馬鹿琴の独り言

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なぜなに八犬伝

2024-03-01 06:11:47 | 南総里見八犬伝

第一回から第五回まで超意訳:南総里見八犬伝をお届けしました。

前書きで馬琴翁が書いていた通り、「最初の五巻では、里見氏が安房で勃興する話を書く」話に終始しています。
八犬士登場もまだまだ先のお話なのです。

尚も馬琴翁はこう書いています。「第八回の書では堀内蔵人貞行が犬懸の里に子犬を拾う件から、第十回では里見義実の息女伏姫が富山の奥に入山する下りまでは物語のすべての発端なのである」

ボチボチ焦らずお付き合い下さい。

ちょっと小ネタです。
超意訳を書いていて、私自身が謎に思ったことを書いてみます。

①里見義実はなぜ安房を目指したのか?

第一回、結城合戦でお父さんの里見季基はこう言っております。

「お前は速やかにここを脱出して、時節を待って家を再興せよ、何とかして落ち延びよ」

家の再興を命じていますが、方角や地方は示しておりません。
これを受けて里見義実主従は結城の西南方面に落ち延びます。
これも不思議な話で、敵の本拠鎌倉管領方の本拠地近くを通るのです。
警戒とか厳重で落武者狩りとか厳しいと思うのですが……

何とか三浦半島の矢取に着いた里見主従ですが、ここで突然、杉倉氏元が矢取の入江の漁師の子供にこう言うのです。


「のう、子供たちに聞くが、向う側へ渡る船はないかね」

房総側に渡る気満々なのですよ。

矢取前不動尊というお寺が三浦半島の久里浜の手前にあるので、矢取はこの辺りだとは思うのですが、後、反対側の鋸山が見えるかどうかも気になるところです。
GoogleMAPで見てみましたが、ギリギリ房総の山々が見えます。鋸山を特定することは厳しいのですが。

本題にも戻りますが、子供に土を投げられた里見義実は手で受けて、

「土は国の基本だ。私は今安房に渡ろうとしているが、天が安房を私に与えようという兆しではないか」

里見義実までその気になっています。

ここで雨とともに龍を見た里見義実と杉倉氏元ですが、杉倉は龍が去った後、こう言います。

「ともかく日は暮れ果ててしまいましたが、この入り江で夜を明かしましょう。安房へお供仕る、とは思いましたが、船はございません」

更に遅れてきた堀内貞行は船を用意していましたが、こう言うのです。

「先に相模路に入った時に、渡海が難しいと耳にしていましたので、近道をしてあちらこちらの漁師に渡ってくれる様に」

決定的ですね(笑)
落ち延びて数日で三浦半島矢取まで来た訳ですが、この間に、三浦の浜から安房に行こう、という段取りができていたのです。
でもなぜ安房に行くのか、を馬琴翁は触れてくれていません。
史上の安房里見氏をなぞったのか、源頼朝の安房上陸をなぞったのか、今となっては分かりません。

ちなみに南を目指すつもりですが、これは東ではないのかしら。
伊能忠敬の地図完成が1821年文政4年ですが、国家機密で出版はしてないと思います。
1814年文化11年に南総里見八犬伝の第一回が出版されていますけど。

左の赤丸が矢取、右の赤丸が鋸山。意外と近そうですが、当時の船で渡るのは怖いです。

 

②安房に鯉はいない?

第三回で安西景連は意地悪でこんなことを言っています。

「出陣の門出に軍神を祀るのだが、供え物としてそれはそれは大きな鯉を用意することになっているのだ。私のために針を垂らして、鯉を釣ってくれれば」

その後麻呂のぼやきに対しても、

「安房の国には鯉はいない」

第四回ではストーカー状態の金碗八郎が、

「安房一国には鯉はおりません。甲斐にも鯉がいないと聞きます」
「陸奥は五十四郡でありますが、鯉はいないそうです」

本当かしら?
でも調べる手立てがありません(´・ω・`)

ここはAIのPerplexityに頼ってみました。

Q:八犬伝で安房に鯉がない理由は何ですか?
A:安房に鯉がいない理由は、安西景連が義実に対して難題を与え、その中で「安房に鯉はいない」という教えを金碗八郎から受けたことが挙げられます。
この設定は、景連が義実を罠にかけるために無理難題を課した結果であり、物語の展開に重要な役割を果たしています

なるほど。でも八犬伝世界ではなく現実にはどうなんでしょう?

Q:安房には鯉はいないのか?
A:南総里見八犬伝には、「安房の国に鯉はいない」という記述がありますが、これは架空の物語の一部であり、実際の歴史や現実とは異なるものです。
歴史的に日本には鯉(マゴイ)が存在し、琵琶湖や利根川水系などで見られます。
安房の国に鯉がいなかったという記述は物語の設定であるため、実際の事実とは異なります。

では甲斐は?

