先日製作した、800ダイナミックカップリングシングルアンプで800とトランジスタをダーリントン接続したら結構良い特性になったので、他の球ではどうなのか気になっていました。そこで、ダイナミックカップリング管の元祖ともいうべき、6AC5で特性を確認してみました。
まずは、6AC5の写真から。
手持ちには何種類か持っているのですが、引き出しの奥にしまっていて引き出しの前にものが置いてあるような仕舞い方なので、一番手前にあるZenith(ゼニス)のものしか取り出せませんでした。
御覧のように見た目ものすごく地味で、大きさは6V6GTと同じサイズ、プレートは6V6GTと同じか、それより小さいサイズです。ヒータ電力はほぼ同じですが、プレートロスは10Wと低めです。内部構造は4極管になっており、第2グリッドを内部でプレートか第1グリッド(恐らく第1グリッドでしょう)に接続している3極管のようです。A級動作で使用する場合は、76や6P5GTなどとダイナミックカップリング接続し使用する回路になっています。下記は、Tung-Solの特性表に記載の回路になります。
一度6AC5を使ったアンプを製作しようと考えたことがあったのですが、前段がST管の76でその後ろがGT管という、なんだかちぐはぐな格好がどうしても気に入らず、6P5GTを入手したら作ってみよう、と考えたのですが、この6P5GTがかなりのレア管でなかなか入手できず、未だに製作はしていません。ただ、最近6P5GTは入手したような記憶があり(上述の引き出しの奥にしまったような・・・)、さらに6AE5GTも使えそうだということがわかり、6AE5は比較的楽に入手できました。Tung-Solの規格表には6J5も記載がありますので、それでもよかったのかもしれません。6J5でよいと知ったのはたった今です。
さて、どんな回路で確認したかというと、下記のように2つの回路で確認してみました。
回路Aは、トランジスタトンのダーリントン接続、回路Bは、6AC5GTそのままの特性です。
いつものように、ディスクリート(ずぼらなエア配線)で計測してみました。
その結果が下記になります。が、デジタルオシロの測定結果をフロッピーに保存し、PCに持ってくるのですが、保存に失敗してしまい、今回はデジタルオシロの画面のみです。まるで約4000万円の振込先を間違えてカジノで摩られてしまったどこかの自治体のようなシステムです。
なお、今回は上記の計測回路に記載のように入力電流も計測してみました。結果は下記のようになります。
まずは、回路Bの6AC5のみの計測結果です。
黄色の線が、入力電流(Ig)になるのですが、結構流れています。この電流を76などのカソードから補うことになります。
そしていよいよ回路Aのトランジスタとのダーリントン接続です。使用したトランジスタは2SC2542 になります。
調子に乗ってかなりの電流を流してしまいましたが、明らかにプレートロスはオーバーしていますので、本来はこんな使い方をしてはいけません。トランジスタのベースバイアス電圧に対し流れるプレート電流は、回路Bとほとんど大差はない様ですが、特性がかなりトランジスタっぽくなっています。また、動作点のプレート電圧を50V以上とした場合は、ベース電流はわずかしか流れず、もはや76のカソード電流よりも小さな電流でドライブできそうです。6DJ8や6AQ8のカソード電流でドライブできるかも。
今回は測定のみですが、こういう接続の仕方で新たな真空管アンプの魅力が再発見できるかもわかりません。また試してみようかと思います。