DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

ビクトリーデー@モスクワ 2022年

2022-05-10 19:30:36 | WW1&2
ビクトリーデー@モスクワファンの皆様、こんにちは!

今年もまた5月9日、1945年の対欧州戦線終了を記念してモスクワ赤の広場にて「ビクトリーデー」が祝われました。 

今年は、なんといっても対ナチ戦争再びという冗談のようなホントの話になっている最中ですので、会場設定にもそれを思い出させるアイテムが使われていた。



会場に招待された退役軍人というか、ずっと昔に戦ったおじいちゃん、おばあちゃんたちにしてみたら、一体これは何なのだろう、って感じだろうなと思った。



しかし、人によっては、そうれみろ所詮西側はこんなものなのだと気勢を上げ、何十年に一回かは必ず来る、油断できなんだと決意を新にしているのかもしれないと思ったりもした。

Парад Победы в Москве 9 мая 2022 года. Полная версия. Прямая трансляция. FHD


■ パフォーマンス:軽快感

全体として、今回はコンパクトだったという印象をまず持った。そして、軽快だった。

参加人数は節目の時でない例年より多分若干少なめといった感じだと思うし、プーチンのスピーチも短く、悪天候のため空軍のパートもなかったので、時間自体も短い。

重量感がないかというとそういうことではないのだが、将兵の動きもいいし、音楽も難しいハーモニーを作ってどきまぎさせるといった作りになっていなかった(テンポが乱れたところはあったが)ので、軽快という印象に繋がったのかもしれない。が、それだけでもないかも。

去年は、2月ごろに度重なる危機があって、挑発をどう受けるのかの重圧があったということなのかもしれない。今年はもう武力衝突が始まってしまったので、そういう意味での緊張感はなく、頑張るだけ、やることやってる、結果もついてきてる、というきっぱり感がパフォーマンスにも現れている、と考えることもできそう。

読み返すと去年こんなことを書いていた。

7、8年前までは、プーチンの気迫にひっぱられてる感じだったが、徐々に変わって、数年前からはプーチンがいなくても軍がいる、という感じになった。今年などは、強い組織が大統領をお迎えしている、になっているかもしれない。これはこれで、もし行政+政治という「頭」にあたる体制が弱い国だと懸念材料になる。

でも、ロシアの場合はむしろこれが普通なんじゃなかろうか。もともとロシア帝国の軍組織は大きく強い。次がソ連でこっちも同様。90年代のがたがた時代が異常事態で、だからこそ強いリーダーがやってきてひっぱられる事態となったが、またまた安定軌道に乗りましたといったところか。

今年はさらにそんな感じがした。

プーチンは、司令官としての役割は役割として軍からの報告を受け、重要な訓話を行うという形式で当然重きをなしているが、退役軍人のおじいさんたちの中で自分もおじいさんとして座っている姿など、若いもんはしっかりしておる、と見ているという意味にもみえる。


■ 特殊作戦、非ナチ化、マザーランド

毎年注目されるプーチンのスピーチは、当然のことながら去年までとは違う。

去年までは何度もこうしたウォーニングを投げていた。これは去年2021年。

残念ながら、大部分のナチスのイデオロギーと、自分が優越しているという妄想理論のとりこになっている人々の考えが、またぞろ持ち出されようとしている

History demands that we learn from it. Unfortunately, attempts are made to deploy a large part of Nazi ideology and the ideas of those who were obsessed with the delusional theory of their own supremacy.
http://en.kremlin.ru/events/president/news/65544


今年は、そのウォーニングが無駄であったことが明らかになり、現実が変わった。

昨年12月、私たちは安全を保障する条約に署名することを提案した。ロシアは、西側に対して、意味のある妥協的な解決策を模索するために正直な対話を行い、互いの利益を考慮に入れるよう促した。すべて無駄だった。NATO諸国は私たちの提案を聞き入れなかった。つまり、彼らはまったく異なる計画を持っていた。 そして、私たちはそれを見た。

またしても懲罰的オペレーションだ。クリミアを含む私たちの歴史的な土地への侵略が公然と行われていた。キエフは核兵器を手に入れることができると宣言した。NATOブロックは、私たちに隣接する領土で活発な軍事力の増強を開始した。

このように、私たちに対する絶対に容認できない脅威は、私たちの国境で着実に生み出されていた。 米国とその手先に後押しされたネオナチやバンデラ主義者との衝突は避けられなかったというあらゆる兆候があった。

