南野島男のGood Times

日常感じたことを面白おかしくエッセイ風に書きつづります。
これぞ笑いと勇気の玉手箱!

桜満開の入社式

2016-04-02 09:46:01 | Weblog

いよいよ4月になり桜の花も満開を迎えた1日恒例の新入社員入社式が各地で行われた。

長崎では必ず十八銀行の入社式が新聞やテレビのニュースでは紹介されるのだが、今年はいつもの晴れ晴れとした入社式とは決して言えないはずではと思ってしまった。

大学を無事卒業して晴れて地元では優良企業である十八銀行に入社できた本人やその家族はこれで自分の将来、息子の将来も安泰だなどと安心していたに違いない。先日のニュースを聞くまでは。

十八銀行は来年福岡ファイナンシャルグループの子会社になってしまい事実上地元長崎の十八銀行としての起業生命は終わってしまうことになった。しかもその後は同じ子会社化されて先に身売りしていた親和銀行と合併させられてしまうのだ。十八銀行に合格して入社が決まった時にはこんな話は知る由もなかったわけで正に青天の霹靂としか言い様がない。

そんな中で行われた入社式で頭取さんは「驚いたと思うが、10年、20年先を見据えた判断。本県を輝く古里にしたい。やりがいのある仕事と思ってもらえると確信している」と挨拶した。

こんな綺麗事言う前に先ずは新入社員に対して謝るのが先だろう。驚いたと思う?!驚いたどころじゃ済まないし、あたかも銀行が正しい判断をした様な言い草にしか聞こえない。頭取が言うのはあくまで企業の論理。個人的な行員にとっては死刑判決を受けたようなもの。

冗談じゃないぜ、企業の論理かざす前に深々と頭下げて俺たちに頭のひとつでも下げて見ろなんて思ってる新入社員の1人くらいいてもおかしくないはずなのに、インタビューに応えた新入社員は「地域のためにという目的は変わらない」などとこれまた心にもないコメントを垂れてしまう始末。

本当に地域のためになれば自分たちの人生は企業の論理でどうされたって構わないとでも言うのだろうか。来年には買収され子会社化され挙げ句の果てに他の子会社と合併させられ、店舗統廃合による人員整理の恐怖を背負うサラリーマン生活も地域のためになるのなら私は構いませんと言い切るこんな若者って、たぶんあの百田直樹が書いて映画にもなった「永遠のゼロ」を観て美化された事実に感動の涙を流すようなタイプなのかもしれない。

もともと銀行というのは「晴れた日に傘を貸し雨の日に傘を取り上げる」と表現されるように自分らの儲けにならないことはやなないのが本質だ。倒産しそうな中小企業に金など貸してくれるはずなどないし、失業して生活に困ってる人にお金を貸してくれることはない。テレビCMなどでも申し込みから最短10分で即決の融資と言ってるが裏を返せば即決でお断りするということだ。「大切にしたい心と心」「ハートの銀行」「地域の皆様の笑顔のために」などと歯の浮くようなキャッチフレーズに騙されて助けを求めて悔しい思いをした人は数多くいる。

先日はSHARPでも入社式が行われたようだがここでも「今年はシャープにとっても新しい門出の年・・・」と社長の挨拶が述べられた。何人の新入社員が心の底から晴れ晴れとした気持ちで入社式に臨んだのか聞いてみたい。

アベノミクスという最悪の経済政策は大企業への減税優遇措置、一般庶民への増税で弱肉強食の世界をさらに拡大させてゆく事になる。企業の論理で偽装された桜満開の入社式で桜ちらした心で入社している新入社員の心の声が聞こえる。