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中国でDMEプラント

2005-10-16 | 石炭
中国で低品位石炭からDME(ジメチルエーテル)を製造するプラントが建設されるそうである。DME生産能力は年産15万トンで2007年末には稼働するとみられる。

DMEは一般にはまだなじみがないですが、沸点が-25℃で6atmで液体になる、ガス燃料です。LPGに近いと思って良い。
LPGは家庭で使用されたり、タクシーの燃料になっていますから、DMEも同様になじみやすいと考えられます。

とにかく燃料・エネルギー源のほしい中国としては、利用価値の小さい低品位石炭(褐炭)から、自動車用燃料が作れればよいと言うわけです。

人類の燃料転換は薪、石炭、石油と進んできましたが、これらは前の燃料が枯渇したから新しい燃料を使い出したというわけではなく、安くて便利なものに変わっていっただけです。そして、その流れ・消費者の要求は変わることがないでしょう。

石油の次に天然ガスが来ているという人もいますが、馬鹿いっちゃいけません。天然ガスを使うようになってはいますが、石油から全面的に変わったわけではありません。その比率は落ちたとはいえ、いまだに石油へのエネルギー依存度はほかの燃料よりも高く、50%弱はあります。何故、今でも石油が一番かと言えば、貯蔵が楽、液体なので移し替え、供給や運搬が楽だからです。

天然ガス自動車というものがありますが、いっこうに普及する気配がありません。天然ガス自動車ならばCO2排出量もガソリン車に比べて26%減ります。温暖化ガス排出抑制に大いに寄与するのですが、いっこうに増える気配がありません。燃料電池自動車を開発、とまどろっこしいことをしないで、とりあえず天然ガス自動車を普及させればよい。ところが、天然ガスはガス体なので、貯蔵や運搬に手間と費用がかかるという問題があります。それでいっこうに普及しないのです。

先にも言いましたが、DMEはガス体ですがLPGと同様に6atmに圧縮すると液体になるので、使いやすいのです。石炭という固体燃料を液体化する方策の一つとしてDME合成を中国では選択したわけです。

これには、原油価格が上昇して石炭からの合成が経済的に成り立つようになったことも大きいでしょう。
かつて石炭の直接液化技術開発を行なっている時代に、「石炭の液化はコストがかかって駄目でしょう」といわれたものです。「原油価格が45ドルになれば、経済的にも成り立ちます。」などと返答していたことを思い出します。
今の原油価格、70ドルなら間違いなく成立する訳です。中国内には低品位石炭が多く埋蔵していますので、これから液体燃料ができれば自給率の向上にも寄与するというものでしょう。

でもDME合成をしてもCO2排出量は減らないって。中国にしてみれば地球環境問題よりも、夏場の停電、冬場の暖房燃料不足の方が深刻な問題でしょう。


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