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イランの油田開発

2006-05-23 | 石油
イランのAzadegan油田開発に関して、米国とイランの板ばさみにあっている。

米国、UK、フランスはイランの核開発を止めさせるべく、安保理での経済制裁を主張している。一方ロシアと中国は経済制裁には賛成していない。米国は日本に対して、経済性が発動されるかどうかにかかわらず同油田開発を中断するよう要請している。油田開発はイランの核開発を金銭的に後押しするものとしている。

これに対してイランはこの問題を安保理からIAEAの場に引き戻すよう日本に協力を要請している。Azadegan油田は日本のエネルギー安全保障上重要であり、日本が経済制裁に加わるようであれば、その影響はテヘランよりも東京の方が大きい、と脅しているわけである。

この開発はInpex、トーメン、Japexが日本側コンソーシアムとなり、2004年2月にイランと調印している。総開発費は$2Billionで日本が75%を負担する。
イランのように地政学的リスクの油田の利権を持つことが本当に安全保障上、重要かどうかは意見の分かれるところ。しかし、自前の油田を持つことは重要であり、イがあることだ。しかし、イランではかつでホメイニ革命の時、日本イラン石化プロジェクトが破綻して手痛い被害をこうむったこともある。まー、日本側の事業会社はその辺のリスク管理・ヘッジはしていることではあろうが。

日本がこのPJから手を引けば、代わりに中国が乗り出すだけだろう。そもそも中国は経済制裁に反対しているのだし、油田は欲しくてしょうがないわけだから。米国の一部には中国の技術ではAzadegan油田は開発できないと主張する学者もいるようだが、多少効率は悪くなるかもしれないが、油田の開発は出来るだろう。

米国ではイランの油田開発に協力する外国企業に対して、米国として何らかの制裁措置を課す法案が審議されている。米国への輸入差し止めを食らうのは痛いところではあるが、一体日本からのどんな輸入品を差し止めるのだろうか。そしてそれらを日本以外から簡単に調達できるのだろうか。このあたりについては疑問が残る。

核の拡散は防がなければならないが、すでに持っている国は良くて、後からついていくのはだめよ、というおきまりの理屈はやはり通らない。

日本はイランから全原油輸入量の15%を輸入している。2004年の全輸入量は242millim kL で約417万BDで有る。これの15%は62.5万BDだ。Azadeganの推定埋蔵量は260億バレルといわれており、このうちの75%の利権を日本が得るとすれば、62.5万BDで割り返して85年となる。これだけの量を黙ってほおっておけといわれても出来る相談では無い。

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