今回は子宮筋腫核出術における 核出創の縫合について解説します。核出創とは、子宮筋腫を核出した後にできる創部のことです。
縫合の目的
縫合の基本的な目的は、組織の接合と止血です。出血がなければ縫合する必要はありませんし、縫わなくても組織が接合するのであれば縫わない方が良いかもしれません。
核出創の縫合
Myoma Pseudocapsule(MPC)を全く損傷せずに子宮筋腫を核出できたとしたら、核出した創部からの出血はほとんどありません。そのような場合は、電気メスなどで凝固止血するだけで十分です。MPCを完全に温存できた場合は、核出創が収縮して縫合する必要がないこともあります。しかし、基本的には死腔(縫合せずに残った空間)を形成すると、血腫になったり感染の原因になったりする可能性があるため、縫合しておく人のほうが多いと思います。ただし、今のところは、こうするべきであるというエビデンスはまだありません。
筋腫核出後:MPCは全く出血していない
子宮の深いところにある筋腫の核出創
深い筋層内筋腫を核出した場合は、残存した筋層が薄いため、子宮の内腔に糸が出ないように注意して縫合する必要があります。逆に、深いところにある筋腫こそ、MPCが十分に残るように核出することが重要です。深い子宮筋腫の核出は、それが大きいものであるほど、様々な配慮が必要になってきます。
- MPCの温存
- 正確な縫合
- 術中出血のコントロール
- 術後合併症の予防
など、注意すべき点は多岐にわたります。
大きく深い筋腫の核出創の縫合
大きく深い筋腫の核出創については、その出血点を必ず止血するように、そして創部が適切に閉鎖するよう縫合しておく必要があります。そうでなければ出血量が増えたり、術後血腫や仮性動脈瘤が発生する可能性が高くなります。そのような場合、内膜面に近いところにはあえて糸をかけないようにして、比較的浅いところは止血するようにしっかりと縫合しておくとよいと考えています。
まとめです。
- 層をきちんと合わせること
- 出血を止めておくこと
- 子宮内膜に配慮しておくこと
ただし、ギチギチに強く結紮する必要はありません。子宮の血流を損なわない程度でOKだと思います。気合いを入れる必要はありませんが、核出部は奥のほうですから、運針は意外とむずかしいですよ😉