイトが取り上げる。それによってロシア国内、そしてウクライナ東部のロシア系住民の憎悪をウクライナ政府に集め、ロシアがウクライナを攻撃しやすくすることを狙ったものと思われます。しかし現状、偽情報の多くはウクライナの親ロシア勢力によって作られているようで、実はアップされた遺体写真が過去のものだと即座に指摘されるなど、精度はあまり高くありませんでした。
これなら、ショルツの「ドンバスでのジェノサイド?笑止千万」という発言も分かります。一体2014年の一件以来、何人の西側記者がドンバスに入り取材したのでしょうか。キエフに留まり、ネオナチ政権の声明を右から左へ流すだけでなかったでしょうか。今、キエフの女、子供が地下鉄構内で砲弾に怯えている、可哀想という映像が流れていますが、ドンバスでは既に8年この状態が続いているのは間違いないと思います。或いは、僕がロシアに騙されているだけの愚か者でしょうか。趣味でロシア放送を見ているだけの素人ですが、ロシアテレビの報道は到底フェイクだとは思えません。今でも覚えているのは、2014年だったか15年だったか、ドネツク中心街にロケット弾が着弾、もろに停車中のバスに命中し、乗客10人以上が死亡する事件がありました。この時、偶々ロシアテレビクルーが現場近くに居て中継映像が流されました。モザイク処理なしで血まみれの既に命はなかろう人々の映像はショックでした。ドンバス内戦での死者は一般人2000人以上、その内子供が130人というのがドンバス側の統計だったと思います。これをフェイク、笑い事にしてしまう思考回路は将来に禍をもたらすだけだと思います。
プーチンは、今回の作戦はドンバスの悲惨な状況を終わらすためのものであり、そのためにウクライナの「武装解除」「非ナチス化」だと述べています。「非ナチ化」目的だと思いますが、キエフでの「市街戦」。敵はシリアと同じように市民を盾に攻撃するでしょう。一刻も早く、一般人の犠牲なきよう作戦が終了することを祈っています。
すごいですね。ほんと。
8年間みてきた人たちはそんなものに騙されない、というただそれだけですね。
西側の主流メディアは2014年のクーデターの時もシリアの時も取材してない。
(本当に取材に入ったロシアとか一部ヨーロッパのジャーナリストは何人も死んでいる。)
そんなことはもう、でも、今更どうしようもないと思う。
愚かなところはますます愚かになり、気づいたところは変革を求める、という地球マップになるだけ。
ここのところの状況でコメントするに至りました。
自分がどうしても思い出すのは、ノヴォロシアでやってこうと思う、というアレクサンドル•V•ザハルチェンコの会見と、後に彼が殺されたというニュースです。あの切実なインタビューを思い出すと本当に心が痛いです。今は尚さら。
彼らが話していた犠牲者や被害がまるで認識されていなくて、ドネツク•ルガンツクの声が全く伝えられなくて、一方でウクライナ万歳と言って仲間でつるんでる自撮り動画を投稿するゼレンスキーがヒーロー扱いされている。
ゼレンスキーの首根っこをひっ捕まえて、プーチン大統領に突き出してやりたい思いです。お前ドンバスを安定させますって就任したとき言ってたんじゃないのか、って。
ともあれ、これからもブログ楽しみにしています。
市民に銃が支給されたという知人からの情報、納得です。
昨年見たロシア第一TVニュースでドンバス民家を攻撃直後のウクライナ兵に顔出しインタビュー。
「奴らのアジトを吹き飛ばしたぜ。奴らは反政府分子、まだまだ殺ってやるぜ」とニヤニヤ。
地元民ならスグばれるはず、捏造には思えなかったです。
今はロシア国民が大勢、戦争反対とプーチン非難、自国の恥だと騒いでるとか???西側のお手盛りもありますが若い世代では本当に広まってるのだと感じます。
長引けば西側が湯水のように与えた武器弾薬が狙い通り効いてくる?
半狂乱キエフ市民の同士討ち、、とか未確認ですが出てきて、もちらん西側ニュースに利用されますよね。
悪い方に考えると、いくらでもデジャブが…
これら全ては予測済、それでもプーチンはここでやらねばならなかったのでしょう。
決死のチェスがうまい事勝利しますように。どうか両国民の被害が少なく決着しますように。
夜のNHKニュースで、国連総会でウクライナの国連大使がチュルキン・ロシア大使の制止を振り切って皆に黙祷を捧げるよう求め、
他の出席者らがそれに応じたことで「ロシアの国際的孤立が浮き彫りになりました」と報じられているのを聴き、非常に割り切れない思いを抱えております。
このことで思い出すのは、2017年にチュルキン氏がイギリスのマイクロフト国連大使に向かって言ったこの言葉です。
「フォークランド諸島を返しなさい。ジブラルタルを返しなさい。あなたがたが海外領土としているキプロスの一部を返しなさい。インド洋上であなたがたが巨大な軍事基地を展開するチャゴス諸島を返しなさい。そうすればあなたがたの良心もひょっとすると多少は洗われて、他の議題を批判することもできるようになることでしょう」
チャゴス諸島については自分もほとんど知識がなかったので調べてみましたが、
2019年には国際司法裁判所から「イギリスには、チャゴス諸島の統治を可能な限り迅速に終結させ、モーリシャスに自国領の非植民地化を完了させる義務がある。モーリシャスの独立後もイギリスが統治し続けているのは違法である」との勧告が出され、
同年には国連総会でイギリスに対し「6カ月以内にチャゴス諸島の植民地統治を終え、撤退する」よう求める決議が賛成116、反対6、棄権56で採択されたにもかかわらず、イギリスはこれを拒否。
更に、2021年1月28日、国際海洋法裁判所はイギリスの主権を認めずモーリシャスへ返還するよう裁定したにもかかわらず、イギリスはこれも拒否して現時点でも支配を継続。
これって、ロシアが2014年からウクライナ東部で行っていることよりも遥かに悪質ではありませんか?
私は、自分のことを棚に上げてロシアを悪者扱いするイギリスのダブルスタンダードも許せませんが、
こうした情報を殆ど報道せず、まるで西欧=善、ロシア=悪のような図式を作り上げている日本のマスメディアや知識人の行為も理解できません。
怒りが強すぎてうまく言葉になりません。