帰ってくるなりぼーっとして時折にやけている頼子の様子に、城崎は何かあったな…と感付いた。
「お友だちはゲットできたかな…? 」
冗談交じりに城崎は訊ねた。頼子はポッと頬染めて俯いた。
こいつがこんなに初々しい顔を見せるとはな…城崎は苦笑した。
「まだ…ゲットってとこまではいってません。
宗主…あれで随分と晩熟…まるで中学生みたい…そこがまた可愛いんだけど…。」
城崎はそれを聞いて可笑しそうに笑った。
何人も愛人が居るという噂だが…それほどの遊び人でもなさそうだな…。
頼子の話からそう思った。
「旦那…ひょっとしてあの指輪に細工を…? 」
頼子はにやにやしている城崎の様子を見てそう感じた。
「なに…宗主どのが指輪を拾ってくれそうな気がしたんでな…。
おまえのことが魅力的にみえるようにちょっと陰の気を…な。 」
それじゃ…あれは宗主の本心じゃなかったんだ…頼子はちょっとがっかりした。
「取っ掛かりはできたんだ…後はおまえが自分を磨き上げるんだぞ。
宗主の心をゲットできるようにな…。 」
さっきまでの幸せ気分もどこへやら、いきなりしゅんとしてしまった頼子を元気付けるように城崎は言った。
そうよね…あれは夢だったわけじゃないんだもの。
そう思いながら修の触れた唇に細い指を重ねた。
やられた…と修は思った。
最初はまた笙子の悪戯かとも考えたが…あの指輪…城崎の狸親父め…。
何にしても頼子を前に油断したのはまあ…僕に多少なりその気があったからということなんだろうけれど…。
「で…認めちゃうわけ…? 」
雅人がにやにやしながら訊いた。
「キスしただけでしょ…。 そんなんで認めることないよ。 」
透が唇を尖らせた。
「あ…でも頼子さんが純情な人なら…可哀想だよね。
好きになってくれたんだ…って喜んでるかも知れないし…。 」
隆平が控えめな声で言った。
「ご免なさい…。 親父が馬鹿なことして…。 ほっといて構わないですよ。
そんな女じゃないんだから…だいたい…」
瀾の口を雅人と隆平が両側から慌てて塞いだ。
発作が起きるでしょ…と耳元で囁いた。
修はみんなの話を聞きながらじっと考えていた。
城崎の計略に乗るのは不本意だが…頼子は悪くないよな…。
だけど…。
「自信がないんだ…本当は…。 僕の身体は…僕の思うようにはならない。」
修がぽつりと本音を漏らした。子どもたちは言葉を失った。
雅人以外の者の前でそんなことを打ち明けるのは初めてのことだった。
赤の他人の瀾もそこに居るというのに…。
「ごめん…別におまえたちを白けさせるつもりはなかったんだけど…。 」
修は笑いながらそう言って立ち上がった。
話をそこで切り上げて、皆にお休みを言うとひとり洋館の方へと戻って行った。
雅人が急いで後を追った。
林の道で雅人は修に追いついた。
修の背中がどこか寂しそうで雅人は無言で背後から修を抱いた。
「大丈夫…大丈夫だから…。
笙子さんとも元カノたちとも今まで全然問題なかったじゃない…。
誰とだって…きっと大丈夫だよ…。 」
修は苦笑した。そんなことじゃない…相手がどうこうってことじゃないんだ…。
分からないよな…誰にも…こんな空しい感覚は…。
「僕自身の感覚の問題…。
甲冑でもつけて愛し合ってるみたいな…そういう僕の感覚と反応の鈍さ…。
気付いてるだろ…?
心か…身体か…どちらかが冷め切ってしまっていて…僕には…行為そのものに実感がない…そういう時があるんだってこと…。 」
そんな身体で誰かを愛することに意味があるのかどうか…。
この齢まで考え続けてきたのに…解答が出せない…というよりは出したくない。
だってNOと出てしまったら…ちょっとばかり悲しいじゃない…?
