化学系エンジニアの独り言

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ベネズエラよ、お前もか

2007-01-22 | 石油
ベネズエラのチャベス大統領が石油資源を武器にUSに激しく対抗しています。また、先日は中央銀行の自主性を終わらせるなどと発言したもので、ベネズエラ株式市場は銀行株を中心に大暴落し、あわてて別の閣僚が否定的な発言をするなど、いろいろとお騒がせです。

ベネズエラからUSへの原油、石油製品輸出は1.5ミリオンBDもあります。これはUS輸入量の11%に相当しますから、USにとっては重要な原油供給元です。ベネズエラの原油生産量は2.6ミリオンBDですから6割近くがUSに輸出されています。さらにペドベサ(ベネズエラ国営石油)は子会社のCitgoを通じてUS国内に5箇所の直営製油所と共同運営の製油所を4箇所持っています。USとベネズエラの繋がりはかなり強固といえます。

一方、エクソンモービル、シェブロン、コノコフィリップスなどの企業は総計で60万BDに上るオリノコタールの開発を行なっています。これらは1990年代に始まったもので、外国企業を誘致して石油資源開発を先行させて、国家経済を発達させてきたわけです。

ここにきてチャベスはオリノコベルトの超重質油開発を国有化すると宣言しています。さらにUSへ輸出している石油を中国やインドなどの石油を浴している国に振替えようとしています。2004年に1万BDあまりであった中国への輸出は、2006年には15万BDまで増大しています。今後5年間で50万BDまで増加させる計画です。

一方、インドへの輸出も計画されており、手始めに2006年4月には2ミリオンバレル/月の契約を結んでいます。さらに、イランと協同でインドネシア、シリアやベネズエラに製油所を建設する案も検討しているようです。とにかく反USとなる施策を次々と遂行しています。

これに対して国際石油会社、メジャーは今のところコメントせず事の成り行きを見守っています。最も石油アナリストからは、ベネズエラとUSは石油取引量も大きく製油所を運営しているなど関係が深く、中国やインドに振替えるといっても一朝一夕には実現しないとの意見もあります。

ロシアといい、ベネズエラといい、資源国が国家として資本主義市場に参入してきたことで、これまでの市場のルールや経験が適用できなるケースがこれからも起こるものと予想できます。