少数派シリーズ/社会の弱者・人権
伊藤詩織さん性暴力訴訟で最高裁判決勝訴、レイプ被害認定も司法への課題山積
■被害後7年、裁判でも5年を要し長かったがやっと伊藤詩織さんが勝訴を得た
ジャーナリストの伊藤詩織さんが、性的暴行を受けたとして元TBS記者の山口敬之(のりゆき)に損害賠償を求めた上告審で、最高裁は7月、「性行為に同意がなかった」とし山口の上告を棄却する決定をしました。被害から7年、裁判でも5年を要し、非常に長かったが伊藤詩織さんが勝訴を得ました。状況をお伝えする前に、投稿者からのお詫びと釈明を。事件発覚後から気に掛かり、あるいは3年ほど前から詳細を投稿したいと考え、新聞を保管していました。しかし何分にも裁判の途中、また性暴力というデリカシーな問題も引っ掛かり、今まで躊躇しておりました。今思えば、あまりにも酷いネトウヨどもの誹謗中傷に対し、批判する投稿ぐらいは実行するべきだったと反省しております。そこで、当時書こうとしていた下書きや、今まで溜め込んでいた新聞記事などを編集して、現在に至るまでの多くの経過を数回に渡り連載して参ります。山口やネトウヨの悪質性、なぜ裁判が長引いたのかの裏側、“セカンドレイプ”と言われる被害を受けた側が誹謗される、日本社会の右翼思想を徐々に明らかにしていきます。
■顔を公にして闘った5年に及ぶ訴訟に「後悔はない」と時折声を詰まらせながら語る
ここからはいくつかの新聞やネット記事を羅列します/元TBS記者の山口敬之氏(56)による性暴力被害を認定した判決の確定を受け、ジャーナリストの伊藤詩織さん(33)が7月20日、東京都内で弁護団と記者会見を開いた。伊藤さんは「一つの区切り。当事者としての声を発信するのはこれきりにし、報道の仕事に専念したい」と語り、顔と氏名を公にして闘った約5年に及ぶ訴訟に「後悔はない」と時折声を詰まらせながら語った。1、2審判決によると、伊藤さんは2015年、就職先の紹介を受けるため山口氏と会食した後、深酔い状態となり、自力でタクシーから降りられず2人でホテルに入った。山口氏は意識を失った伊藤さんと性行為をし、伊藤さんはその後、病院に駆け込み警察や友人に相談した。
伊藤さんは2017年、山口氏に約1100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。性行為を巡る同意の有無が争点となった。最高裁第1小法廷は7月7日付で山口氏側の上告を棄却する決定を出し、「同意がなかった」として山口氏に約332万円の賠償を命じた2審・東京高裁判決が確定した。伊藤さんは会見で「公に自分の性被害を語ることは家族からも反対され、いろいろな溝が周囲とできたこともあった」と振り返り、「一緒に声を上げてくださった方がいたことは、私が生きていく中で大きな支えになる」と感謝した。
■性犯罪取り締まり強化への道は「これからの司法に課された課題」
被害から7年。「(訴訟を担当した西広陽子弁護士に)初めて相談したのが25歳で、今は33歳。『これがやりたい』『あれがやりたい』とリストを作って、やりたいことがたくさんあって……その中で出会った人もいて、学んだことが多く、後悔はない」と語った。この一件を巡っては、東京地検が16年、準強姦(ごうかん)容疑で書類送検された山口氏を容疑不十分で不起訴処分とし、検察審査会も17年に不起訴相当と議決している。伊藤さんは「日本の刑法では同意のない性交はレイプではないということにすごく問題を感じ、変えてほしいと思った」と被害公表時の心境を説明した。
一方で、賠償額では弁護士費用や医療費もカバーできず、「あまりにも負担が大きかった」と語った。西広弁護士も「訴訟がこれだけ継続すると、被害者は精神的、経済的に負担を強いられる」と指摘した。伊藤さんは雑誌や著書で「山口氏から薬(デートレイプドラッグ)を飲まされた」などと主張していたが、東京高裁は「薬を飲ませたと認める的確な証拠はない」とし、反訴した山口氏に対する名誉毀損(きそん)の成立を認め、伊藤さんに55万円の支払いを命じた2審判決も確定した。伊藤さんは「話してはいけないこととして自分の被害がとらえられた。今後どう自分の被害を語っていけばいいのか。最高裁の決定も一つの判断だが、これが全て今の社会で進むべき方向を示しているものではないと思う」と指摘し、山口元一弁護士も「これからの司法に課された課題」とした。