繰り返しになるが、軍事インフラが構築され、何百人もの外国人顧問が仕事を始め、NATO諸国から最先端の兵器が定期的に供給されているのを私たちは見てきた。脅威は日々増大した。

ロシアはその攻撃に対して先制攻撃を開始した。それは、そうせざるを得ない、タイムリーで唯一の正しい決定だった。主権のある、強くて独立した国による決定だ。


というのが現状に対するロシア当局からの説明。

pre-emptive(先制)だとプーチンは言うが、ドンバスへの砲撃は日々増加して、最終的には驚くほどの数の砲撃が行われていたことがOSCEのモニターによっても記録されているんだから、正当な防衛だろうという声もある。

例えば、昨日のMoon of Alabmaさん。マップとデータが入ってて見やすい。

他にも、主流メディアに載らない情報将校の分析なども、ウクライナ側が既にドンバスを攻撃しているし、NATO諸国はそのつもりで行動しているんだから、ロシアがだしぬけに出てきたみたいな話はまるでプロパガンダといっている。


そこはまぁ今後問題になるかもしれないけど、それはそれとして、プーチンのスピーチの中では、ドンバスを我々共通のマザーランドと規定していることにも注目したい。

どう考えても広義ロシア人にとっては、当然だろ、という話しなのだが、国際的な言説では、そこは「ウクライナ」で、「ウクライナ」はロシアの敵というい建てつけになっている。今般の動きはそれを覆した。

今日、ドンバスの民兵はロシア軍とともに彼らの土地で戦っている。そこは、スヴィヤトスラフとウラジミール・モノマフの家臣が、ルミャンツェフ、ポチョムキン、スヴォーロフ、ブルシロフの指揮下の兵士が敵を粉砕し、大祖国戦争の英雄ニコライ・ヴァトゥーティン、スィジル・コウパック、リュドミラ・パブリチェンコが最後まで踏ん張ったところだ。

私は私たちの軍隊とドンバスの民兵に向けて言っています。あなたたちは私たちのマザーランド、その未来のために戦っています。第二次世界大戦の教訓を誰も忘れないようにするために、そして世界には拷問者、暗殺部隊 、ナチスのための場所などどこにもないようにするために。


ドンバスはロシアというマザーランドであって、私たちの未来は一緒だという言明ですね。そして、もちろん、そこはナチのない場所にするということ。ドンバスがどこまで拡がるのかは定かでないですが。

どうしてこれがロシアにとって重要かというと、ヨーロッパが狙っているから。ロシア系住民の歴史や言語を奪って、ヨーロッパの二級市民にして黒海込みでそこを使おうというのが、EUの目的でしょう。だから、どこまでも非現実的なまでに「ウクライナ」を手放そうとしない。ほとんど架空の存在みたいになっても「ウクライナ」と言い続けているって感じになってきてる。

これがナチスでなかったら1941年のナチスは一体なんだったんでしょう、というほどにまるでまったく同じことをしているのがEU&UK&USの政治ユニットとその武力組織であるNATO。

ドンバスからロストフあたりにかけてのロシア人を殺したらウクライナを制覇してロシアでレジームチェンジを起こせるという想定をした奴は、本当に馬鹿。アメリカの国務省、CIA、イギリスMI6あたりが筋書き書いているんだろうけど、まずはドイツ人に聞いた方がよかった。

1944年4月17日、赤軍、ドニエプル・カルパチア攻勢完遂


その他、ロシアの中のさまざまなエスニック的な背景を持った人たちが一致してマザーランドのために肩を並べて仕事をしていることに触れてるのもよかった。民族対立を煽って内部から崩そうとするのは西側の十八番なので。


ということで、今回のプーチンのスピーチはこれまでで最も短い部類に入るだろうに、読みだしたら中身がありすぎてフォローできてないですが、まずはこれまでにしたいと思います。

これはつまり、もはや示唆したり、相手に読み取らせるために工夫をする必要がない分、本旨だけが並んだので中身があったということかもしれない。


■ 参考記事

ビクトリーデー@モスクワ 2021年



コメント (9)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 5月8日・9日:ナチ・ヨーロッ... | トップ | 混乱と拡大:NATO、法王、UN... »
最新の画像もっと見る

