福島木工家具店

製作した家具の紹介と日記

一人弁当箱 製作記録 12

2020-02-08 22:24:34 | 製作記録
弁当箱の取っ手金具取付。

金具は特注品 ↓





M3のネジとナットを使います。

漆の塗り立てによる塗り厚が予定よりも厚くなったので、ナットの規格を薄い物へ変更したため、ネジの長さを0.5mmから1mmほどカットすることになる。

金具取り付けと同じ厚みの板材を用意してこんな感じに仮止めして ↓





ベルトサンダーで削る ↓





こちらがカットした後 ↓



写真中央のネジ右側がカットしたもので、長さが少し短くなっています。

ベルトサンダーの番手は♯180を使用。 当初、♯120を使ったのですが、荒くて削れるのが早く不適であった。



さて、漆塗りの方ですが、前回も書きましたが塗り立ては難しい。

塗り厚を薄くし、塗り溜まりが無いように、そして乾燥はゆっくりと時間をかけて縮みが出ないように細心の注意を払わなくてはいけない。

特に、今回のような小さな箱の内側の隅を薄く塗るのにはとても難しくて時間も掛かる。

これでもかというくらい薄く塗っても乾燥条件を誤ると容赦なく縮みが出来てしまう。


一度目の塗り立ての後、ゴミや塗り厚のむら取りを行ったところ ↓



専用砥石でも良いのですが、裏の出た鑿を使うのが早くて便利。

鑿が届かないところは底さらい鑿でスクレイブする。

ただ、刃物なので力加減を誤ると、刃が食い込んでせっかく塗った漆ごとはがしてしまうこともあるので要注意。


塗って、乾燥させて、削って、クリーニングしての繰り返し ↓




仕上がりのゴミが目立つので漆用の濾し紙を使ってゴミを取り除きます。

漆を紙の上に取り出して ↓



袋のように紙を折りたたんで両端を引っ張りながらくるくる回して漆を絞り出します。


絞り出した後 ↓




これは素手でやった方が上手く絞れます。

最初はかぶれることを恐れて手袋をしたのですがやりにくかったです。

絞るための濾し器もあるのですが、常時、何度も何度も絞ることも無いため手でやっています。

拭き漆なら少々のゴミがあったとしても拭き取りの時に取り除けるのですが、

塗り立ての場合は漆刷毛で塗ったままが仕上となるのでゴミは出来るだけ無いようにしなくてはなりません。

また、分からないくらい小さなゴミでも、塗り立ての漆の場合、漆がゴミの周りに吸着して膨らみ、大きく見えてしまうのでなおさらです。

完全にゴミが無い状態で仕上げるのは困難なので、少しでも少なくなるよう色々と配慮しながらの作業です。

ここ数週間、毎日毎日、昼夜を問わず漆を塗り続けています。

当初の納期は1月末だったのですが、先方のご理解のお陰で幾分か猶予を頂けたので、日々塗りの完成度を上げているところです。

まだまだ未熟者です。

適当なところで切りをつけて、さっさと次の仕事に入れば良いのですが、ご注文を頂いたお客様のことを考えると少しでも良い物をと思ってしまいます。

事業としての採算を考えるとNGなのですが、個人事業なのでまあ良いとしましょう。

もう少しで終わりそうです。



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