■再び投稿者の文書|安倍氏に近い人物が事件を起こし安倍氏を忖度する役人が庇う
伊藤さんにとって、この7年がどれだけ長く、どれほどつらかったことか。記者会見ではそれを押し殺していたことも分かり、勝訴し「後悔はない」と言うものの心の中は大変な悔しさがあったろうに、それまでのことが彼女を強くさせたと思います。次号以降、①7年間の経過説明、②伊藤さんの訴訟や活動を妨害しセカンドレイプと言われる右翼層やネトウヨの誹謗中傷の実態、③安倍元首相の威を借る自民党右翼議員や忖度官僚の醜い姿、④レイプ被害を受けた女性側に瑕疵(かし)があるとする一部の日本人の風潮を、当然のごとく浮き彫りにしていきます。またこれをきっかけと言っては失礼ながら、⑤泣き寝入りしない女性の動きが出ている、⑥遅れ馳せながら多少とも、性被害・性犯罪取り締まりの法律強化の気運が高まっている~などを順次、お伝えしたいと存じます。
次号以降で説明しますが、政治的悪質性やこれほどまでに裁判が滞った背景を少しだけ挙げておきます。全て、遠くに安倍元首相の姿が見えてきます。加害者の山口敬之は、安倍氏と親しいことで有名な人物です。警察は、帰国する山口の逮捕状を用意して成田空港で待機していました。しかし警察幹部が忖度し、直前に取り止めを指示し逮捕は執行されませんでした。当時、逮捕中止を命じたのが、過日、安倍氏銃撃の責任を取って辞任した、極めて安倍氏と近いとされる検察庁の中村格(いたる)長官でした。なんと皮肉なことでしょうか。さらには伊藤さんを誹謗中傷するSNS投稿に異常なまでの「いいね」を押し、東京地裁判決で55万円の損害賠償を命じられたのが、女性蔑視発言を繰り返す自民党極右思想の杉田水脈(みお)議員です。杉田氏は過去、落選続きにも関わらず、安倍氏の強いコールで地元の反対を押し切り、中国比例代表の上位にランク付けされ当選した、言わば安倍氏の“子飼い”なのです。今後、それらを順不同で連載します。
次号/②伊藤詩織さんを中傷したサイトに「いいね」繰り返した自民党杉田議員に賠償命令
伊藤詩織さん性暴力訴訟で最高裁判決勝訴、レイプ被害認定も司法への課題山積
■被害後7年、裁判でも5年を要し長かったがやっと伊藤詩織さんが勝訴を得た
ジャーナリストの伊藤詩織さんが、性的暴行を受けたとして元TBS記者の山口敬之(のりゆき)に損害賠償を求めた上告審で、最高裁は7月、「性行為に同意がなかった」とし山口の上告を棄却する決定をしました。被害から7年、裁判でも5年を要し、非常に長かったが伊藤詩織さんが勝訴を得ました。状況をお伝えする前に、投稿者からのお詫びと釈明を。事件発覚後から気に掛かり、あるいは3年ほど前から詳細を投稿したいと考え、新聞を保管していました。しかし何分にも裁判の途中、また性暴力というデリカシーな問題も引っ掛かり、今まで躊躇しておりました。今思えば、あまりにも酷いネトウヨどもの誹謗中傷に対し、批判する投稿ぐらいは実行するべきだったと反省しております。そこで、当時書こうとしていた下書きや、今まで溜め込んでいた新聞記事などを編集して、現在に至るまでの多くの経過を数回に渡り連載して参ります。山口やネトウヨの悪質性、なぜ裁判が長引いたのかの裏側、“セカンドレイプ”と言われる被害を受けた側が誹謗される、日本社会の右翼思想を徐々に明らかにしていきます。
■顔を公にして闘った5年に及ぶ訴訟に「後悔はない」と時折声を詰まらせながら語る
ここからはいくつかの新聞やネット記事を羅列します/元TBS記者の山口敬之氏(56)による性暴力被害を認定した判決の確定を受け、ジャーナリストの伊藤詩織さん(33)が7月20日、東京都内で弁護団と記者会見を開いた。伊藤さんは「一つの区切り。当事者としての声を発信するのはこれきりにし、報道の仕事に専念したい」と語り、顔と氏名を公にして闘った約5年に及ぶ訴訟に「後悔はない」と時折声を詰まらせながら語った。1、2審判決によると、伊藤さんは2015年、就職先の紹介を受けるため山口氏と会食した後、深酔い状態となり、自力でタクシーから降りられず2人でホテルに入った。山口氏は意識を失った伊藤さんと性行為をし、伊藤さんはその後、病院に駆け込み警察や友人に相談した。
