ふんばろう宮城プロジェクト

東日本大震災から発足した「ふんばろう東日本支援プロジェクト」公認団体として2013年4月から活動する復興支援プロジェクト

地域のお祭りにはいろいろな意味がある

2014-09-30 09:14:11 | 活動報告
 今年9月の日照時間は過去3番目に長かったそうですが、お祭り日和となった石巻での二日間のレポートです。

 ふんばろう宮城プロジェクトでは依頼を受けた地域イベントのお手伝いを続けています。それぞれの自治体で催されるイベントも震災から3年半を経過し、徐々に「自分たちで」運営できるところまで近づいていると感じながら、今年も3カ所の夏・秋祭りに参加しました。私たちの目的はお祭りを盛り上げることはもちろんなのですが、会場に足を運ぶ被災された方々から近況を聞くことも大切です。いま、どのようなことが不自由で、私たちができることは何だろう…と。
▽三年目で参加地区が広がり大賑わい
 大人も子どもも喉をうるおすのに「カキ氷」が飛び交った9月21日、石巻市渡波にある黄金浜会館を会場に「渡波西部地区やりましょう!秋祭り 2014」が開催されました。毎年、名称は変わりましたが今年で三度目。ふんばろう宮城プロジェクトは一回目の「石巻さかえだ夏まつり2012」から非営利の食べもの系ブースを出店しています。

 
 毎年、目玉となる食材をあれこれ考えるのですが、今回は定番の「焼きそば」と串焼きをメインに提供しました。焼き鳥は国産にこだわり宮崎県の業者から取り寄せました。焼きそば300食、串焼き600本も正午過ぎには完売という盛況ぶりで、お手伝いいただいた渡波地区「若妻会」の3人のおかぁさんたちも汗だくで野菜をカットしたり出来あがった焼きそばをパックへ詰めたりと大忙し。お彼岸だったので客人が集まったか「焼きそばがうまいって言うから昼食にすっからね」と8パックまとめて買って行かれた方もいました。売上のすべてを実行委員会へ寄付しました。
 演芸系の出し物も充実していました。大崎市高倉蘖(ひこばえ)太鼓や渡波中生のブラスバンド、はねこ踊りは会場を盛りあげ、オキナワダンスの演奏は圧巻でした。
https://www.youtube.com/watch?v=bUJNhgI8EGM
 1回目の実行委員長を務めた佐藤嘉代子さんは「震災は地域住民にいろいろなことをもたらした。3.11からそれまで背を向け合っていた人が協力し合うようになったり、その逆もあったり…。でもこうして地域の人たちが協力し合ってボランティアの手を借りずともお祭りを催せるようになったことは本当に嬉しい」と語りました。来年は私たちも「お客さん」として楽しみたいと思います。
 
▽磐石な地区運営はちょっとした気遣いから
 翌週の28日は石巻市鹿妻にある鹿妻南コミュ二ティハウスで催された「大お茶っこ飲み会vol.4」のお手伝い。6人のふんばろう宮城メンバーが参加しました。
 鹿妻地区も東日本大震災で大きな被害を受けました。同地区の会長を務める西村しげさんは、まだ不安でいっぱいだった震災の半年後、このイベントを立ち上げました。仮設住宅へ避難された方など離れ離れになった地区の方を集めて近況を伝え合うことが目的だったとうかがいました。

 
 新興住宅地であったこの地区は子どもも多く、お祭りを心待ちにしている子どもたちが喜ぶような出し物が目立ちました。ミニSLに歓声をあげ、射的にかた抜きに一喜一憂する子どもたち(大人も)。その時だけはプレステなどゲーム機に電源が入ることはありません。ふんばろう宮城はアイスクリームと焼きとうもろこしを提供しました。

  
 お祭りでの触れ合いは来場される被災された方から震災当時の話や「いまの生活事情」を聞くことのできる貴重な時間でもあります。高校2年の娘さんと一緒にお手伝いをしてくれた橋本信行さんは「彼女(娘さん)自身も充実した活動になったと思う」と語ってくれました。
 震災から3年半がたち、地域イベントを手伝うボランティアの数も減ってきたと言われますが、この鹿妻地区は増えることがあっても減ることはありません。お祭りの終了後にいつも、西村さんから送られてくる感謝の言葉を綴った手紙。それを読むと「必要であればいつでも声をかけてください」と言いたくなってしまいます。ちょっとした気遣いが人を、組織を動かすものですね。(こせきかつや)

学生らの願いに呼応 復興祈念ジョイントコンサートを応援

2014-09-19 07:30:40 | 活動報告
 夏休み明けの3連休初日となった13日、名取市文化会館で開催された「東日本大震災復興祈念ジョイントコンサート・青山学院大学管弦楽団×宮城教育大学交響楽団」のお手伝いをしてきました。手伝いといっても演奏するわけではなく、名取市内に7ヵ所ある仮設住宅に住む「自家用車などを有していない高齢者」をコンサート会場まで送迎するのが今回のミッション。
 
 ひょんなことから人はつながり、話は進むものだとあらためて感じました。
今回、お手伝いすることになったきっかけは青山学院大学出身の知人(同校学友会の役員をしている)から、「新聞の取材依頼」の相談を受けたところから始まりました。これまでも青山学院では震災ボランティアの活動を宮城県内で継続的に行っていて、学生たちが特に復旧が遅れていると感じている名取市内でコンサートを催し、被災された方に元気になってもらいたいというのが趣旨とのこと。さっそく知己の記者へ連絡を入れました。
▽宮教大と青学大が復興祈念合同演奏会 13日(河北新報 9月1日付)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201409/20140901_15021.html
 
 一方の学生たち復興支援の募金活動を展開しながら、夏休みを利用して名取市内の仮設住宅や市役所などをまわってコンサートのチラシを配り、「ぜひ会場へ来てください」と呼びかけました。話を聞いてくれた高齢の方へ招待券を手渡すと「行きたいのだけれど足がなくてねぇ」とため息まじりの返答が多く、どうしたものかと悩んでいたそうです。「来てもらいたい人が来られないなんて…」。
   
 そんな悩みを共有されていた青山学院学友会の方や「名取復興支援センターひより」などを通じて、「送迎のお手伝いができないか」という話がふんばろう宮城プロジェクトへ来たのでした。
 メンバーの自家用車で送迎しようかと考えましたが、何かあった時のことを考えると「プロに任せた方がよい」と判断。名取市内を拠点にしているミナトタクシーへ依頼することになりました。7ヵ所の仮設住宅から参加者の数、効率的なルートなどを打ち合わせし、送迎タクシーの代金をふんばろうから支援させていただきました。
   
 筆者は会場へ到着するタクシーを確認し、被災された方々を受付へ案内するだけでコンサートは聴けなかったのですが、参加されたふんばろう宮城メンバーのHさん(トランぺッター)によると「なかなかイイ演奏で感動した」とFBでつぶやいていました。参加された方々も充実した時間を過ごされたことと思います。
 
 学生たちはコンサートの前後に閖上地区を訪れ、閖上中学校やゆりあげ港朝市などを視察。3年半が経った被災地の道のりを感じたことと思います。ふんばろう宮城プロジェクトでは「できること」を背伸びせずに続けていこうと思います。(こせきかつや)