Q:甲斐にも鯉はいないの?
A:甲斐には鯉がいないようです。錦鯉(ニシキゴイ)は日本の新潟県で品種改良や養殖が進んでおり、観賞魚として人為的に改良された品種です
錦鯉は自然界には存在せず、人間が美しい鯉の遺伝子を固定した観賞用の魚です。
甲斐地方において、錦鯉が自然繁殖しているという情報は見当たりませんでした。

うん?
かなり具体的ですね。でも錦鯉ではないのですよねえ。
陸奥も聞いてみましょうか。

Q:陸奥は五十四郡あるけど、鯉はいないの?
A:陸奥には五十四郡ありますが、鯉はいないようです。
提供された情報からは、陸奥地方において鯉が存在するという具体的な記述は見当たりませんでした。

ってことは、馬琴翁の情報はかなり正しいのかもしれません。

ちなみに超意訳では煩雑なので削除しましたが、金碗八郎は安房で鯉を求めることを無駄と言い、その例えとしてこんなことを言っております。
「安房において鯉を求めなさるのは、佐渡で狐を尋ね、伊豆大島に馬を訊くより、意味のないことですよ」
早速聞いてみます。

Q:佐渡島に狐はいないのか?
A:佐渡島にはキツネがいないとされる根拠について、伝説や話が存在します。佐渡にキツネがいないという定説は、団三郎狸(団三郎貉)がキツネを追い出したという話に由来しています。
伝承によれば、団三郎狸がキツネを連れて佐渡島に向かう途中、キツネを草履に化けさせた後、海に放り投げてしまい、結果的にキツネは佐渡島に辿り着けなかったとされています。
 この伝説の他に、金山で使用される鞴(ふいご)の材料として持ち込まれた狸が野生化し、佐渡島に狸が棲みつく一因とも言われています。
この話は狂言や能の演目でも取り上げられており、「佐渡狐」という作品では、佐渡と越後の百姓が佐渡に狐がいるかどうかで賭けをするエピソードが描かれています。
この作品では、奏者(役人)を巻き込んだ賭けややりとりが楽しい展開として描かれており、狂言の中心的な要素となっています。

ちょっとしたトリビアですね。
団三郎狸は日本三大狸じゃなかったかな?

Q:江戸時代、伊豆大島に馬はいたの?
A:江戸時代には、伊豆大島に馬が存在していました。具体的には、伊豆大島では日本の在来馬である「与那国馬」が飼われており、観光乗馬などの活動に使用されていました。
これらの馬は、伊豆大島の伝統文化の一部として、重要な役割を果たしていました。

あらま!
でも与那国島から馬を江戸時代に持ってくることはできたのでしょうかね。
何かこれは違う気がしましたよ。

③漆のかぶれに蟹は効くのか?

第四回で金碗八郎は見るも無残な姿で登場しますが、里見義実の知恵で蟹を食べて、また甲羅を塗って漆のかぶれを治します。
これもAIのPerplexityにお答えをいただきます。

Q:漆のかぶれに蟹は効くのか?
A:漆のかぶれに蟹が効果的であるという話があります。一般的には、漆かぶれに効くとされる方法として、漆にかぶれた部分にサワガニの汁を布につけて患部に貼るという民間療法が伝えられています。
蟹の汁に含まれるたんぱく質成分が一定の効果を持つとされており、現代ではこの方法は使用されないことも述べられています。

なるほど、それなりに根拠がありそうですね。

でも漆にかぶれたら、迷わず皮膚科に行った方が良さそうですよ。

でわ、また。
なぜなに八犬伝でした。


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2 コメント

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ふむふむ (栗八)
2024-03-01 21:02:51
西に住む私は、関東周辺のことがわかりませんが、
と前置きして…

馬琴翁が書かれた頃の房総はどんなだったんでしょう?
水戸方面は江戸庶民もご存じの所だったし、その先の奥州もだいたい。
となると、よくわからない(私は)房総周辺で物語が展開していくとフィクションから史実帯びてきます。

江戸から近いけど、簡単には渡れない海の向こうがなんだかわからない国…

わからない所には、知らない生き物が居たり、居なかったり、、できごとやら迷信やら神話やら、、、興味津々です。

なんて…個人的な戯言です。
現実的な解釈はいかんですね~すいません。
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当時は (馬鹿琴)
2024-03-03 02:12:36
埋立が少なく地形も変わっているでしょうね。

Wikiには馬琴翁は関西に旅行に行ったことが記してありますが、私愛用(?)のAI君は
「滝沢馬琴が江戸の外に出た特定の年や期間についての詳細な記述は見当たりません」
だそうです(´・ω・`)

個人的には房総には行ったことがないと思うのですが、自信なしです。
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