トルコ軍がシリア北東部のクルド人がいるところを攻撃したというので、何か報道が盛り上がっているっぽい。
トルコ、シリア北東部でクルド勢力を攻撃 地域不安定化に懸念強まる
https://jp.reuters.com/article/syria-security-turkey-erdogan-idJPKBN1WO1RJ
地域不安定化に懸念強まるって、あんた、シリアを侵略してまるごと取っちゃう作戦は西側のものだったわけで、今更不安定化も糞もないだろうと、とまずはそう言っておきたい。
で、トルコは確かにシリアという他国領域を攻撃しているのであからさまな侵略行動が行われている。これはそう。
しかしその前に、そのクルドを盾にして居座ってたアメさんの軍がいたわけですよ。
そのアメさんの軍は、現時点で知られているところでは多分だいたいマジで撤退したらしくはある。
2日前、6日、7日あたりに撤退を開始したと米のスターズ&ストライプが書いていた。
US troops start pullout from along Turkey's border in Syria
さらに、ロシアRTが、米軍が投げ捨てた基地の写真を出している。シリア軍かロシア軍の協力によるビデオ撮影ってことでしょう。
WATCH: Former US military base in N. Syria left deserted following withdrawal
https://www.rt.com/news/470490-us-base-syria-abandoned-video/
ということで、これはつまり米がクルドを盾にイラク側とつないで、イラン側とつないで、つまりクルド支配領域をカバーしながら一体支配を試みるとかいう話は、現時点ではなくなりますということであろう、と思われる。
ただ、ここしばらく、イラクでまたまた政変を起こしていたようなので(アメが教唆して)、それはつまりシリア北東部を支えるためにイラクを全体的に支配してやる、それじゃなきゃ作戦成り立たないって話であったのか、それとも、撤退後を踏まえて、イラクだけは手放さない、手放すもんか!という意味だったのかは不明。
ともあれ、トルコ軍の行動は、もしトルコが居座るとか言い出さない限り、ある意味でクリーンナップ作戦となってる感じではあるまいか。
次の動向は、シリアのクルド人はどうするのか、でしょうね。
これはもう、前にロシアのロスネフチ(石油屋)が出て行って、クルド支配地域の油田開発をもちかけた時に、クルドは折れればよかったわけだわな、としかいいようがない。
シリアの中で身の立つようにしてやるから馬鹿なことは止めろ、ってのがこの提案の意味だったでしょう。
しかしあくまでアメリカ(というか、実際にはイスラエル系だと思うが)に着いて行って、アメの方は守りきれず、撤退となりました、従いまして、クルドは今回も盛大に馬鹿をみておりますといったところ。
ただこれがトランプが力んでいるように、きれいな撤退になるかどうかはとりあえず保留。
まぁ中東支配は the Westのここ200年の成果みたいなものなので、これがどう崩れていくのか見もの。
現状はこんな感じで米軍がいるわけだけど、トルコとイランが言うこと聞かなかったら他にやりようないだろうという配置ではある。
半年前に書いた通り、この支配構想を捨てられない限り、the Westが中東を捨てるって話にはならない。
ユーラシア vs 西側:マッキンダー理論とSCO
ただ、本人たちどう思っていようと、できなくなる、ってことはあるし、現状はそんな感じ。
だから、ユーラシア側としては、the Westの悪魔の試みを戻せなくなる体制が必要。そのためには、ものの考え方、ものの見方を復活させないとならない。この200年間、とりわけ過去70年間ぐらい、英米に都合のいい適当な歴史を埋め込まれているのでそれを正していかんとならんね。
■ オマケ
で、この話は、日本にとっては
日本はビルトインされたままなのか?
という命題となって現前しているわけなんですが、どうなんでしょう。目が覚める時はあるんだろうか。
概念的にはこんな感じでユーラシアを攻めるフォーメーションが出てきて、日本の近代とは要するにthe Westの極東の代理人化でしたというところは確かにある。大日本帝国でも1947日本でも変わるところはない。(ここからイラン、トルコが青くなって、インドが薄い青になっていくことを考えれば、そら大変、となるわけね)
これは政治的な問題というより文化的に相いれない何かが存在している。
ロシアとトルコは政治的には必ずしも同じではない。
米軍がシリアから撤退してトルコがシリアに侵攻してもいいとエルドアンを除いて誰も思ってはいない。
プーチンはシリアに協力したがトルコには何の約束もしていないはずだ。
プーチンとクルド人勢力が組めばいい。
どちらもISの排除に賛成していたが米軍の存在が彼らの協力を妨げていた。
トルコはいわゆる火事場泥棒だ。