9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
西という方角は”いにし”に由来 (Исао Симомура)
2022-05-18 20:13:58
ミール様 魏志倭人伝の水行、山行の表現は連水陸路の意味ではないでしょうか。集団が重い荷物を運ぶには、丘曳きにしても、舟に積み込むのが合理的です。それと邪馬台国が大和にあったらしいことは、自分たちの祖先は西(にし)の方角からやってきた、としていることです。’にし’の語源は、”いにしえ”(その昔我らが居ったところ)だとされています。これ金沢庄三郎の説です。琉球人も北風を”にし”と呼ぶので、原琉球人の出港地は九州ですね。べラルスは嘗ては白ロシアといいましたが、欧州遠征モンゴル軍の事務処理を担当した、漢族の軍官僚が陰陽五行思想に基づき、方位で西を表す白を冠したという説もあります。ロシアは黒ロシアと呼ばれ、方位は北です。
返信する
倭の発音 (Исао Симомура)
2022-05-18 18:02:54
ミール様 貴重な情報ありがとうございます。理詰めの論で納得がゆきます。倭の古代での発音は声門閉鎖音+waですね。わざわざこの字を選んだのは、声門閉鎖音が当時音素だったことによるものでしょう。和字の発音はkwaまたはhuaであり、この字と交替したのは、その時までには、声門閉鎖音がallophoneとなったからでしょう。ソ連の言語学者Н.Сыромятниковには日本語の論文があり、そこではヤマトの語源を’山に囲まれた盆地’と解しておりました。
返信する
魏志倭人伝 (ミール)
2022-05-15 12:45:29
Симомура様

さらに興味深いお話をありがとうございます.海路では漕ぐ回数を数えるのは大変そうですが,漕ぐ速さと時間で距離を算出するというのはできそうに思えます.

お話にあった魏志倭人伝で調べておりましたら,古代の日本におきましても連水陸路があったようであることを知りました(http://www7b.biglobe.ne.jp/~ganswing/kodai_hune_seto.html).魏志倭人伝の最後の水行二十日と水行十日についてはどうやら瀬戸内海ではなく日本海であったようです(http://www.21ccs.jp/shohyo/shohyo_yabuki.html).ただ,丹後半島が難所になるため,これは私の想像ですが,ここで連水陸路が使われたのかもしれません.

また,собака の語源についてもありがとうございます.たしかにロシア語の中にはスラブ語らしからぬ響きを持ったものがあるので,何かしら関係があるのかと思っておりました.感謝申し上げます.
返信する
倭国の里程は櫂数だったのでは (Исао Симомура)
2022-05-13 22:04:53
ミール様 《バイキングの語源 vík は従来考えられていた‘湾’(アイスランドの首都 Reykjavík などに見られます)ではなく,櫂の一かきで進む距離であるとの説が 2005 年に出されました》に想像を掻き立てられました。魏志倭人伝には倭国の座標を様々に設定しておりますが、海路の算定は櫂の漕ぐ回数によったのではないでしょうか。サハリンのニヴヒ民族には、独特の助数詞があり、日本語の《冊、本、頭、足、人…》に相当する語に、櫂の漕ぎ数を表すものがあるのです。考えすぎかな。
返信する
やはり《櫂の人》でしたか (Исао Симомура)
2022-05-13 21:48:53
ミール様 ご教示感謝申し上げます。五十年以上も前の講義を思い出しました。連水陸路航法はシベリア諸民族の日常航法ですね。そのために舟は平底で、肩で担ぐことが可能なほど、軽量に作られています。エニセイ河中流域に住むケート民族の舟は、内地の《えぶね家舟》のように、蒲鉾型の白樺樹皮の屋根で覆われております。船底には炉が切ってあり、その扱いには様々な禁忌が附属しておりました。現在はブリキ製のストーブがあり、煙突もついており、昔のような眼病は無いとのことです。話は変りますが、北海道にも連水陸路はあったようです。アイヌ民族が利用した水路ですが、苫小牧北部のウトナイ湖から、千歳河を経由して、石狩河へと至る水系があったようです。私はフィンランド語を勉強しましたが、なぜロシアをrotsiと呼ぶのか、疑問に思っておりました。これで疑問が氷解しました。お礼にロシア語で犬サバ―カの語源にところで犬はсобакаですが、ウラリストでありアルタイ―ストである、碩学ユハアンテロヤンフネン氏によれば、これはサモエード語起源だそうです。なるほどスラヴ語ではピョース、ピエスなどと発音されますね。
返信する
櫂の人々 (ミール)
2022-05-13 10:31:34
Симомура 様

良いお話をありがとうございます.私の専門は言語学ではありませんので頓珍漢なことを申し上げたならばご容赦ください.

