5月21日、福井地裁は、定期点検中の関西電力大飯原発3・4号機の再稼働を認めない判決を言い渡した。東京新聞・朝日新聞でその詳細を読んでいたが、5月22日に知人のHさんから「司法も未だ捨てられない」と題するメールが届き、この判決の全文が載るサイトが紹介されていたので、早速、その全文をプリントアウトし、熟読した。裁判の判決文には失望させられることが多かったが、この判決文は、裁判官の真摯な思いも伝わって来くる画期的なもの。そのサイトのURLは、http://www.news-pj.net/diary/1001 以下の私の文よりもそちらの一読をお勧めしたい。
主文をまとめると「大飯原発から250キロ圏内に居住する原告に対する関係で、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない」となる。
”はじめに”で、人格権に触れ「この権利は憲法上の権利であり、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。(中略)とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのもに基づいて侵害行為の差し止めを請求できることになる」として、判決文は、人格権侵害のおそれがあるか否かを具体的に検討していく。
まず当然に検証対象として取り上げたのが福島原発事故。「15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない」。この様に、原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは福島原発事故で十分に明らかになった、と断じた上で、、「(大飯原発再稼働に)かような事態を招く具体的危険性が万に一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課せられた最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる」と書かれている。この最後のフレーズを読んだとき、感動が来た。兎も角嬉しかった。「司法も未だ捨てられない」に同感した。
その後、冷却機能の構造上の欠陥について詳しい分析を加えている。その詳細の全文を理解したわけではないが、原発問題の再学習には格好の教材を提供してくれたものとも思う。
最後に、「原子力発電所の稼働がCO2の排出削減に資するもので環境面で優れている」との関西電力の主張に対しては「福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである」と断罪した。
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