ラパロスコピストの夢

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子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

─ 左手を使う─ TLHへの私のこだわり8

2025-01-23 | 腹腔鏡
今回は、TLHにおける腟断端縫合の運針について、左手の使い方に焦点を当てて解説します。

左手を効果的に使う
私は、腟壁の縫合を行う際、特に2層目の縫合において、左手を上手く使って、創部を幅広く縫合し、組織をしっかりと寄せるようにしています。しかし、ビデオクリニックなどを拝見すると、左手は腟壁などを掴んだままで、全く動かせず、右手だけで運針をしている人が多い印象です。手術において左手を効果的に使うのは、意外にも難しいことなのかもしれません。左手をそれなりに使えるようになるまでには、数年の修練が必要となるでしょう。中には、使えていないことに気が付かないと、ずっとそのままの人もいるかもしれません。

左手を使えないことのリスク
左手を使えないと、右手だけで運針することになります。すると、鉗子にはアクセス制限があるため、直線的な運針になりがちです。さらに、膀胱の剥離が不十分な場合には、かなり浅い運針になってしまいます。浅い運針では、組織をしっかりと寄せることができず、腟断端離開のリスクが高まる可能性があります。



また、腟壁を十分に縫合しようとして、粘膜面を大きく運針している例も見られます。そのような場合も、創部の状態によっては、離開のリスクが高まると考えられます。



左手を協調させて使う
左手を上手く使って、層を幅広く深く運針することで、組織をしっかりと寄せることができます。右手だけではなく、左手をも協調させて使うことを、Move the ground と言います。右手のデバイスだけではなく、地面(=手術対象部位)を動かして対応しているからです。Move the groundは、腟断端縫合だけでなく、様々な手術操作において重要なテクニックです。



このように運針するためには左手をかなり巧みに使わないといけないのですが、縫合がしっかり出来ていると安心して手術を終えることができます。😊 
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