「怒っていい? 愛する意味って…修さん…勘違いしないでよ。
僕らがあなたを愛しているのは身体の関係がどうのじゃないんだよ。
そんなのはただ…手段に過ぎないんだからあってもなくってもそれほどのことじゃない。
それがなくったって修さんが僕らにくれた愛情を疑ったりはしないって。 」
雅人は憤慨してつい強い口調になった。
修はくすっと笑った。そうむきになるなよ…。
「女とは…多分そういう訳にはいかないだろう?
笙子みたいに僕のことを何もかも知っててすべてを心得ている人はともかくさ。
付き合うとなればそれはどうしても避けては通れない。
頼子もそうさ…。 僕に反応がないことで失望させるのは可哀想だからなぁ…。
逆に…カエルさんの可能性もあるわけだし…。」
そう言って声を上げて可笑しそうに笑った。
その姿がかえって痛々しくて雅人は目を背けた。
笙子さん…どうして時々こんな意地悪なことをするんだろう。
目の前で浮気したり…愛人を押しつけたり…。
その度に修さんは悩む…何でもないことのように笑い飛ばしてはいるけれど…。
力尽きたようにどっと居間のソファに腰を下ろした久遠は両手で頭を抱えた。
考えても考えても思いつかない…掴めない。
敏に昭二殺しをさせたその男の正体…。
安の目撃した姿から言って伯父でないことは確かだ。
伯父が関わっていないということにはならないが…伯父がこの件のすべての黒幕とは思えない。
久遠は大きく溜息をついた。
「何か収穫はあったか…? 」
存在の塊が声を掛けた。久遠は声のした方に顔を向けた。
本当にこの男は近くにいるだけで威圧感がある。
図体がでかいのもその一因かも知れないが…持って生まれた資質によるものなんだろう。
「ほんの少し…。 だが…お蔭で余計に分からなくなった。 」
久遠は辰と安から聞いた話を修に語って聞かせた。
翔矢のことを思いついた件になると修は何かを感じ取ったのかじっと考え込んだ。
「おまえ…何処で生まれた? 」
唐突な質問に久遠は面食らいながらも樋野の本家で生まれたと答えた。
「お袋の体調が悪かったらしくて産み月よりもかなり前から樋野の本家に戻っていたんだそうだ。
早産だったんで親父が立ち会えなくて生まれてから知らされたと聞いている。
それが…何か? 」
久遠は訝しげに訊ねた。
「今は…別に…後からそれが意味を持ってくるかもしれないが…。
その…翔矢という人のことをもう少し話してくれないか…。 」
修はなぜか翔矢に興味を持ったようだった。
「う~ん。 俺の知っていることと言えば…伯母の妹の子だということと結構頭のいい人だということ…。
さっきも話したように男にしちゃぁ綺麗だけれど影の薄いおとなしい人。
あんまり話したことはないが…会えば穏やかに微笑んで挨拶してくれるし、俺に悪意を持ってるとは思えないな。 」
翔矢の様子を思い浮かべながら久遠は分かるだけのことを話した。
「その伯母さんの妹って人に会ったことは…? 」
「そうだな…何かの時に一度だけ顔を見た程度かな…。
翔矢はあんまりその人には似てないな…。 」
会ったことはないが父親似なんだろう…と久遠は付け加えた。
ふうん…と相槌を打ちながら修はまた何かを考えているように見えた。
修の座っているソファの背後から雅人が何か耳打ちした。
「おまえ…母親の顔を覚えているか? 」
そう訊かれて久遠は戸惑った。
城崎の家にある遺影は引き伸ばしたために少しぼけていてはっきりしていないし、あまり写真自体がないらしく城崎も見せてくれたことがない。
樋野の本家でもこれが久遠の母親だという写真を見せてもらったことはなかった。
「覚えていない…。 ピンボケの写真しか見たことがなくて…。 」
そうか…と修は残念そうな顔をした。
