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Performance Engineering

2GR-FEエンジンのチューニング 腰下編

2017-07-22 23:28:57 | エンジン 2GR-FE
前回の続きです。


ブロックはバンク角60度のアルミブロック、オープンデッキでシリンダーは鋳鉄ライナーが鋳込んであります。
バンク角を含めて最近の標準的なV6の構成となっています。

V型の場合、クランクの保持が2気筒ごととなりピン間のオーバーラップも少なく剛性が下がり、4気筒等と比べるとクランクの変形量が多く、クランクキャップの構造にエンジンごとの特徴が出てくるように感じます。2GRの場合、ディープスカートのブロックに鋳鉄のキャップを下から4本、側面から2本で締結しています。さらに剛性に気を使ったエンジンの場合、ロワーブロックと一体型のキャップになります。
旧世代のVZエンジンのラダー構造の一体型キャップを下から各2本で止める物と比べるとクランクキャップの剛性は大幅に高まっています。メタルの当たりもそれほど悪く無い感じでした。

クランクは鍛造で高周波焼入れが施されており、コストと性能のバランスを取っている印象。軽度のチューニングなら純正で十分に対応出来そうですが、バランス率がやや低いようです。ピストン、コンロッド変更時はやや軽量化したほうがダイナミックバランスが取り易いようです。大幅なレブリミットの引き上げはトラブルの予感がします。


ピストン&コンロッド。NA用の純正としては面白みはないけど良く出来てます。
コンロッドの製造技術に関しては結構すごい気がします。写真じゃ分からないですが、すげー型割り。


鋳造。ピストンリング幅は1.2mm、1.2mm、2.0mm。ランドは軽量化の為にかなり薄めになっています。その割りにコンプレッションハイトは高め。つまらんw
鋳造なのと、ランドの薄さが過給エンジンの場合弱点となります。ピストンの破損防止の為、EvoraやExigeのスーパーチャージャー付きの燃料は高負荷領域でかなり濃いです。薄くするとパワーは出ますがピストン温度が上昇し、棚落ちします。鍛造に変更し、ランド寸法をもう少し確保してやることで安全に適正な燃調に変更出来、パワーが出せます。その場合、ピストン重量は増えるのでコンロッド側に軽量な物を使用して辻褄を合わせた上でダイナミックバランスを取る事でスムーズなエンジンになります。


裏側の肉抜きもなかなか。

ノーマルでの完成度が高く、後付過給機などのチューニングに対するマージンは少ないですが、内部に手を入れ、肝を押さえれば面白いエンジンになると思います。

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