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21年東京五輪猛暑調査B◇五輪マラソン会場を札幌に移転したことで批判を浴びたが間違いではなかった/東京五輪の危うさR8-13

2021年09月23日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.121
ROUND8 コロナ禍・猛暑下の東京五輪開催の過ち検証編 13
2021年東京五輪開催期間中の最高気温・暑さ指数調査B (札幌会場|男子マラソン・女子マラソン)
五輪マラソン会場を札幌に移転したことで批判を浴びたが間違いではなかった
それでも男子選手のレース途中棄権は過去の大会より飛び抜けて多い28%

1394764 Sindg8olmb 札幌の街並み

※東京五輪閉幕後、投稿まで時間を要してしまいました。

■2013年からマラソン日午前中の札幌と東京の温度・暑さ指数をプロットし続けた
前号のように2013年から21年まで、東京オリンピック期間中の7月24日から8月9日までの17日間(延期後は7/23~8/8)の最高気温・湿度・暑さ指数など、気象庁と暑さ指数は環境省データをプロットして参りました。もう1つ計測し続けたのが、男子・女子マラソン当日の気象変化です。過酷な猛暑・炎天下で行う大会方針に抗議する意味もあって、招致が決まった2013年(気象データは2010年)から21年に至るまで、レース日の午前6~10時までの気温・湿度・暑さ指数の変化を、1時間単位で示したのが[表B]です。投稿者は東京の猛暑下のマラソンは狂気の沙汰と思い、当初から独自に札幌または長野へレース会場を移転すべきとブログ主張、毎年、東京・札幌・長野の3都市の当日午前中の気温などの比較を行ってきました。19年11月秋、私の願いが届いたかのように、突如、IOCによって札幌移転が正式決定しました。そこで19年-21年の3年間は、「札幌」と参考までに東京の気温等の計測比較を再編集しました。

■2019-21年札幌と東京のレース環境は大きく違うことをあらためて確認・合点した
札幌に変更された当時、選手を始め大会組織委員会やメディアはあれこれと理由を付けて反対しました。しかし投稿者は12年間、札幌・長野と東京の午前中の温度や湿度の相違を計測していたので、一人、当然の結果としておりました。なお計測対象日は、19年=当初の女子マラソン8/2・男子マラソン8/9、20年=レース日が変更されたので同8/8・8/9、21年=暦の関係で同8/7・8/8を計測し、[表B]にしました。
※2010-18年までのデータは計測済でしたが、今回の作表は割愛しました。

■2019年・20年・21年気象調査の結果と投稿者の評価
19年の気象状況 = 前号の通りマラソンに限らず、東京における大会17日間の最高気温の平均は、計測してきた12年間のうち2番目でした。もし札幌に移転せず、最悪だったこの年の東京の気象条件だったら、男子マラソンが午前6時にスタートとしても気温27.5℃・湿度86%、8時同30.5℃・75%です。早朝から異常な高温・湿度下、棄権・脱落者多数の”地獄絵”状態でレースが成り立たなかったと推察します。19年の札幌の気象条件なら、21年より良いコンディションでした。
20年の気象状況 = 本来の開催年であったこの年の大会期間中は例年より低く、さらに札幌はその東京よりも10℃前後も低い結果が出ました。一番、札幌と東京の相違、マラソン会場を移転したメリットがハッキリした年でした。比較的コンディションが良い状態でしたが、残念ながらの延期でした。
21年気象状況 = 男女とも札幌と東京では気象の差がなくなり、特に男子マラソン日の気温・暑さ指数は、一部逆転し東京より札幌のほうが高かったようです。理由は東京が25℃前後と、異例の“涼しさ”だったからです。その要因は、8月8日の東京は台風が接近しその前触れとして未明から暴風雨の大荒れでした。もし東京がレース会場だったら、競技最終日だけに順延できず中止に追い込まれていた可能性があります。
札幌移転に対し投稿者の評価
ご覧になれば一目瞭然で、各年、男女レース日は概ね札幌のほうが気温が数度低いことが分かります。湿度も低いことから「暑さ指数」も大きく異なります。たまたま21年は、一部、東京より札幌のほうが暑い逆転現象が起こりました。だからと言って東京でやるべきだったとするのは筋違いです。上記3年間(正しくは12年間)の計測から、最悪を予想して厳しい東京を避けた予防策は当然で、それらを鑑み札幌移転は間違いなかったと投稿者は判断します。組織委こそこうした分析をして、バッハ会長に言われる前に「最良の地」のレース場を模索、積極的に行動すべきだっと感じます。

