いやいやいや、これは大きな事件でした。
フリン米大統領補佐官辞任発表 対ロ制裁疑惑で引責
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14H60_U7A210C1000000/
ロシアの大使と制裁についてまだ民間人である時間帯に話し合ったのへちまのと言うけど、そんなことはまったくどうでもいい。というか、そういう線で嵌めたということですね。
フリンがどういう人かについては何度か書いたけど、要するに、ムスリムという宗教の中に、過激派を作っていった一派は特別に悪質なんだ、これを取り分けないと危険なんだという点を指摘し続けていた人。しかも、外側から言っているんじゃなくてこの人は軍の情報機関のトップだった中将なのでわかってて言っている点が味噌。
トランプ、ホントにフリンを起用するらしい
「アメリカもイノセントじゃないだろ」がもたらすざわめき
「マスコミに載らない海外記事」さんが訳されていた記事の中の一部分もとても適切。
トランプがこれを知っており、マイク・ポンペオ[CIA長官]がこれを知っており、マイケル・フリン中将がこれを知っていることを我々ははっきり知っています。マイケル・フリンはオバマに、国防情報局局長を首にされたのです。マイケル・フリンは、オバマに、まさに‘大統領、シリアには穏健派などいません。シリア国内の穏健派は神話です。そんなものはいません’と進言したがゆえに、オバマにDIAから追い出されたというのは、ワシントンD.C. では公然の秘密です。しかも、現在、トランプ大統領がマイケル・フリンを国家安全保障顧問に採用しました。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/cia-6a7f.html
だから、私としては、ほんとにこの人採用するのぉおおお???だったわけです。だってこれこそ実際大問題だから。公然の秘密を公然の事実にして、対策しようというその点に関してだけいえばフリンは実にまったく正常な人だったわけです。(フリンの他の視点には問題があると私は考えてる)
西側さんチームは過去何十年か、イスラム過激派というのを作って、それを散らばらしてそれを撃つ、という「対テロ戦争」をしてきたわけでしょ。つまりマッチポンプね。これは今日広く知られているわけですが、「オフィシャル」ラインでは知らぬ存ぜぬの態度。
ということで、ここでフリンを切ったということは、アメリカ政府は、誰が大統領になっても、サウジアラビアと共にテロ活動「対策」するしかありません宣言みたいなものですかね(笑)。
で、「マスコミの載らない海外記事」さんが訳してらしたこの記事そのものもまた重要。
テロとの戦いの功績で、サウジアラビア皇太子にCIAが褒賞を与えたのは悪い冗談
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/cia-6a7f.html
フリン降板の1日前に、CIAはサウジの皇太子に、テロ対策における協力を感謝したメダルを授与していた。
ほとんど爆笑なわけですが、しかしこれは意図があってやったんじゃないでしょうかね。つまり、俺らはサウジを切らない、切れない、貶めたりもできない、触るな寄るなという宣言。
そんなことならフリンを切る、と。
■ トランプ政権にとっての意味
トランプ政権は結局多くの人を裏切るしかない路線に行くオッズが高まった、フリン事件を見て私が真っ先に思ったことはそれです。
フリンが重要だっただけでなく、この人を公開処刑したことが問題でしょう。
これによって、もうこの線をつつく人は出てこない。これができる人はそんなにいない。そして、トランプに忠誠を誓う人は疑心暗鬼になる。
CIA他の情報機関にメスを入れる話も、出てくるだろうけど、まぁそういうことで、以上にはならないんでしょうね。
トランプは、もし多くの人を裏切ることが本意であるというのでないのなら、最初にヒラリー追及をしてホントに大混乱にすればよかったんだろうな、と今更思う。これしかカラー革命を防ぐ手立てはなかったのでは?
これをやらなかったということは、もともとトランプには抜本的な改革を志向する気まではなかった、または、できるほど勇気がなかった、のどちらかじゃないですかね。
あるいは、こういうストレートな人を前に出して国民を釣り上げてトランプを当選させて、次にこのへんを切って、最終的にどうでもいい政権にする、という作戦だったのかもな、と考えることもできる。
トランプが当選した後、ロシアのザハロワ報道官が、トランプにはユダヤ系の資金がクリントンの倍入っているという話もあると私たちはニューヨークで聞いています、みたいなある種謎の表明を行った意図は、トランプ勝利に喜んでしまいがちだったロシア系に対するウォーニングだったんだろうな、とか思う。
さてその場合今後のアメリカはどうなるのか?
どうなんでしょうか。外交的には詰んだなって思ってるんですが、そこはマスコミが騒いで、またシリア問題を再燃させていく方向もあり得るし、さらには、911レベルの策謀が来る可能性もあるんじゃなかろうか。多くの人の頭を忙しくさせればいい、って話ね。偽の騒ぎを作って、ロシアはなんて悪い奴なのだ、これこそ世界が立ち向かうべき問題だ、みたいなテーマ設定で来るんじゃなかろうか。
対イラン制裁に反対します by ロシア&中国
が、しかし、さはさりながら、ここまでゲロが見えている世界をいつまで無視していかれるものなのか。わかりません。
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いやしかし、その枕はソバだったみたいな感じもあると思うんですよね。高いつもりでも高くなれない、みたいな。
スノーデン引き渡しの可能性についてニュースになっていたけど、もし、現実にそうなった場合、米政府はこの爆弾をどう扱うのだろう。
あちこち爆弾だらけでも何一つ開けられないわけですから、それと同じように適当な理屈つけて終わりにする、というのが最も考えられるところではありますよね。ただ、それで一体どこまで行けるのか・・・。と考えると、やっぱりここらで今までと違うアメリカ、というのもまんざら理想だけでもないと思うんですよね。