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あれは安倍政権によるクーデターだった/石川健治氏

2015-07-20 01:25:59 | 太平洋情勢乱雑怪奇

安倍政権の今般の行動に対する東大の石川先生による解説。

あれは安倍政権によるクーデターだった/石川健治氏(東京大学法学部教授)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150718-00010001-videonewsv-pol

 憲法の条文を改正する手続きを定める憲法96条は、憲法の中では他のすべての条文よりも高い位置にある。それを壊す行為は憲法そのものを転覆させる行為であり、これを法学的には「革命」と呼ぶが、「革命」が成功するためには国民の支持が必要だ。しかし、日本国民は憲法96条の改正を支持しなかったため、「革命」は失敗に終わった。

 ところが安倍政権は今度は、国民を置き去りにしたまま、政府レベルで法秩序の連続性の破壊を図った。内閣法制局長官を集団的自衛権容認論者にすげ替え、 集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、政権与党のみで法案を国会を通してしまった。国民から支持を受ける「革命」に対し、国民を置き去りにした状態で法秩 序の連続性を破壊する行為を、法学的には「クーデター」と呼ぶのだと、石川氏は言う。

 

これすごい納得します。憲法擁護義務のある当の本人たちが徒党を組んで、知りながら、あるいは知り得べき状況にありながら憲法秩序を破壊したのだから、それこの状況は革命かクーデーターかのどちらかでなければならない、と思ってた。

で、大多数の国民的支持が得られていないのだからそれはクーデータと呼ぶ他ない、と。

まぁその、憲法学者が怒るのは当然だし、頭の中に脳みそが入っている人で、安倍クーデーターの擁護者でない人はもれなく、これはアカンとならんといかん事態でしょう。

その意味で、年取った人だけじゃなくて若い人に結構な数、この間の手続きはおかしい、憲法違反を知りながら強行するのはへんだ、と気が付いている人がいることは日本にとって朗報。

■ ウクライナも革命ならずのクーデター

ウクライナのケースもそうで、一見派手な暴動みたいなのに目がいくけど、選挙で選ばれた合法政権を非合法に排除したことから、憲法秩序が崩壊した、こここそがあの問題のハイライト。この間議会は開かれており、そこで多数決もとっている。しかし大統領追放手続きが違憲状態であることにはなんら変わりはない。

ウクライナのケースは、今では、ある日突然ロシアがクリミアを奪取したような嘘が西側メディアでは「主流」になってるが、最初は、あの事態をNYタイムスあたりは「革命」と呼んでいた。つまり、多少の違憲状態があるにせよ、それはあの腐敗しきった大統領が悪いため緊急事態的に違憲はやむを得ない、第一国民的支持がある、としたかった。

しかし、ウクライナの東側住民が全然支持していない、武装してまで反発していることが明白になると、革命とは言わなくなって、さりとてクーデターとも言いたくないらしくて、結局話を倒錯させて、ロシアが攻めてきたからこうなったみたいなことになってる。

ウクライナで起こったことは暴力に目が行きがちだけど、憲法秩序が一度壊れるとどうなるのかの現代における好例だと思う。

■ マイノリティー政権 or 暫定政権

ではこれをどう収拾すべきか。法秩序を回復させるためにはできるだけ早く選挙を行って、無法者を追い出すしかないでしょうね。

と、ここで野党が弱いから何もできないとか考えたくなるけど、でも、少なくとも過半数を取らせなければまだ無法者を追い払う可能性は残る。

カギになるのは連立をしないこと。

つまり自民3割、公明1.5割で、民主2割、共産1割・・・みたいになった場合、ここで、自民+公明+民主とすれば連立で過半数を抑えられる。これがいわゆる連立政権だけど、こういう組み方は憲法が要請しているわけではなく、日本の慣習なんでしょうね。

一方、イギリスとその仲間たち圏では、連立の習慣がない。一党3割でも単立でいく。事実上のパートナーというのはあるけど。で、これをminority governmentとかいって、弱い政権と考える。そりゃそうでしょう。何を通すにも野党と協力しないとならないんだから。

だから、マイノリティー政権は弱いので全体が早く次の政権を整えることを考える話になる。※1

しかし、これでも無法者が居座るので、これではダメだという考えもあるだろう。その時には、野党全部を足して過半数となったのでこっちにする、というのはどうだろう。多分、慣習的にあり得ないという声が出るだろうが、しかし、クーデーター実行者にそのような主張をする権利はない、という理屈も成り立つだろう。

ということで、この場合にはオール野党のある種のcare taker government(暫定政権)みたいなものを組むというのもありじゃなかろうか。

■ 思い付き

早晩G7ってのがなくなったりして・・・。日本を放逐するとなると国際問題になるから面倒なので、そもそもG7では世界を見通すことには無理がある、今後はG20で、とか、S6でとか、T7でとかなんか違うユニットが提案されていくんじゃないかと想像してみたりする。

■ ※1

英コモンウェルス圏の多くの国は小選挙区制を取っていて、その上でこの単独で政権を取るというのが基本だと思う(各国でだんだん変わってるかもしれないが)。この意味は、さっさと責任ある政権を選び、ダメなら下ろす(だから解散という手段がある)というある種戦時のリーダー探しみたいな発想なのかもしれないと思う。英コモンウェルス圏のある国に住んでいた時、欧州のように比例制を入れようという議論がなされていたが、効率よくリーダーが選べるのは小選挙区制である、比例は政治を停滞させる、という議論がリベラル、保守を問わず優勢だったのを目撃した。

日本の場合、思い起こせば、小選挙区制を取りかつ恒常的に連立を組んでいるので、民意の反映に難がある状態を継続させているようなことになっている。

政権に安定的な要素を求めるのなら、比例重視で連立多用、政権に常に適切な判断を求めるのなら小選挙区制、連立は事実上のものに留まる、ってのが正解なんじゃなかろうか。


 

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日本人はなぜ戦争へと向かったのか: 外交・陸軍編 (新潮文庫)
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牽強付会の戯言なり。 (三角四角)
2015-08-09 01:03:03
石川健冶氏に限らず、日本の憲法学者はなぜか、日本国憲法を、疑いもなく、不磨の大典と考えている節がある。 学者の態度としては、不誠実であろう。 他国が占領中に、被占領国の憲法を改竄するのは、国際法たるハーグ陸戦条約違反で無効と考えるのが自然であると思われる。 また、日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正限界を超えているとする、憲法改正限界説に対し、無限界説の他に、八月革命説という、トンデモ学説がある。 実際は革命などなかったが、ポツダム宣言の受諾により、法律学的意味の『革命』が生じたとするは、牽強付会の戯言なり。  これほど、酷い、法秩序の連続性破壊は希有にして空前絶後である。 石川氏は、それに対して、国民を置き去りにした状態で法秩序の連続性を破壊する行為を、法学的には『クーデター』と呼ぶのだと仰るが、いつ、どこの、法学者が、呼んだのかは、私は寡聞にして、知らない。 教えて頂ければ、此れ幸いである。 たぶん、嘘っ八であると思われるが。 結局、何事も、疑ってみるのが学究の徒の習いではあるまいか。
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