伊藤さんは2017年、山口氏に約1100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。性行為を巡る同意の有無が争点となった。最高裁第1小法廷は7月7日付で山口氏側の上告を棄却する決定を出し、「同意がなかった」として山口氏に約332万円の賠償を命じた2審・東京高裁判決が確定した。伊藤さんは会見で「公に自分の性被害を語ることは家族からも反対され、いろいろな溝が周囲とできたこともあった」と振り返り、「一緒に声を上げてくださった方がいたことは、私が生きていく中で大きな支えになる」と感謝した。
■性犯罪取り締まり強化への道は「これからの司法に課された課題」
被害から7年。「(訴訟を担当した西広陽子弁護士に)初めて相談したのが25歳で、今は33歳。『これがやりたい』『あれがやりたい』とリストを作って、やりたいことがたくさんあって……その中で出会った人もいて、学んだことが多く、後悔はない」と語った。この一件を巡っては、東京地検が16年、準強姦(ごうかん)容疑で書類送検された山口氏を容疑不十分で不起訴処分とし、検察審査会も17年に不起訴相当と議決している。伊藤さんは「日本の刑法では同意のない性交はレイプではないということにすごく問題を感じ、変えてほしいと思った」と被害公表時の心境を説明した。
一方で、賠償額では弁護士費用や医療費もカバーできず、「あまりにも負担が大きかった」と語った。西広弁護士も「訴訟がこれだけ継続すると、被害者は精神的、経済的に負担を強いられる」と指摘した。伊藤さんは雑誌や著書で「山口氏から薬(デートレイプドラッグ)を飲まされた」などと主張していたが、東京高裁は「薬を飲ませたと認める的確な証拠はない」とし、反訴した山口氏に対する名誉毀損(きそん)の成立を認め、伊藤さんに55万円の支払いを命じた2審判決も確定した。伊藤さんは「話してはいけないこととして自分の被害がとらえられた。今後どう自分の被害を語っていけばいいのか。最高裁の決定も一つの判断だが、これが全て今の社会で進むべき方向を示しているものではないと思う」と指摘し、山口元一弁護士も「これからの司法に課された課題」とした。
■再び投稿者の文書|安倍氏に近い人物が事件を起こし安倍氏を忖度する役人が庇う
伊藤さんにとって、この7年がどれだけ長く、どれほどつらかったことか。記者会見ではそれを押し殺していたことも分かり、勝訴し「後悔はない」と言うものの心の中は大変な悔しさがあったろうに、それまでのことが彼女を強くさせたと思います。次号以降、①7年間の経過説明、②伊藤さんの訴訟や活動を妨害しセカンドレイプと言われる右翼層やネトウヨの誹謗中傷の実態、③安倍元首相の威を借る自民党右翼議員や忖度官僚の醜い姿、④レイプ被害を受けた女性側に瑕疵(かし)があるとする一部の日本人の風潮を、当然のごとく浮き彫りにしていきます。またこれをきっかけと言っては失礼ながら、⑤泣き寝入りしない女性の動きが出ている、⑥遅れ馳せながら多少とも、性被害・性犯罪取り締まりの法律強化の気運が高まっている~などを順次、お伝えしたいと存じます。
次号以降で説明しますが、政治的悪質性やこれほどまでに裁判が滞った背景を少しだけ挙げておきます。全て、遠くに安倍元首相の姿が見えてきます。加害者の山口敬之は、安倍氏と親しいことで有名な人物です。警察は、帰国する山口の逮捕状を用意して成田空港で待機していました。しかし警察幹部が忖度し、直前に取り止めを指示し逮捕は執行されませんでした。当時、逮捕中止を命じたのが、過日、安倍氏銃撃の責任を取って辞任した、極めて安倍氏と近いとされる検察庁の中村格(いたる)長官でした。なんと皮肉なことでしょうか。さらには伊藤さんを誹謗中傷するSNS投稿に異常なまでの「いいね」を押し、東京地裁判決で55万円の損害賠償を命じられたのが、女性蔑視発言を繰り返す自民党極右思想の杉田水脈(みお)議員です。杉田氏は過去、落選続きにも関わらず、安倍氏の強いコールで地元の反対を押し切り、中国比例代表の上位にランク付けされ当選した、言わば安倍氏の“子飼い”なのです。今後、それらを順不同で連載します。
次号/②伊藤詩織さんを中傷したサイトに「いいね」繰り返した自民党杉田議員に賠償命令