■表B/直近3年間のマラソンレース日の札幌・東京の気温比較 =======
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■女子マラソンは前夜に突然スタート時間を変更する大失態・既に一部選手は寝ていた
先程、マラソンのレース会場を札幌に移して間違いなかったと申し上げました。しかし札幌とは言え真夏であり、マラソンを行うのは、当然、過酷な条件でした。女子マラソン日の2週間前から、東京並みの30~35℃の日が続きました。そのため急遽、スタート時間を当初の午前7時から6時に繰り上げたのです。驚いたことに、選手への変更連絡は「前夜」でした。8位入賞した一山真緒選手は、翌日のレースに備え午後7時の段階で既に就寝していましたが、スタッフのノックで起こされ変更を知らされたそうです。気の毒にも、寝付けぬまま朝を迎えました。マラソン選手に限らず、スタート時間から逆算し、就寝や起床・食事時間を決めます。この突然の時間変更は選手だけではなく、スタッフ・ボランティア・警備、中継や取材するメディアにも多大な影響を及ぼしたのです。常に組織委員会は最悪のことを想定しておくべきだったのが、案の定、対応が甘くそして遅いため、このような事態になったのです。

■男子マラソンの途中棄権者が過去の大会より断トツ・真夏にマラソンをすべきではない
男子のレースでも、途中棄権者が過去の大会より断トツだったことです。ゴール後に、嘔吐する選手も多かったと聞きます。106人のうち30人が棄権、ほぼ3人に1人の28.3%に当たります。暑いとされたアテネや北京でさえ、棄権者の割合は19.8%・20.0%(リオは9.8%)です。女子は88人中15人が棄権、17.0%でした。誤解なきよう申し上げれば、札幌も相当暑かったのですが、東京でやるよりよっぽど良かったと評価します。猛暑の札幌でも、気温以外にも恵まれたコース条件があったと判断します。もし移転せず高温多湿の東京のままで、19年のような午前中に30℃を大幅に超えた場合、さらにコロナ禍ではなくコースの銀座・浅草などでは150万人・200万人の観客が出る最悪の場合はどうなるか?専門家の見方は、コースは日射・アスファルト熱・人いきれなどで多くの選手や観客が熱中症でバタバタと倒れ、最悪、大勢の方が死亡すると予測していました。皮肉にも、コロナ禍と札幌移転で防ぐことができたのです。従って札幌移転は評判悪いIOCの決定ですが、間違ってはいなかったと考えます。

思い起こせば、IOCが東京でのマラソン・競歩に危機感を持ったのは、19年9~10月、カタールのドーハで開催された世界陸上です。暑さ対策でマラソンと競歩を真夜中に行ったにも関わらず、女子マラソンは気温32度、湿度74%の環境、68人中28人と4割以上が途中棄権しました。男子50km競歩でも4割が棄権、有力選手を始め多くの選手が路上で横たわる・嘔吐・担架で運ばれる映像が世界中に流れました。皆様も、中継やニュースをご覧になったかもしれません。言わば“ドーハの悲劇”を見せつけられたIOCバッハ会長は、有無を言わせぬ強硬な態度に変わったのです。バッハ会長の指示に、組織委や日本国民はカチンときたようです。しかし投稿者としては、むしろ「地元」であるべき組織委や国民(都民)こそ、東京の暑さを鑑み、選手のために東京以外の気象コンディションの良い地域を模索すべきだったのです。札幌と言わずに、長野でも(今や長野も暑いが)。ROUND5/猛暑マラソン編や当カテゴリ全編を通して申し上げた通り、東京でも札幌でも真夏にマラソンを行うことは狂気の沙汰です。もっと言えば、世界のどこの都市でも、『真夏のオリンピック』は避けるべきです。

Sankoub
「暑さ指数」(WBGT)の説明
環境省・熱中症予防情報サイト[暑さ指数に関するサイト]
19年猛暑調査・東京五輪の過酷さ2◇狂気の沙汰!マラソン選手が熱中症で倒れる恐れ
次号/インパルス機パラ開会式飛行帰りに「スモーク」を地上30mで噴射・車800台に付着被害
前号/21年東京五輪猛暑調査A◇最高気温の平均は32.7℃・35℃を上回る日はなかった

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