ラパロスコピストの夢

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子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

─ 2層縫合できちんと合わせる ─ TLHへの私のこだわり7

2025-01-22 | 腹腔鏡

前回に引き続き、TLHにおける腟断端縫合の技術について、くわしく解説します。

2層縫合
腟断端を「きちんと合わせる」ということを真剣に考えた結果、私は2層縫合に行きつきました。1層目で腟粘膜を、2層目で腟壁~筋膜を合わせることで、いわゆるlayer to layer縫合をしています。実は、Dr.Kohの手術を見学しにMilwaukeeまで行った際に、彼も2層縫合を行っていたのには驚きました。(ちなみに、Dr.KohはAlbert-Lembert縫合を採用。)



左手を効果的に使う
2層縫合を行う際、私は左手を上手く使って、創部を幅広く縫合し、組織をしっかりと寄せるようにしています。手術で左手を有効に使うのは意外にも難しいのか、ビデオクリニックでは左手が全く動かず右手だけで手術をしている人が多いです。左手をそれなりに使えるようになるまでに数年はかかるようですね。

Two stage pass
腟断端の縫合時に、浅い運針しかできない場合があります。そのような場合には、無理に一度でかけようとせず、Two stage passを採用します。これは、前壁と後壁を二度に分けて運針する方法です。一度で運針した方が早く済み、一見するとカッコよく見えるかもしれません。しかし、浅い運針では、層がきれいに合わず、腟断端離開のリスクが高まる可能性があります。そこで、Two stage passを採用することで、深くしっかりと運針し、創部をしっかりと寄せることができるようにしています。

膀胱の剥離
腟前側をしっかりと縫合するためには、膀胱~膀胱脚の剥離が重要です。剥離が不十分だと、縫いしろがなくなり浅い運針しかできないので腟断端離開のリスクが高まります。

今回は、腟断端縫合の技術について、私のこだわりを概観しました。次回以降、これらのテクニックについて、さらに詳しく解説していきます。
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