Friends of Valves 自作真空管アンプ

自作真空管アンプを中心にいろいろ載せていきたいと思います。

ML6ロフチンホワイトシングルアンプ(3)

2021-10-31 18:40:00 | ML6ロフチンホワイトシングルアンプ

引き続き、ML6ロフチンホワイトシングルアンプの製作編です。

製作編といってもそれほど記載することはありませんが、真空管アンプの自作の場合、ほとんどがシャーシの加工に時間が費やされます。市販のシャーシを購入すれば穴あけだけで済みますが、それでは、なかなかデザインや大きさが希望通りにならず、また出費もある程度かかりますので大抵は自作しています。

このML6の場合は、シャーシ上面に富士シャーシのFS150-300(150mm×300mm)というアルミチャンネルを使用し、前・後面は幅50㎜×厚さ25㎜のアルミ角パイプを加工し、使用しています。

角パイプをどんなふうに加工しているかと言いますと、下記の写真のように縦方向に半分に切断してチャンネル材とし、これを上面パネルにねじ止めしています。

サイドの部分は、桜の角材ですが角材を取り付けられるように、またシャーシの補強もかねて、L字型のアルミ材をシャーシの上下に取り付けています。

と、おおまかに説明しましたが、写真がないのでさっぱりわかりませんね。

主な部品配置は下記のようになっています。

そしてシャーシの中身は下記のような感じです。

さて、気になる音ですが、ミニワッターということもあり出力0.5Wです。小さな音しか出ないのではないかなと最初は恐る恐るだったのですが、0.5Wでも十分な音量になります。しかし、JAZZなどノリノリになってボリュームを上げると歪でガサガサ音が出だします。

音は、3極管らしく透明感のある素直な聞きやすい音に感じました。実際、周波数特性を計測しましたが、20Hz~30kHzぐらいまでフラットで、変な盛り上がりなどもなく素直な特性です。この辺がカップリングコンデンサを持たないロフチンホワイトの良いところではないかと思います。

このアンプは製作後しばらくしてオークションに出品しましたが、出品後一旦取りやめ、ML6を45に置き換えて再出品しました。確か東北の方に落札されたように思います。

 

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ML6ロフチンホワイトシングルアンプ(2)

2021-10-30 18:33:08 | ML6ロフチンホワイトシングルアンプ

前回、主に回路の方向性と真空管の紹介をしましたが、今回は、回路の設計編にしようと思います。

その前に、EF91のカソードの光り具合がわかる暗い部屋での様子を載せておきます。

横から見ると真空管の中が丸見えで、夜静かに音楽を聴くには目の保養にもよさそうです。

さて回路はロフチンホワイトということで、下記のようになりました。ただ、電源回路はやはり半導体を用いた電圧調整回路としたようです。チョークだとスペースを取るのでミニアンプに不向きなのと、当時はML6は未知の球だったので、B電圧がオーバーして球が壊れたりエミッションがすぐになくなったりしたらショックなので可変とし、様子を見ようとしたようです。ですが、実際に使用してみると案外使えるもので、確か本アンプでプレート電圧(プレート~カソード間電圧)が少し高めの220-230Vぐらいにしていたと思います。

ML6のグリッド電圧(=EF91のプレート電圧)を50Vとし、ML6の負荷を5kΩとした動作点(図は省略)からバイアスは10Vだったようで、そうするとカソード電位が60V、プレート電流が約20mAとなり、カソード抵抗が3kΩとなります。

初段は、EF91のプレート電圧を50V、プレート供給電圧を100Vとし、50kΩ負荷で3結のIp-Vp特性曲線にロードラインを引いて、Vp=50V時のグリッドバイアスとIpからカソード抵抗を計算します。

当時は、恐らく下記のような感じでロードラインを引き、設計したと思います。

こうして設計した回路が下記になります。

電源回路にはMOS-FETを使用していますが、記号が変です。

ML6はヒータ電圧が6Vなので、0.22Ωを接続して若干電圧を落としていますが、まあ多少超えても問題ないんじゃないかなと思います。

NFBは、トランスの2次側から初段のカソードに向かって掛けていますが、トランスを介して沢山かけると音に雑味を感じてしまい、当時は少しだけ掛けるようにしていました。最近作っているアンプはトランスの1次側から信号を拾って掛けているので、沢山かけてもそんな雑味は感じません。

と、今回は設計編ということで、ここまでにしておこうと思います。次回は製作編ですが、あまり記録に残していなく、すぐに終わってしまう可能性ありです。

 

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ML6ロフチンホワイトシングルアンプ(1)

2021-10-24 21:54:30 | ML6ロフチンホワイトシングルアンプ

あまりネタがないので、以前製作したアンプを持ち出しています。

2014年7月に製作したものですが、大変暑い夏だったので、あまり発熱しないミニワットのアンプを作成しました。

ML6という電圧増幅管だか出力管だか、よくわからない欧州製の球を用いたものです。

ML6は、プレートロス5Wほど、プレート電圧200Vで約0.5Wの出力が取れる、規模的には71Aのような球ですが傍熱管です。μは71Aよりかなり高めで20近くありドライブも楽です。ちなみに、ML6は、ML4の6V管でヒータ以外はML4と同一です。また、MH4という球もあり、こちらは”H”というだけあり、μが高く倍の40あります。