写真…翔矢の写真…雅人が囁いた。
「さっきから何なんだ? でかい兄ちゃん…雅人とかいったな…口があるんだから直接話せよ。 」
不愉快そうに久遠が言った。
「だって口を利いたらあんたに文句ばかりつけそうだからさ…。
邸内に不法侵入するわ…修さんを誘拐するわ…睡眠薬で眠らせるわ…ろくなイメージがないんだからな。
だいたいね…この人に危険なものを持たせちゃだめ。
睡眠薬なんて持たせたら薬の効き目を知りたくて飲んじゃう人なの。
分量なんて考えやしないんだからね。 下手したら致死量だっていっちゃうよ。」
雅人はまるで修の世話女房の如く立て続けに久遠に文句を言ってのけた。
さすがの久遠も二の句が継げずたじたじになった。
修が堪えきれぬように笑い声を上げた。
「だから…口を閉じとけって僕が言っておいたのさ…。
こいつにかかったら口じゃ敵わない。 せっかく大人しくしてたのに…。 」
雅人はふふんと鼻先で笑った。
「おまえの息子だとか言ってたが…まさかな…。 」
久遠は気を取り直してやっと口を開いた。
「本当は従弟だよ。他にふたり従妹がいるけど…こいつが僕の正式な跡取り。
当主としては…だけどね。
雅人…さっきの話…。 」
修は雅人にちゃんと話すように促した。
「そうだった…翔矢って人の写真はないの? 」
雅人はそう訊ねた。
久遠は何かそれらしいものを持っていなかったか思い出そうとした。
「小さく写っているだけでいいなら…親類の結婚式の記念写真があるはずだ…。
屋敷が焼かれる前に荷造りして預けた中に確か…入れたと思う。 」
久遠の答えに雅人の目が輝いた。
「それ貸してもらえる…? 」
雅人が訊くと久遠は快く頷いた。
「明日取って来よう。 だけど何にするんだい…? 」
久遠が不思議そうに訊ねると…それは後のお楽しみ…雅人はにっこり笑ってそう答えた。
次回へ
「お友だちはゲットできたかな…? 」
冗談交じりに城崎は訊ねた。頼子はポッと頬染めて俯いた。
こいつがこんなに初々しい顔を見せるとはな…城崎は苦笑した。
「まだ…ゲットってとこまではいってません。
宗主…あれで随分と晩熟…まるで中学生みたい…そこがまた可愛いんだけど…。」
城崎はそれを聞いて可笑しそうに笑った。
何人も愛人が居るという噂だが…それほどの遊び人でもなさそうだな…。
頼子の話からそう思った。
「旦那…ひょっとしてあの指輪に細工を…? 」
頼子はにやにやしている城崎の様子を見てそう感じた。
「なに…宗主どのが指輪を拾ってくれそうな気がしたんでな…。
おまえのことが魅力的にみえるようにちょっと陰の気を…な。 」
それじゃ…あれは宗主の本心じゃなかったんだ…頼子はちょっとがっかりした。
「取っ掛かりはできたんだ…後はおまえが自分を磨き上げるんだぞ。
宗主の心をゲットできるようにな…。 」
さっきまでの幸せ気分もどこへやら、いきなりしゅんとしてしまった頼子を元気付けるように城崎は言った。
そうよね…あれは夢だったわけじゃないんだもの。
そう思いながら修の触れた唇に細い指を重ねた。
やられた…と修は思った。
最初はまた笙子の悪戯かとも考えたが…あの指輪…城崎の狸親父め…。
何にしても頼子を前に油断したのはまあ…僕に多少なりその気があったからということなんだろうけれど…。
「で…認めちゃうわけ…? 」
雅人がにやにやしながら訊いた。
「キスしただけでしょ…。 そんなんで認めることないよ。 」
透が唇を尖らせた。
「あ…でも頼子さんが純情な人なら…可哀想だよね。
好きになってくれたんだ…って喜んでるかも知れないし…。 」
隆平が控えめな声で言った。
「ご免なさい…。 親父が馬鹿なことして…。 ほっといて構わないですよ。
