明治から大正を生き、19歳でよう逝したアイヌ女性の知里幸恵(1903-1922)は文字を持たないアイヌ民族に伝わる〝ユーカラ〟などの口承文学を文字化し、『アイヌ神謡集』として世に出した。
〝写真の町〟の東川町が2024年に知里幸恵の生涯を映画化し、東川町と包括連携協定を結ぶ近くの文教大学が無料の上映会を開催したので観て来た。
大講堂が満席の500人が集まった。
才能を見抜き、著作を勧めたのは言語学者の金田一京介だったことは知っていたが、アイヌであることに悩み、やがて誇りを持つに至った心の軌跡が描かれた素晴らしい映画だった。
道内の映画館での上映は終了したようで、こうした自主上映会でもっと多くの人に観ていただきたい作品だと思う。
アイヌ民族が「カムイミンタラ」(神々の遊ぶ庭 )と呼ぶ大雪山連邦の雄大な景色と動物たちが美しい。
アイヌ民族が差別と迫害を受け、文化を否定され、過酷な漁場労働に強制就労させられた歴史が冬の海の荒波に象徴されている。
セリフの少ない抑制された演技と丁寧な映像が差別と迫害の無い共生社会の大切さを心から訴えかけている。
『アイヌ神謡集』を読んだことが無いので注文した。
「イフンケ」とは「子守歌」
唄;安東ウメ子
トンコリ演奏;オキ