天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

秋は、夕暮。秋は、もみじ葉。

2011年10月25日 | 秋は夕暮れ
秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの列ねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。~「枕草子」清少納言

見わたせば 花ももみじも なかりけり
浦のとまやの 秋の夕暮れ
 藤原定家

裏をみせ 表をみせて 散るもみじ 良寛

形見とて 何か残さん 春は花
夏ほととぎす 秋はもみじ葉
 良寛

聖武天皇と光明皇后

2011年10月22日 | 不易
 大地震、疫病、旱魃飢饉などが毎年のように起こり、たくさんの人たちが苦しみながら死んでいく世に、「責めはわれ一人にあり」と聖武天皇。すべての動物、すべての植物がともに栄える世の中をつくるため、「大きな力でつくるな、たくさんの富でつくるな。一本の草、一握りの土をもって協力を申し出た人に手伝ってもらえ」と大仏を建立しました。

 光明皇后は、阿修羅像を。穏やかな顔で天を支え、勇ましい顔で自分を守り、その二つの心を闘わせる苦悩の顔で合掌。阿修羅、 その名は「智慧ある神」を意味し、正義と法の神であり、最高神とされる。自分を守りたい心と他を思いやる心を闘わせ、智慧を導き出し、修羅から人間へ。

 「慮らずんば胡ぞ獲ん、為さずんば胡ぞ成らん」 書経

バイノス

2011年10月19日 | 科学
 100分の1ミリの緑色の藻類がセシウムやストロンチウムなど放射性物質を効率よく取り除くことを、山梨大と東邦大が確認した。大量に増やすこともでき、来月に福島県伊達市の住宅地で土壌を洗ったり、建物の壁、道路に塗ったりして、除染に使えないか実験をする。
 この藻類は、ベンチャー企業の日本バイオマス研究所(千葉県柏市)の湯川恭啓社長が5年前にめっき工場の廃液処理施設で見つけた。単細胞で葉緑素を多く含む新種で、バイノスと名づけられた。
 バイノスは生命活動が活発で色々な物質を取り込むことから北里研究所の伊藤勝彦博士が除染に利用できないかと提案し、山梨大医学部の志村浩己助教らが福島県内で取った汚染水で実験した。すると、10分間で放射性ストロンチウムを8割、セシウムを4割取り除くことができた。バイノスが細胞のまわりに出す分泌物が放射性物質を吸いつけて離さないとみられる。
 湯川社長によると、バイノスは細胞分裂の速度が速く、培養すれば容易に増やせる。乾燥すると重さが10分の1ほどになるため、除染後の廃棄物の量を減らすことも期待できる。
 今後、他の企業と協力して放射性物質の汚染水処理や、農地や住宅地の除染に活用したいという。住民が簡単に使えるよう、壁や道路に、塗料のように塗りつけて乾いたらはがして、除染できないか調べる。~10.19朝日(編集委員・浅井文和)

チャレンジ精神を忘れない

2011年10月13日 | Weblog
 聖路加国際病院理事長・名誉院長 日野原重明先生への朝日新聞インタビューより

──その気持ちが長寿の秘訣ですか。
 新しいことにどんどん挑戦することです。人間には22,000の遺伝子があります。それを目覚ませるには新しいことを始めるのが一番いい。

──子どもからもらうエネルギーがあると。
 ありますね。私は子どもがけんかをしていると、必ず言うことがあります。仕返しをしないこと、もし仕返しをしてしまっても次からは決してしないと誓うこと。相手を許す心をもつということです。そうすれば、その子たちが大人になったとき、争いはなくなっているはずです。子どもたちの将来には戦争のない世界を作るという、私が成し遂げなかったことを実現してもらいたいんです。
 その願いを本「十歳のきみへ」にしたら英語に翻訳されて、世界中の子どもたちからかわいい手紙が届くようになりました。その子たちにラブレターを書くような気持ちで返事を書いているんです。その時間が楽しくてね。

