サイコロジスト101

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100118医療のヘルスプロモーション:自殺防止

2010-01-19 10:51:03 | Weblog
1月18日開講の医療のヘルスプロモーション:自殺防止で使った資料です。

医療者にとって、患者さんに自殺されることほど辛いことはありません。

尊厳死というのも自殺の部類に入るかもしれません。

武士道の精神にのっとって、辱めをうけないよう潔く切腹、自決・自死するという風潮が我が国には少なからずあります。

認知症などで介護に疲れ果てた上での無理心中も自殺です。

自殺は医療にとっては、決して許されるものではありません。美化してはいけません。

ところが自殺者数が減らない。年に3万人を超える状態が1998年から2009年まで12年も続いています。

何とかしなくてはなりません。自殺防止プログラムは医療のヘルスプロモーションの一つの柱でもありませす。

そこで昨日は、健康心理学の授業でも使った資料を再度利用しつつ、より洗練した話を試みました。

自殺の実態を知り、予防できるかもしれない状況を、受講生のみなさんと共有しました。

働く男の人たちが、4-6月の日曜日から月曜日にかけての深夜か早朝自殺を試みることが多いようです。

こうした手がかりだけでなく、サインを送ってくれています。必ず、他の手段があるはずです。

来週は、自殺の前駆症状であるうつ病の実態を知り、うつ病への対処法を学び、うつ病の予防へと話を進めます。

では。2月1日が最終授業です。2月8日は試験です。ノート整理などしておいてください。

2010/01/19・記

研究法資料追加

2010-01-19 10:44:29 | Weblog
1月18日に使用した資料の追加分です。

西宮市内の震災による倒壊家屋が赤く塗ってある地図と、私たちが関わったB小学校の校庭の写真です。

ここに移っているのは、本学名誉教授の服部祥子先生と教頭先生。

校庭内が駐車場と化し、体育館は避難所でした。2月5日の撮影です。

3枚目の写真は私たちの活動の成果。自分を知ろうチェックリストの表紙と、活動報告としてまとめた本です。

「阪神・淡路大震災と子どもの心身」「名古屋大学出版)という本です。

興味あるかたは、ご一読ください。合同研究室にありますよ。

最後の写真は、震災1年後の1996年1月24日に、西宮市の某小学校でおこなった教師およびPTAのためのストレスマネジメント研修の一幕。スウェーデンから来ていただいたエリザベス・ソリン先生が、音楽にあわせてリラクセーションスキットを読んでいるところです。

では。

2010/01/19・記

100118研究法:因果

2010-01-19 10:29:08 | Weblog
心理学研究法受講生のみなさん、あけましておめでとう。

18日も過ぎてからの新年の挨拶で授業は開始しました。

昨日・一昨日のセンター試験を終えたあとなので、私たち教員は総じて疲れが残っていましたが、受講生のみなさんはいたって元気でしたね。

17日が阪神・淡路大震災から15年という伏し目だったので、そのようなムードで授業を組み立てました。

因果がテーマ。

これまでの調査研究のお話では、多くが相関関係を探すアプローチでしたが、これから3回は科学の真髄、因果関係をめぐるアプローチです。

そういうことで、震災などの出来事が原因となって、後々の心身の健康に影響が及ぶというようなお話をしたかったわけです。

阪神・淡路大震災で私たちが関わった事例のお話をさせてもらいました。

西宮市内のある学校3校と、大阪府F市内の学校3校で1995年の3月から1年間にわたって実施した「自分を知ろうチェックリスト」をつかった震災ストレス反応(不安、うつ、混乱、そして愛他)の3回の結果をみてください。

震度7が西宮。震度4がF市。

不安は震度が強い地域ほど強く表れ、半年後には沈静化しているのがわかります。

うつと混乱は、女児でこそ震度の影響がありましたが、男児では差がありません。

いずれの症状も半年後には低下しているのに、1年後に少し増加しているのが気になりました。

これは、記念日効果といって、マスコミの報道が激化して、いやな体験を想い出すのが影響しているといわれています。

不安やうつ、混乱などのストレス症状とちがって、他者への慈しみの気持ち(愛他性)が震度7の地域の子どもたちで増したのは、ボランティアの人々から受けた優しい対応のおかげでしょうね。

震災でけがをしたこどもは、けがをしなかったこともたちよりも不安症状は強く出ていましたが、うつや混乱はそれほどでもありません。

どうも、震災による直接被害だけではなく、生活全般への影響が震災ストレスに影響しているようですね。

震災直後は、ASD(急性ストレス障害)と定義されている症状が多くの人たちにみられます。

通常1月もすると落ち着いてくるのですが、症状が残ったり、増ます人もいます。

こういうケースはPTSD(外傷後ストレス障害)という心の病と診断されます。

ASDからPTSDに移行しないように、早期のケアが必要であることが私たちの活動からわかりました。

来週はそのような話から、実験計画法というテーマでお話する予定です。

では、試験勉強ぼちぼちしておいてください。

2010/01/19・記