仏典のなかに「群盲象を評す」という話が出てくる。
もともとはインドの寓話で、仏教をはじめ多くの宗教や国・地域で語られることにもなっている話なのだが、これがシンプルながら非常に鋭い例え話で、時代を超えた普遍的示唆に富んでいる。
要点のみを言えば、次のような内容だ。
目が見えない盲目の人間が数名集められ、その人たち全員に象を触ってもらった。
当人たちは目が見えないので、当然のことながら象という動物を見たことはない。
そこで、触った感触から象という動物がどのようなものか、感想を述べてもらった。
人々はそれぞれの触った感触から感想を述べた。
しかし象に触れた盲目の人々は、象の体のすべてを触ったわけではなかった。
そのため人々の感想はみな同じ1頭の象についてのものでありながら、その話される内容はみんなバラバラだった。