東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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「筋ジストロフィー患者のリハビリテーション」の科内勉強会をやりました!

2020年11月09日 | 紹介

皆さんこんにちは!

東埼玉病院リハビリテーション科です!

本日は、先月行った「筋ジストロフィー患者のリハビリテーション」の勉強会の内容について少しお話出来ればと思います。

今回の勉強会の目的は以下の通りです。


(目的)

この目次に沿って筋ジストロフィーのリハビリテーションについて勉強会を行いました。

まず①「筋ジストロフィーとはどんな病気なのか」

それは「筋線維の変性・壊死を主病変とし、臨床的には進行性の筋力低下をみる遺伝性疾患」と定義されています。

筋ジストロフィーは生涯にわたって、筋肉の崩壊が起こっていく疾患で、例えば歩く・着替えるなど、一度、能力を獲得した後で、「喪失感」を経験していく発達障害であると言われています。

以前は「20歳まで生きられない疾患」と言われていましたが、人工呼吸器の進歩、特に非侵襲的換気療法(NPPV)の普及により、それまでの活動性やQOLを維持しながらの生命予後の改善が見られるようになってきているそうです。また病型によって症状・経過が異なるところがあるのも特徴です。

②「筋ジストロフィーのリハビリテーションって何をするのか」

・リハビリテーションの目的ですが下の図の通りです。


そして筋ジストロフィーの病型については以下の通りです。


勉強会では各病型の特徴や一般的な経過について、具体的な問題の対処と治療についてお伝えしました。特に実際の臨床場面の診療動画は受けがよく、まだ未体験の新人からも臨床イメージがついたとアンケートの結果から分かりました。


リハビリテーションの役割は以下の通りです。

【PT】


【OT】


【ST】




③「筋ジストロフィーってどんなところに気を付けたら良いのか?」

筋ジストロフィーで注意するのは大きく「過用・廃用」と「合併症」です。その他、精神面や生活面、環境面なども注意が必要ですが、今回は臨床上・リハビリを行う上ですぐに使える知識を中心にお伝えしました。
「過用・廃用」については以下のようにまとめました。



「合併症」については「呼吸不全」「心不全」「腎不全」「嚥下障害」について各検査値や服薬情報についてお伝えしました。


最後に「筋ジストロフィーのリハビリテーション」についてまとめとして

・病型ごとに特徴があるが、全てにおいて残存機能を有効に活用し二次的障害を引き起こさないように、活動的であることを維持することが筋ジストロフィーへの治療になるということ。

・リハビリでも日常生活でも運動の過用・廃用に注意が必要であること。

・合併症(「呼吸不全」「心不全」「腎不全」「嚥下障害」)を各検査や服薬情報を確認しながら運動や日常生活の管理を行い、適宜リハビリテーションを行う必要があること。

・(個人的な意見だが)できることを一緒に見つけ、成功体験を得てもらうのが大切であると感じたと勉強会ではお伝えしました。

今回の勉強会では政策医療の一端である「筋ジストロフィー」について、新人・異動者・経験者に対してお話するため、ここでは載せられませんが、動画をふんだんに使って勉強会を進めました。

そのためかアンケート結果から「臨床場面が想像できた」「どんなリハビリをしているか分かった」などの声を聞くことが出来ました。

また直接指導できる場面が減っている今、動画を駆使した視覚からの情報がより大切になっているのだと感じました。


【引用文献】

1) 筋強直性ジストロフィー.患者と家族のためのガイドブック 改訂第2版.診断と治療社.2015

2) 大矢寧:筋強直性ジストロフィーの中枢神経症状.神経内科 60(4): 411-420, 2004

3) 木村隆:筋強直性ジストロフィーの骨格筋障害とリハビリテーション.神経内科 60(4): 394-398, 2004

4) 伊藤伸:筋強直性ジストロフィーの理学療法の考え方.難病と在宅ケア,2004

5) 武田純子:脊柱変形とその対策.筋ジストロフィーのリハビリテーション.大竹進(監),2002,pp175

6) 中村伴子.筋強直性ジストロフィーのADL.MB Med Reha. 51, 23-32, 2005


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