大阪在住の大学の友人から『十勝』という銘柄の日本酒が送られてきた。旭川市の上川大雪酒造が母校の構内に造った“碧雲蔵”の新酒だ。
少子化が進み、大学はどこも学生集めに凌ぎを削っている。以前に私立大学の運営に末席で携わっていたが、学生をどう集めるかに頭を悩ませていた。
各大学とも企業とのタイアップが盛んで、“碧雲蔵”もその一つなのかもしれない。母校の卒業生に道内酒造会社の杜氏も多く、その人的ネットワークが生かされたようだ。
広く発酵醸造学の講座が整備され、研究、教育、人材育成などに生かされることを期待している。
昨年、母校から蔵づくりのクラウド・ファンディングへの呼びかけがあった。友人からも誘いがあり、聞いた名前の取扱い会社なので調べてみると、以前に自転車世界一周青年の支援の寄付をしていたことが分かった。
しかし、PWが見つからず、新たな登録も面倒な仕組みで参加を失礼した。友人は多分、この時の返礼品からお裾分けで送ってくれたのだろう。わざわざ大阪から北海道へ!
1日飾って味わった。
普段の安酒と違って、雑味が無く、米の発酵味がすっきり口に広がって香りも上品。自家製の鮭飯寿司を肴に美味しく飲んだ。使っている酒米は道産の「吟風」だろうか。「彗星」だろうか。昔の仕事柄ちよっと気になった。
“碧雲”はかつての男子寮の名前に由来する。入学者の1割にも満たなかった我々の時代から今は女子学生が半数以上という時代になった。
本州出身者も多く、手狭な女子寮が男子寮に統合され、伝統ある「碧雲寮」の名称が何の変哲もない「学生寮」になってしまった。内部はもとより、外部からのチェック体制が厳しく、卒業生と言えども簡単に入れない。
焼酎の1升瓶を下げて帯広の街から10Kmの道を歩いて寮に辿り着き、部屋回り(ストーム)をしていた時代を懐かしみ、“スマートな”酒をしみじみと味わった。あれから半世紀だ。寮の壁一杯の落書きはどうなっただろうか。