日本ラグビーの理論的支柱であった大西鉄之祐氏の提唱した「接近」「展開」「連続」を初めて聞いたのは母校の先輩の小俣吉孝氏(フッカー)からだった。
■大男が加速して破壊力を高める前に素早く「接近」
■モール、ラックなどの密集プレーのもみ合いを避けてボールを「展開」
■波状攻撃によるボールの「連続」支配
といったものだったと記憶している。どれも言うは易し。しかし、イングランドとのテストマッチで見事に開花した。
体を張ったタックルで前半はノートライの2PG。後半はあわやトライを奪うかの攻撃。
後にTVドラマのモデルにもなった京都市役所の山口良治氏(右フランカー)が1PGを返してノーサイドとなった。グランドにまで溢れた観客は熱狂した。
破れはしたものの世界最強と謳われたイングランド相手に6-3のスコアは、前回ワールドカップの南アフリカ、今回のアイルランドからの勝利に勝るとも劣らない歴史的な一戦と今でも思うのである。
この年、母校も16年振りの全国大会出場を決め、小俣吉孝氏の実兄の忠彦氏が当時三菱自工京都の監督(後に日本代表監督)をしていた縁で京都合宿などで随分とお世話になったので印象的でもある。
RWC2019を観ていると、FWとBCKSが一体となったダブルタックル、ダブルライン攻撃など、細かい戦術は変わっても大西理論は今もどの国のラグビーにも生きていると感じる。
ワールドカップでNZに100点ゲームを喫したこともあった日本ラグビーが世界水準に到達したのは間違いない。選手は何ほどの鍛錬をしたことか。敬意を表するばかりだ。
何とか決勝リーグに進んで力比べをして欲しいと各国の戦いぶりに見入っている。50年前の寮のテレビ室のように。
《日本代表センター横井章のタックルか。》氏は三菱自工京都に所属し、母校の全国大会出場の際に合宿でお世話になった。