昨日に引き続き、UY-510(T)によるシングルアンプの製作です。
今日は、音質調整を行いました。昨日は、単に球を差し替えて音を鳴らすことができるように、ソケットをUXからUYへ変更、およびプレート電圧、プレート電流の調整を行いました。昨日書き忘れましたが、UY-510Bへのプレート供給電圧は、約325V、プレート電流は、50mAに調整し、カソード電位は約30Vでプレート損失は、ほぼ15Wです。
この状態で鳴らすと低音が結構出ており、迫力はあるものの、なんだか全体のバランスとしては、ちょっと悪いかなと思えます、まあ、この辺りは好みの問題でしょうが、一応、ブログにも書くのでもう少し全体のバランスを考慮したいところ。また、DFもそれほど大きくないので、少し低音がボンつき気味の音がしていました。
そこで、今日は、もう少し締まりの良い音にし、全体的に音のバランスを整えたいと思います。
といっても、秘策があるわけではなく、私の場合はNFBの調整を行い、DFの改善を行うだけです。
そこで元回路の下記、赤丸の中の抵抗を変更して調整を行っていきました。当初220kΩを100kΩに変更してと実施していましたが、DFをもっと大きくしようとすると、出力波形がひずむ。概ね、DFが2.6ぐらいでひずむようになり、こりゃ調整が必要だということで、回路の改造を行いました。なお、この波形は写真に撮り忘れましたが、以前、「次のアンプに向けた準備、やっと」で、記載した波形と同じ感じの崩れ方です。
そこで、上段のプレート電圧の調整ができるように、下記のような回路にしました。そして抵抗値も赤丸内の値に収まり、DFは4にするところまで行きました。
実際の変更後の様子は下記になります。写真下の可変抵抗が追加になっています。
ここまで、ブログでは淡々と進んでいるように思えますが、調整が結構大変です。
スピーカ端子でちょうど1W(@8Ω負荷接続)の波形を下記に示しますが、正弦波の上下が対象で整った波形をしています。しかし、これを出すのに各所の調整が結構大変。
このきれいな1Wを出力している、出力管に送り込んでいる電圧増幅段の波形、つまり出力管の第1グリッドの電圧波形を下記に示しますが、上下少しバランスが崩れています。(電圧はプローブで1/10にしています)
つまり、少し歪のある波形を出力段に送り込んでいるわけですが、スピーカ端子はきれいな波形になっています。何が言いたいかというと、電圧増幅段と出力段でうまく歪の打ち消しが行われてこのようなきれいな波形が出力されるのですが、このうまく歪の打ち消しが行われる動作点を見つけるのが結構大変なのです。
何とか調整出来、DFは4(1kHz, 8Ω時)となりました。出力波形も上述のようにきれいな波形となり、いざ試聴!
まず第1印象ですが、上述した低音の出すぎも解消され、ボンつきもありません。音には透明感が感じられます。しかし、こんな感じでうまく歪の打ち消しが行われた場合、音が若干固いかなという印象。もう少し歪を多くすれば音が柔らかくなるのかもしれませんが、この透明感は歪の少なさから来ているようにも思います。
女性ボーカルで確認すると、これが心地いい。本当にそこで歌っているような感じがします。しかしピアノメインの曲にすると、やはりこの硬さが影響しているのか、少し機械的な音の印象があります。ギターやバイオリンの絃の音は、張りのある良い音で言うことなしです。
と、このようにうまくアンプにすることができました。UY-510Bは、日本が誇る真空管の1つではないでしょうか。
一度皆様もお暇なときに上述のような回路で真空管アンプを作って確認してみてください。