しかし、プレート電圧200Vというのは、ちょっと使いにくい。大抵の電源トランスに200V程度のタップがなく、多くの小型トランスは、250Vとかそんな程度のタップ。普通は、250Vで整流しても、抵抗を使ったパイ型フィルタや、トランジスタを使用したレギュレータを使って電圧を落とすのでしょうが、それでは面白くないですし、発熱も大きくなるのでB電圧を高めにしてロフチンホワイトアンプにすることとしました。ですがおわかりの通り、ロフチンホワイトにしても結局は、出力管のカソード抵抗で放熱することになるのですけどね・・・。

折角なので、ここで使用する真空管を紹介したいと思います。

出力管のML6は、下記のような球になります。恐らくはGECの球と思いますが、メーカ名の記載がありません。プレートの形状は、71Aと同じ矩形タイプになります。ベースはB5タイプというものです。

そして、前段に使用する球はこれも欧州製のものでEF91(6AM6)という球です。こちらはMT7ピンの球ですが5極管です。ただし、このアンプを作ったときは3結で使用しました。3結にするとμが70ほどになりますが、同じようなハイμ管である6SL7と比べてプレート電流もたくさん流すことができて使いやすく、また個人的には音がいい球の部類に入れています。

バリエーションも多く、欧州では汎用管だった可能性があります。デザインもよく、隠れた名管?の可能性があります。プレートの形状は、2枚の板が前後で向かい合わさったような形をしており、横から覗くと暗い部屋では、方向によってはカソード全体の明かりが見えるので、動作中でも楽しませてくれる球です。管壁にブルーや灰色のものを塗布しているものや、ゲッターの蒸着だけのものもあり、わずかですが音質も異なるので楽しませてくれます。

ということで、今日は、アンプと球の紹介とし、続きは次回にしたいと思います。

 

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Taylor T-55 ダイナミックカップリングシングルアンプ(2)

2021-10-23 20:21:02 | T-55ダイナミックカップリングType1

先週からの続きです。

先週は、ダイナミックカップリングアンプを製作するにあたり、全段直結、かつ出力管の制御を行うドライバー管のプレート電圧の調整もしないでアンプにする回路について、差し出がましくもお題を出しましたが、大反響の内に幕を閉じました。

と、言いたいところですが、出張先でお昼ご飯を食べただけのブログの方がアクセス件数が多く、内容的には今一つだったようで、あまり面白くない内容だったと反省しつつも、自分の経験が何かのお役い立てればという気持ちも少しあります。

ま、とにかくいろいろ反省しつつも、今日は回答を記載しようと思います。

 

お題の回路は、下記回路で、条件”+B2=+B1”を遵守しつつ、アンプとして動作させるためにはどうするか、ということなのですが、1つ足りないものがあります。

答えとしては、下記の回路になります。

Q2のカソード~GND間に抵抗Rを一本入れます。こうすることで、出力管T-55に対する直流電位のバランスが取れ、T-55が動作するようになります。

ただし、このRの値が大きすぎた場合、例えば500kΩなどであれば、T-55のグリッドバイアス電流があまり流れず、出力にクロスオーバーひずみが発生したりしましたので、Rの値を小さめにした方が良さそうです。見出しの写真のアンプでは、12kΩで作成しました。明確に計算等出来たわけではなく、カットアンドトライです。

さてこのように超簡単回路で作成したダイナミックカップリングアンプですが、欠点もあります。それは、定電流回路の発熱がめちゃくちゃすごいことです。出力段のカソード電位は、Q1のプレート電位に引きずられますので、例えば、100V位になってもおかしくありません。T-55は、811クラスの球ですので、プレート電流80mA程度流せますが、そうすると、定電流回路で8Wぐらいの発熱となり2回路で16Wにもなります。これを放熱するのは、ものすごく大変でシャーシ自体がかなり高温となりました。

下記は、表題の実験用アンプの放熱部分ですが、アルミ板にサブの放熱器をつけたものでは到底間に合わず、放熱に合わせて十分なシャーシの大きさにする必要があることがわかりました。

と、一応、実験としてはこういうノウハウも得られたし成功ということだったと思います。当ブログがアンプ製作の際、何かのお役に立てれば。

 

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Taylor T-55 ダイナミックカップリングシングルアンプ(1)

2021-10-17 22:01:40 | T-55ダイナミックカップリングType1

今日は以前製作したTaylor T-55のダイナミックカップリングアンプをお題に。

以前は別のアンプだったシャーシを現在は実験ステーションとして使用しているのですが、上記のようなダイナミックカップリングアンプの実験を行いました。

ところでダイナミックカップリングアンプというものですが、正しい定義があるのかどうかはわかりません。しかし、一応、ここでは、アンプの回路として、出力管であるポジティブグリッド管をドライブするためにドライブ管Q2のカソード電流をポジティブグリッド管のグリッドに流して動的な制御をするアンプとしておきます。

基本的な回路は、下記のような回路と思っています。

この回路で、ドライブ段の+B2の電圧を制御し、ドライバー段のカソード電流を調整して、出力段(T-55)のプレート電流を調整します。

しかし、今回の実験は、出力段のT-55のカソードに定電流回路を設けることでプレート電流を調整し、わざわざ+B2を調整することなく、+B2=+B1としてT-55を制御してしまおうというわけです。しかも、T-55には定電流回路がついていますので、ドライバー段Q2と初段Q1は直結も可能です。

回路的には、下記のような回路になります。+B2=+B1です。

 

さて、ここで問題です。

この回路ですが、うまく動作するでしょうか。実はうまく動作しなかったのですが、これをごく簡単にうまく動作させるためにはどうすればよいでしょうか。

答えは1週間後に!わかった方、こっそりコメント欄にでもいただければ。”ごく簡単に”というのがみそです。

 

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