研究社新英和大辞典第五版にもその旨が書かれていました(Rothsmenn: sea farers ← rothr: a rowing).これを解釈すると櫂を漕ぐ人=バイキングからということですね.

これに関して興味深い論文がありました.もともとスウェーデン語のものをロシア語に訳しています.
(どうも URL 貼り付けがうまく行かないので,最初に https:// を補ってください)
pikabu.ru/story/rus_i_viking_torsten_anderson_7064695
バイキングの語源 vík は従来考えられていた‘湾’(アイスランドの首都 Reykjavík などに見られます)ではなく,櫂の一かきで進む距離であるとの説が 2005 年に出されました.このことが従来からあった Rus の語源を‘櫂’に求める考えと整合し,改めて‘櫂’の説が確からしいということになったようです.

スウェーデンの Uppland の海岸が船の基地として適しており,そのあたりを Rothrin と呼んでおりました.これは古代スウェーデン語の‘漕ぐ’ rother から来ています.この地域と関わり合いのあった対岸のフィンランドの人々がこの地域を Rotsi と呼ぶようになりました(これについては Rothrin を経由せず,直接 rother から来たとも考えられます).

興味深いのは,フィン・ウゴル族の人々が西のスウェーデンと東のロシアの両方を同じく Rotsi と呼んでいたことです(en.wikipedia.org/wiki/Names_of_Rus%27,_Russia_and_Ruthenia にも書かれています).これは Rotsi はバイキングやスウェーデンを特定するのではなく,異国民についての総称だったのかも知れないということです.そのために東も Rotsi と呼ばれ,それが Rus になったということです.
返信する
ありがとうございます (ブログ主)
2022-05-11 21:25:59
Симомураさん

大変良いお話を書いてくださってありがとうございます。イメージが膨らみますし、ロシア人がドンバスを重視しているのには幾重にも理由があって、多くの人がそれこそ本当に深いところで共鳴しているんだろうな、など思いました。
返信する
”ルーシ”の語源は’櫂の人々’と教わった (Исао Симомура)
2022-05-11 17:23:03
間接的にドンバス《母なるロシア》というテーマに繋がります。言語学の授業では、ルーシ (rus' русь) は古印欧語起源のロート (roth 'oar') であると教わったのですが、現在の語源解にはそれへの言及がありませんね(見落としかも)。古代キエフルーシはドニエプル河屈曲部(停泊適地)にあったのですが、この河の源流は、現在のラトビアのバルト海に河口をもつ、ネーマン河がベラルーシで南方屈曲部でドニエプル河源流部に最接近します。 バイキング(露語でвикинги ヴィーキンギ)は、古代ネーマン河をバルト海から遡り、べラルースでドニエプル河源流に最接近する場所から、平底のヴァイキング船を陸上に押し上げ、連水陸路経由でドニエプル河源頭まで担ぎ渡したと推理されております。そしてそこから櫂で漕ぎ降ろし、現キエフのスラヴ人集落へと着いたのです。先住民のスラヴ族は、勿論”櫂”は使っておりましたが、船では降りてくるはずのない、バルト人が伝統的な”櫂漕ぎ”でおりてきたことに、敬意を払い彼らをルーシ(語源は櫂を意味する古印欧語ロートroth)と呼んだとされております。rothの綴りのhは軟口蓋無声摩擦音のフではなく、歯茎無声摩擦音tが弾けたときに生ずる気息音でしょう。閉鎖音は時間が経つにつれて摩擦音に変化し、tもsへと変わります。この変化は普遍的で例えば、福島方言で”牛乳”の発音は”ジュウーニュウ”となるのに似ております。rosとなるわけです。スラヴ語母音のoとuは、後方母音であり音声的には混同して聞かれます。ros→rusとなったと思われます。出発語形式のroth(研究者英和大辞典には、こうあったと記憶しておりますが、誤りかも。小生旅行途上でそれをもっておりません)以外は、小生の考えです。間違いがありましたならば、ご教示ください。ヴァイキングたちは全員男性で、直に先住民のスラヴ女性と交雑し、子供が生まれます。生まれ育った子供は、多数派の母の話し言葉もまた母語とする、二重言語話者ですね。ドンバスは正にロシア人の《母なるロシア》なのだと思います。
返信する
西側カースト社会のナチスギャングを殲滅する! (ローレライ)
2022-05-10 21:32:24
西側カースト社会の派遣したナチスギャングを殲滅してドンバスジノサイドを停止で来た! 西側暗黒社会のロシアへの侵食の阻止は大事!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

WW1&2」カテゴリの最新記事