そんな女じゃないんだから…だいたい…」
瀾の口を雅人と隆平が両側から慌てて塞いだ。
発作が起きるでしょ…と耳元で囁いた。
修はみんなの話を聞きながらじっと考えていた。
城崎の計略に乗るのは不本意だが…頼子は悪くないよな…。
だけど…。
「自信がないんだ…本当は…。 僕の身体は…僕の思うようにはならない。」
修がぽつりと本音を漏らした。子どもたちは言葉を失った。
雅人以外の者の前でそんなことを打ち明けるのは初めてのことだった。
赤の他人の瀾もそこに居るというのに…。
「ごめん…別におまえたちを白けさせるつもりはなかったんだけど…。 」
修は笑いながらそう言って立ち上がった。
話をそこで切り上げて、皆にお休みを言うとひとり洋館の方へと戻って行った。
雅人が急いで後を追った。
林の道で雅人は修に追いついた。
修の背中がどこか寂しそうで雅人は無言で背後から修を抱いた。
「大丈夫…大丈夫だから…。
笙子さんとも元カノたちとも今まで全然問題なかったじゃない…。
誰とだって…きっと大丈夫だよ…。 」
修は苦笑した。そんなことじゃない…相手がどうこうってことじゃないんだ…。
分からないよな…誰にも…こんな空しい感覚は…。
「僕自身の感覚の問題…。
甲冑でもつけて愛し合ってるみたいな…そういう僕の感覚と反応の鈍さ…。
気付いてるだろ…?
心か…身体か…どちらかが冷め切ってしまっていて…僕には…行為そのものに実感がない…そういう時があるんだってこと…。 」
そんな身体で誰かを愛することに意味があるのかどうか…。
この齢まで考え続けてきたのに…解答が出せない…というよりは出したくない。
だってNOと出てしまったら…ちょっとばかり悲しいじゃない…?
「怒っていい? 愛する意味って…修さん…勘違いしないでよ。
僕らがあなたを愛しているのは身体の関係がどうのじゃないんだよ。
そんなのはただ…手段に過ぎないんだからあってもなくってもそれほどのことじゃない。
それがなくったって修さんが僕らにくれた愛情を疑ったりはしないって。 」
雅人は憤慨してつい強い口調になった。
修はくすっと笑った。そうむきになるなよ…。
「女とは…多分そういう訳にはいかないだろう?
笙子みたいに僕のことを何もかも知っててすべてを心得ている人はともかくさ。
付き合うとなればそれはどうしても避けては通れない。
頼子もそうさ…。 僕に反応がないことで失望させるのは可哀想だからなぁ…。
逆に…カエルさんの可能性もあるわけだし…。」
そう言って声を上げて可笑しそうに笑った。
その姿がかえって痛々しくて雅人は目を背けた。
笙子さん…どうして時々こんな意地悪なことをするんだろう。
目の前で浮気したり…愛人を押しつけたり…。
その度に修さんは悩む…何でもないことのように笑い飛ばしてはいるけれど…。
力尽きたようにどっと居間のソファに腰を下ろした久遠は両手で頭を抱えた。
考えても考えても思いつかない…掴めない。
敏に昭二殺しをさせたその男の正体…。
安の目撃した姿から言って伯父でないことは確かだ。
伯父が関わっていないということにはならないが…伯父がこの件のすべての黒幕とは思えない。
久遠は大きく溜息をついた。
「何か収穫はあったか…? 」
存在の塊が声を掛けた。久遠は声のした方に顔を向けた。
本当にこの男は近くにいるだけで威圧感がある。
図体がでかいのもその一因かも知れないが…持って生まれた資質によるものなんだろう。
「ほんの少し…。 だが…お蔭で余計に分からなくなった。 」
久遠は辰と安から聞いた話を修に語って聞かせた。
翔矢のことを思いついた件になると修は何かを感じ取ったのかじっと考え込んだ。
「おまえ…何処で生まれた? 」
