開腹手術なら、子宮筋腫や子宮そのもののような固い腫瘤は、そのまま体外へ搬出することができます。しかし、腹腔鏡下手術では、外へ取り出すための大きな切開創がありませんので、腫瘤を小さく切り刻んで取り出す必要があります。
電動モルセレータは、そのために腫瘤を細切除去するための機械です。円筒状の外筒の中に先端に刃の付いた内筒があり、操作する際には外部のモーターの駆動により筒状の刃を回転させ、内筒の中から鉗子で腫瘤を引き込むことで刃に触れた組織を円柱状に切断して腹腔外へ除去することができます。
大きな筋腫や子宮の細切除去において、比較的短時間で腫瘤を体外に搬出させることができる大変便利な機械です。
本邦で発売されている電動モルセレータには、ジョンソン・エンド・ジョンソン社(米国) GYNECARE MORCELLEX®、カールストルツ社(ドイツ) SAWALHE II SUPERCUT Morcellator、などがありました。
このうち、MORCELLEX®は本邦に約300施設に納入されており多くの施設で使用されていましたが、FDAの勧告を受けて、5月7日に販売停止となり8月5日に販売とサポートが中止になってしまいました。
一方、SUPERCUT Morcellatorのほうは、5月8日に一時販売停止となったものの5月19日には販売が再開されています。こちらのほうは国内では約70台程度の納入であり実際に稼働しているのは約半分程度だったようなので、MORCELLEX®が販売停止となったことで、最近までは電動モルセレータが使用できずに困った施設も多かったようです。(当院では、どちらの機器も所有していましたので、臨床業務に支障をきたすことはありませんでした。)