──楽しめるものがある。だから、そんなにお元気なんですね。
 そうです。朝、目が覚めたら、今日はこういう対談がある、こういうミュージカルがある、こういう音楽会であいさつをすると、1日の行動を思い描くんです。朝から「くたびれた」「眠い」と言う人には、ハッスルするものがないんです。何事もポジティブに考えた方がいい。
 
──100歳はゴールではないと。
 今まではできないと諦めていたことも実行に移す勇気をもつことが大切です。やってみようという気持ちは人を若くさせてくれます。

──先生がいま夢中になっているものはありますか。
 98歳から始めた俳句です。年に1回は息子の友人とゴルフをするのですが、ショートコースで思い切り打ったらドボーンと池に落ちちゃった。そのとき芭蕉の「古池や」の句がパッと出て、「池越えや クラブ放り上げ 水の音」という句が生まれました。
 こうしていると認知症にならないんです。悲しいことやつらいことはだめなの。孤独が一番いけないんです。頭を活性化しないと。

──今年、日本では予想外のさまざまな出来事がありました。元気を失っている日本にメッセージをお願いします。
 苦難のなかに回復があります。つらいけれども、なんとかして立ち上がろうとする気力のなかに希望がある。前を向く力こそ生きる力。情熱をもって実行すれば、きっとプラスの兆しが見えてくるでしょう。

100歳のバーを越えて ~日野原重明氏

2011年10月11日 | Weblog
 今月4日に誕生日を迎えた私は、ついに100歳のバーを飛び越えました。
 振り返ると、30歳になるまでは、結核などの病気で青白い青年でした。徴兵検査では丙種。同級生の半数は戦死しましたが、病身だった私には軍隊への召集がありませんでした。聖路加国際病院を定年退職する前には、乗っていた日航機よど号がハイジャックされる事件もありましたが、韓国の金浦空港で無事釈放され、命は助かりました。
 病院を定年退職してからも、今日まで、理事長として研修医や看護師の教育を続けることができています。また、様々な団体のボランティア理事長としても現役を続けられています。
 天からの贈り物をたくさん頂いてきた私は今、新たな思いで100歳からのスタートラインに立っています。
 5年ほど前には、自宅の書斎の改造や、40年以上住んだ母屋のリニューアルを終え、若い人を大勢招いてのパーティーができるようになりました。2020年までの10年日記の3年先、5年先の欄に何を書き込もうか、熟慮したいと思います。
 ただ、いくら今まで体の調子がよかったと言っても、100歳を超えてからは、適正な食事、睡眠、運動、そして仕事量の限界も見定める勇気を持ちたいと願っています。
 「生活は質素に、思想は高潔に」。英国の詩人ウィリアム・ワーズワースの詩のように、淡々とこれからを生きていければよいなと思います。
 プラトンは人間の持つべき大切なもの、元徳を次のようにあげています。
 第1は知恵、第2は勇気、第3は節制、そして第4は正義。このうち第2の、勇気を持った行動こそ、これからの私の人生を強く導くものだと思います。青年が持つような熱い情熱のこもった行動力を持ち続けること、それが私の最大の願いです。この決意を読者の皆さんにも伝えたいと思います。~日野原重明「私の証 あるがまゝ行く」朝日新聞

 四元徳(cardinal virtues)の概念は古代の哲学において共通の話題。プラトンの『国家』、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』に見られます。キリスト教哲学者にも広く受け容れられ、カトリック神学の要諦となりました。キリスト教において神学的徳は、コリント書に由来する信仰、希望、愛 (charity) 。これら徳の調和とこれらへの思慮がキリスト教神学の特色。キリスト教の成立によって、謙遜も徳として挙げられるようになりました。
 儒教においては孔子が、仁・義・礼・智・信を五徳と表しました。

 仏教においては、戒、定、慧。100歳のバーを越えた日野原重明氏も56歳で逝ったジョブズ氏も、自分を信じる「勇気」。徳を深く思慮することにより、常識を覆してきました。法に忠実であることこそ、潜在能力を引き出してくれるというお手本ですね。先人の教えを今に活かしてくれること、飽くなき情熱に感謝。