日本製鉄のUSスチール買収計画が頓挫している。
バイデン米大統領が命じた中止手続きを終える期限が当初の2月2日から6月18日に延長されたが買収計画が認められていないことに変わりはない。
両社は「買収の完了を目指す」と改めて表明し、バイデン米大統領らを相手取り法廷闘争を続ける考えを強調している。
次期アメリカ大統領のトランプも計画に反対であり、話がまとまる見込みは殆ど無い中で、石破首相の2月訪米が調整されている。
当然この問題が話し合われるだろが、トランプが翻意してアメリカの鉄鋼労組の説得に回るとはとても思えない。
石破首相は何か策を持っているのだろうか、周辺は取り敢えず今回は話題を逸らすことでアメリカ側に懇願しているのか。
買収計画はどのようなものなのか明らかでないが、日本製鉄の「 中⻑期経営計画」( 2021年3月5日)の概要によれば、柱の一つの「国内製鉄事業の再構築 」で国内15高炉を10高炉に減らすとあり、20近くある製鉄所も休止、再編をするようだ。
当然、地域経済に与える影響は大きく、既に地元雇用もかなり削減されている(される)のかもしれない。
これから「買収計画」の内容が明らかになってくるのだろうけれど、合併話に人員整理はつきものだ。
会社同士ではウィン・ウィンの話と言われているが、トランプにねじ込まれて〝ラストベルト〟の救済のために〝鉄の城下町〟が雇用喪失と地域経済の衰退を招いては本末転倒だ。
石破首相の外交力、日本の対米外交戦略が間もなく明らかになる。