唐突な質問に久遠は面食らいながらも樋野の本家で生まれたと答えた。
「お袋の体調が悪かったらしくて産み月よりもかなり前から樋野の本家に戻っていたんだそうだ。
早産だったんで親父が立ち会えなくて生まれてから知らされたと聞いている。
それが…何か? 」
久遠は訝しげに訊ねた。
「今は…別に…後からそれが意味を持ってくるかもしれないが…。
その…翔矢という人のことをもう少し話してくれないか…。 」
修はなぜか翔矢に興味を持ったようだった。
「う~ん。 俺の知っていることと言えば…伯母の妹の子だということと結構頭のいい人だということ…。
さっきも話したように男にしちゃぁ綺麗だけれど影の薄いおとなしい人。
あんまり話したことはないが…会えば穏やかに微笑んで挨拶してくれるし、俺に悪意を持ってるとは思えないな。 」
翔矢の様子を思い浮かべながら久遠は分かるだけのことを話した。
「その伯母さんの妹って人に会ったことは…? 」
「そうだな…何かの時に一度だけ顔を見た程度かな…。
翔矢はあんまりその人には似てないな…。 」
会ったことはないが父親似なんだろう…と久遠は付け加えた。
ふうん…と相槌を打ちながら修はまた何かを考えているように見えた。
修の座っているソファの背後から雅人が何か耳打ちした。
「おまえ…母親の顔を覚えているか? 」
そう訊かれて久遠は戸惑った。
城崎の家にある遺影は引き伸ばしたために少しぼけていてはっきりしていないし、あまり写真自体がないらしく城崎も見せてくれたことがない。
樋野の本家でもこれが久遠の母親だという写真を見せてもらったことはなかった。
「覚えていない…。 ピンボケの写真しか見たことがなくて…。 」
そうか…と修は残念そうな顔をした。
写真…翔矢の写真…雅人が囁いた。
「さっきから何なんだ? でかい兄ちゃん…雅人とかいったな…口があるんだから直接話せよ。 」
不愉快そうに久遠が言った。
「だって口を利いたらあんたに文句ばかりつけそうだからさ…。
邸内に不法侵入するわ…修さんを誘拐するわ…睡眠薬で眠らせるわ…ろくなイメージがないんだからな。
だいたいね…この人に危険なものを持たせちゃだめ。
睡眠薬なんて持たせたら薬の効き目を知りたくて飲んじゃう人なの。
分量なんて考えやしないんだからね。 下手したら致死量だっていっちゃうよ。」
雅人はまるで修の世話女房の如く立て続けに久遠に文句を言ってのけた。
さすがの久遠も二の句が継げずたじたじになった。
修が堪えきれぬように笑い声を上げた。
「だから…口を閉じとけって僕が言っておいたのさ…。
こいつにかかったら口じゃ敵わない。 せっかく大人しくしてたのに…。 」
雅人はふふんと鼻先で笑った。
「おまえの息子だとか言ってたが…まさかな…。 」
久遠は気を取り直してやっと口を開いた。
「本当は従弟だよ。他にふたり従妹がいるけど…こいつが僕の正式な跡取り。
当主としては…だけどね。
雅人…さっきの話…。 」
修は雅人にちゃんと話すように促した。
「そうだった…翔矢って人の写真はないの? 」
雅人はそう訊ねた。
久遠は何かそれらしいものを持っていなかったか思い出そうとした。
「小さく写っているだけでいいなら…親類の結婚式の記念写真があるはずだ…。
屋敷が焼かれる前に荷造りして預けた中に確か…入れたと思う。 」
久遠の答えに雅人の目が輝いた。
「それ貸してもらえる…? 」
雅人が訊くと久遠は快く頷いた。
「明日取って来よう。 だけど何にするんだい…? 」
久遠が不思議そうに訊ねると…それは後のお楽しみ…雅人はにっこり笑ってそう答えた。
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