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天然ガスからの不純物ガスの分離

2006-11-27 | ガス
一般に天然ガスと呼ばれているのは可燃性天然ガスのことですが、ガス田から産出される時には炭化水素以外のガスも含んでいます。この不純物としては窒素、二酸化炭素、硫化水素、アルゴン、ヘリウムなどがあります。含有される不純物ガスの種類とガス組成はガス田によりまちまちでしょうが、除去しなければならない主な不純物は二酸化炭素と硫化水素です。

広く用いられている不純物ガスの除去方法は、水溶液に吸収させてメタンと分離する方法ですが、メンブランフィルターを用いる方法もあります。しかし、不純物ガス濃度が15%以上になるとこれらの方法は経済的に成り立ちません。

例えば水溶液に吸収させる方法では、不純物ガスを吸収したリッチ溶液を加熱して不純物ガスを放出させる必要がありますが、不純物濃度が高いと加熱に使われる熱エネルギーが生成される製品天然ガスの熱エネルギーを上回ることになります。

そこでシェルでは遠心分離による新しい不純物ガス除去方法を考案しています。回転分離プロセスと呼ばれるこの方法は、ウラン濃縮で使われているものと同じ原理のようです。ガス-ガスの遠心分離ではガスの拡散が遅いので分離時間を長く取る必要があり、必然的に装置が巨大となって実現不可能です。

シェルの回転分離プロセスでは相変化、具体的にはガスを液体に変えて分離速度を大きくする方法を採用しています。ガス田の中のガスは高圧、例えば130気圧、ですので、これを地上に持ってきて膨張・冷却させて不純物を液体ミストにします。なおこの時エクスパンダーで動力を回収します。不純物ミストは回転粒子セパレーターで分離し、コンプレッサーで再加圧して製品天然ガスとします。コンプレッサーの動力はガスエクスパンダーで回収した動力を使います。分離された二酸化炭素は再びガス田に戻されます。

この方法では経済的に高濃度の不純物ガスを回収できるといいます。シェルの試算では100kg/secのメタン(50%の二酸化炭素を含む)を処理するのに直径1m、長さ10m程度の装置で済むといいます。ガスの処理量を換算すると1440トン/dayです。例えばサハリンIIでの生産天然ガス量は23,000トン/dayと計画されていますので、これと比べると回転分離装置の能力が理解できます。

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