回転寿司の雲丹は２０ｃｍもの別種のアカウニやアメリカオオキタムラサキウニ／回転寿司・偽装魚の実態

偽装魚の実態シリーズ　他魚介類の偽装　雲丹（うに）
偽装魚介類名　アカウニ・アメリカオオキタムラサキウニ
回転寿司の雲丹は２０ｃｍもの別種のアカウニやアメリカオオキタムラサキウニ
味が劣るチリ産雲丹や卵巣部位でなく着色した精巣も出される



■別種の雲丹やチリ・ロシア産の質の悪い雲丹だけが回転寿司に流れる
回転寿司で使われる雲丹は、３つの問題があります。１つ目は国産のバフンウニ・ムラサキウニではなく、別種の北米産アカウニやアメリカオオキタムラサキウニです。北米太平洋岸で獲れる雲丹で、国産のバフンウニの３倍もある２０ｃｍ弱の“バケモノウニ”です。

雲丹は卵巣部分を使うので、軍艦巻きにすると一般寿司店では国産の２ｃｍ程度の小振りな卵巣を７・８個乗せます。しかし回転寿司店の軍艦巻きをよく見ると、北米産の雲丹なので卵巣が７ｃｍ以上もあり、“卵巣１パーツ”で十分足りるほどの大きさです。褐色が薄く、味わいは淡泊なものです。あるいは、美味しくない南米チリ産や質の悪いロシア産が多く使われます。

チリと雲丹がなかなか結びつかないと思いますが、チリは水産品の輸出国です。日本が輸入する雲丹は、ロシアに次いで第２位です。国内水産品輸入額全体では、チリは中国・米国・ロシア・タイに次いで第５位なのです。

鮭（さけ）の輸入に至っては、堂々の１位です（ノルウェーからと思っている方が多い）。またロシアからの輸入といっても、元々は千島４島の海は日本の領海なので“国産”ですが…。それはともかく水産管理の悪いものや質が劣る雲丹だけが、回転寿司で使われる訳です。

■質の悪い雲丹の精巣を黄色く着色して新鮮に見せ掛ける
雲丹は一般的にメスの卵巣を使いますが、２つ目の問題は激安店では安いオスの精巣に黄色く着色したものです。質の悪い雲丹は、水産加工業者が美味しく見せるために着色するのです。有害な着色料を使うなど、論外です。そうした雲丹が、回転寿司店に集中して出されます。

３つ目は、雲丹は身崩れ（溶け出す）や色落ちを防ぐために、明礬（みょうばん）に漬け込まれます。雲丹が嫌いな人の声を聞くと、苦いことを理由にします。明礬の苦味が、イコール雲丹の味と思われている方が多いのです。明礬の量と漬け込む時間で、苦味の強弱が決まります。

そういえば、昔、北海道へ家族旅行で行った折り、礼文島の獲れ立てに近い雲丹の甘さに感激しました。当時小さかった子供も喜んで食べたのですが、後日、東京に戻って食べた雲丹の苦さに吐き出し、「これは雲丹じゃない」と泣いたのを思い出しました。チリ産などは質が悪いため、当然何倍もの明礬が使われるのです。

なお回転寿司の雲丹は、底に胡瓜（きゅうり）を敷いてあります。店は食感を良くし、シャリに染みないためと言い訳します。所詮、嵩稼ぎ（底上げ）であり、またすぐに溶け出すような質の悪い・古くなった“プッチンプリン雲丹”は、食べたくないものです。

■本物・雲丹のミニ情報／海胆は自由に海の中を動けます
海胆は、ムラサキウニ・エゾバフンウニ・バフンウニが代表されます。北海道から東北に生息し、水深３５ｍぐらいまでの岩礁や転石地帯（川などから運ばれてきた大きな石や岩）にいます。バフンウニは、冬から初春が旬です。肌色・黄色・褐色など、色はそれぞれ海胆の個体ごとに違います。ムラサキウニは名前のように紫がかった黒い殻で、生殖巣の色はバフンウニよりオレンジがかった褐色をしています。

なお海胆は、一生同じ所でゴロゴロしているように思いがちです。しかし実は棘（とげ）と棘の付根に、沢山の糸状の管足（かんそく）と呼ばれる吸盤があり、それで動いたり岩に張り付きます。海胆を上から見ると、上に肛門・下が口です。中心から５つの生殖巣（メスは卵巣・オスは精巣）と内臓器官が放射状に交互に並んでいます。

ウニの言葉は、「海胆」（海栗）は海に生息している状態に使います。食用に使われるために取り出した生殖巣を「雲丹」と言い、言わば戒名のようなものです（笑）。「卵・玉子」の使い方と同じです。


回転寿司店を始め激安居酒屋・弁当チェーン・ファストフード店・惣菜店など
の安さの秘密は、こういう魚やネタを使っているからです。
偽装魚とは、本物魚の味や食感に似た外国の別種魚や深海魚のことです。