昨今、個人レベルでもその動機が理解しがたい殺人が頻発し、人間には「殺戮願望」なるものが有るのかと思うほどだ。集団レベルでも、「ワグネル」などの民間軍事会社があって、刑から逃れられる、金がもらえるという報酬はあるにせよ、人を殺すことを生業(なりわい)とする集団もある。さらに、集団間、国家間の戦いになると「戦争」という名で公にも認められ多くの「敵」を殺すことが推奨される。 なんじゃ、これは? という思いはずっと持っていた。
その中で、先日見たNHKスペシャル「戦争 なぜ殺し合うのか」は当然のことながら非常に興味深かった。
副題は、脳内物質オキシトシン・人間の本能に潜む二面性 | 戦争 なぜ殺し合うのか
👆「You Tube で見る」をクリックすれば、番組概要が短く紹介される。
しかし敢えて見られる方は少ないと思うので(笑)、私が要約すると
1.人間は猛獣等の外敵から個人の生命を守るため、仲間意識を育てて仲間集団で外敵に立ち向かうようになった。その集団行動を促す脳内物質が「オキシトシン」。
2.オキシトシンは仲間意識を促進するだけでなく、仲間と非仲間の線引きを強化する。
3.この仲間と非仲間の「線引き」には、非仲間に対してはネガティブなイメージが付与されることがくく(鬼畜米英)、同時に攻撃的になりやすくなる。
4.この心理メカニズムで、集団間の戦いが昔も今も起こされるている。
猛禽類から身を護るため進化させてきたオキシトシンが、内には融和的に外には攻撃性を持たせるというパラドキシカルな二面性の指摘が、味噌で目新しい。
しかしこれだけでは、人間界は戦争から逃れられない無間地獄ということになってしまうので、番組では戦争から平和になる救済策をも示そうとしていた。
南スーダンでは、2部族間の戦争が続いたが、部族通しが共同で開墾したほうが豊かになるという機運が高まった。恨みも捨てる。兵士は職業教育をうけ、融和策が実現されたという例が出席された女性NPOの方から示された。仲間、非仲間意識を越えた共通の、共に利益を得る目標を実行するのが、戦争を無くす方策だ。番組の締めくくりでは、地球温暖化を防ぐグローバルな施策を各国が実行することがその例になるとの示唆があった。
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一方、週末の「どうする家康 築山へ集え」は、まるでこのNHKスペシャルを踏まえたように、戦を避ける方策そのものが展開されて驚いた。
▲ 瀬名の築山に踏み込んだ家康らに
▲ 瀬名は「途方もない計画」を明かし「同じ夢を見て欲しい」と訴える。
「私たちはなぜ戦いをするのでありましょう?」
「戦いをするのは貧しいからじゃ。民が飢えれば隣国から奪うしかない。奪われれば、奪い返すのじゃ」
「奪うのではなく与えあう。さすれば戦いはおきません。繋がりをもった大きな国をつくればいい。大きな国になれば信長も戦わないでしょう」
ということで、戦っているふりをして徳川vs武田がいったん停戦に入ったのは、御存知のとおり。
しかし、しかしだ。
▲ 信玄の後を継いだ、武田勝頼はそののち前言を翻して、「徳川は密かに武田と和睦した」と言いふらせと指示する。
「この世は戦いぞ。我らは戦いこそ生きる道だ。我が夢は天下を取る。信玄を越えることぞ」
NHKスペシャルではそこまでの指摘がなかったが、人間には威信、威厳を持ちたいという感情の虜(とりこ)になることがある。流行りの用語を使えばマウントを取りたい、オレのほうが優れているという優越感を持ちたいというやっかいな欲望だ。優越感では飯は食えない、経済的にはなんの得にもならない感情だ(笑)。しかし、これだけで戦争をやりたがる者もいる。
プーチンは、口には出さないが、大ロシア帝国の再興を夢見ている。国民の生活レベルを向上させる云々は二の次だ。ウクライナがNATO圏になるなんてことは絶対承服できない。先ずは国境に近い地域を、住民も文化も元々ロシアなんだからと勝手に「線引き」をして、国民にもその新たな線引を護る大義を洗脳し、「特別軍事作戦」を正当化している。もちろん、欧米がロシアを侵攻しようとしているというプロパガンダは忘れない。ウクライナはプーチン個人の威信追求の戦いに巻き込まれてしまった。
さて、我々はどうするべきか。
【無断転載自由】
東北・北海道キャラバンの準備で忙しいのに、こんなものを書いていいのかと思ったが。書いてしまった(笑)。ご笑読いただければ。
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生まれ育った、ウクライナ・ロシアの一般庶民には、戦いは何ら関係のないこと。お国のためとは、上層部の権力の為に言う言葉だと思います。国によっては、入国でプーチン氏は、逮捕の対象の人。国連の采配で、懸賞金で逮捕できれば流血も少なく、武器の製造し破壊することなく経済的にいいのではと思うのですが。上層部の思惑にはめられて、両国の庶民の命が建造物の破壊が行われているようでなりません。地球国に平和な日々が訪れることを願ってやみません。K.M