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子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

子宮筋腫の診療ガイドライン その15

2009-01-15 | 子宮筋腫
手術成績は術者によって大きく変わる。つまり、手術適応についても術者の技量によって大きく変わるのは仕方がない。そこで、ここではTLMの手術適応について個人的な考えを述べてみる。

・肥満患者、腹壁の固い人(運動不足や姿勢が悪い人など)では腹腔内が狭く(とくに未経産女性のとき)適応は厳密であるほうがよいかもしれない。TLMを安全にすすめるためには腹腔内にある程度広いスペースが必要である。子宮が大きければ、当然、腹腔内のスペースはさらに小さくなるので不利である。おまけに大きなものや多発性のものほど、出血量が多くなり手術時間も延長する。

・だいたい普通、筋腫の直径が7-8cmを超える場合、出血が多くなる例がある。直径10cmになると、それなりの出血は覚悟しなくてはならないだろう。一般論として直径8cmまでの筋腫であればTLMの適応としては問題なさそうである。

核出術の難易度は筋腫の大きさだけではなく、筋腫の位置、変性の程度、子宮の血流などの影響を受けるので一概には言えない。直径12cmの子宮頚部筋腫を核出(TLM)して、それほどの出血もなく首尾良く終わったこともあるが、結果的にうまくいっただけのことで、このような手術をするには、患者も術者もそれなりの覚悟は必要だ。経験豊富な術者であれば大丈夫だと思う人は多いが、子宮筋腫の大きさだけ血流豊富な子宮筋層を切開し、大きな欠損面ができれば、縫合が終了するまでに、どれだけ出血するのか想像がつくだろう。大きな筋腫の核出はやってみなければわからない手術である。
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