ふんばろう宮城プロジェクト

東日本大震災から発足した「ふんばろう東日本支援プロジェクト」公認団体として2013年4月から活動する復興支援プロジェクト

時間的な区切りをすべての被災者へあてはめてはいけない

2015-10-27 20:41:11 | 活動報告
 東日本大震災から4年7ヵ月。
 津波被害を受けて家屋を失った被災者が、仮の住まいとして暮らしてきた応急仮設住宅へ目を向けると、約半数以上が空室という団地も少なくありません。
 現役世代はわが子の住環境を考えて借金をして新居を構えたり、今年度から本格化した復興公営住宅へ移転したり、新たな生活が始まっています。
 これまで毎週末には賑わいを見せていた集会所はガランとして、「みんな引っ越して寂しくなるなぁ」と、一人暮らしのお年寄りがポツリ。高齢者をはじめとする生活弱者が取り残されていく様は、阪神・淡路大震災と同じような状況になっていると感じます。

 「今年は夏祭りやらないのですか?」。石巻市大森地区にある仮設大森第3団地の阿部会長に電話を入れたのは今年6月でした。これまで3度、大森団地の自治会が催す夏祭りをサポートしてきました。
 同市内で最も後発の仮設団地で、入居する被災者もさまざまな地域から移ってきたこともあって、住人同士のコミュニケーションを醸成させることに阿部会長は苦慮されていました。2012年6月に「住民同士がまとまれるような催しを行いたい」と相談を受けて、同年8月に最初の夏祭りの手伝いをさせていただいたのが「つながる」きっかけでした。
 私の問いに阿部会長は「入居者もだいぶ減って、夏祭りを行うのは難しい」と張りのない声で返答されました。大森団地(第1~4)の中でも最多戸数の第3団地(180部屋)も約半数が空室となり、毎週のように来てくれていたボランティアもその回数は縮小の一途を辿っています。
 「やっぱり何もしないのは寂しいという人が多い。秋祭りを開催したいので相談に乗ってくれないか」。急きょ、阿部会長から電話を受けたのは今月初旬のことでした。16日に開かれた実行委員会に参加し、「部屋にこもりっきりの人たちに参加してもらおう」と昼食を用意し、ビンゴゲームやマジックショー、カラオケ大会などのプログラムが決められました。曹洞宗十二教区はカレーライスとたい焼きを、ふんばろう宮城プロジェクト(以下ふんばろう)では仙台風(味噌味)と山形風(醤油味)の芋煮を振舞うことにしました。

 
 ふんばろうからは炊き出しスタッフとして5人(東京から2人)が参加。大鍋(1鍋50人分)の味付けに悪戦苦闘していると自治会のおかぁさんたちが、しっかりサポートしてくれました。
 楽しいひと時も終盤。阿部会長の締めのあいさつでは「こんなに盛りあがって…。来年もやりたいと思います」と心の中にある不安が吹っ切れたような清々しい口調がとても印象的でした。


 来年3月で震災から5年を迎えます。行政機関も仮設住宅の期限設定や統廃合の議論が進められ、多くのメディアからも「ひと区切り」というキーワードがおのずと伝わってきます。でも、その「区切り」とは時間だけのことで、あれだけの災害に見舞われた方々の気持ちの整理はまだついていない。今回の秋祭りに来てくれた方々と話をしてそう思うのです。(こせきかつや)