少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.29
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 5
ザハ案の新国立競技場の開閉屋根は東京オリンピックに間に合わず大会後に建設
東京オリンピック大会記念切手のご案内・日本武道館 1964年発行
ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年5月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。
東京オリンピック開閉会式やメイン競技が行われる、ザハ案による新国立競技場。その自動開閉式屋根が、費用や工期の関係からオリンピック大会時までに設置できないことが発表されました。お粗末なことに、競技場のウリだった開閉式屋根は大会終了後の2020年以降に設置するそうです(嘲笑)。かねてからオリンピック計画そのもの、新国立競技場を始めとする会場全般について、杜撰過ぎると申し上げてきました。いやはやその見込みの甘さ、いい加減さに呆れるばかりです。何やってんだ!と、言いたいぐらいです。こんなことでは、大会が成功するか疑問に思えてきました。
また15,000席収容・電動可動式の迫り出す観客席も取り止め、仮設に変更されます。大会時は8万人規模ですが、終了後は仮設席を取り外し常設は6.5万人に縮小されます。当初予算は1,300億円としていましたが、建設資材や人件費の高騰どころではなく、このままではべらぼうな金額が掛かることが判明したからです。完成は、2019年9月のラグビー・ワールドカップに間に合わせるとしていました。しかし新国立競技場の極めて特殊なデザインによる建設や当初計画では長期に渡ることから、2019年春までに屋根を含めた全体完成は不可能とされたことが、計画縮小の主原因です。
以前から建築家は、工期が間に合わないことを指摘していました。全国にある競技場の建設は、長年のノウハウが蓄積しており、一定期間、そこそこの予算で可能です。しかしデザイン性に基づく建設の困難さ、あれほど大規模な開閉式屋根の工法技術はまだ確立していないのです。設計・建設以前の問題として、様々な強度実験や試作を繰り返さなければなりません。細かい部品を、一から開発することもあり得ます。また8月の猛暑中、グランド面積に匹敵するほど天井が大きく開いた建築構造だけに、冷房の冷気が逃げてしまい、風通しも悪いため選手・観客の熱中症が心配されます。
建設業界では今回の縮小案でも、競技場本体の完成がラグビーW杯さえ間に合わない声が出ています。オリンピック招致成功に浮かれ、ろくに技術検証もせず、また当初予算の大盤振舞など、計画や予算の甘さのツケが回ってきたようです。日本人の性格から見て、オリンピックが終われば熱気が冷め、その後に莫大な金が掛かる開閉式屋根を作る機運があるか疑問です。さらには大会後も維持費は毎年46億円も掛かり、許される背景があるとも思えません。開催各国のすう勢は、大会後は競技場を市民が使えるように改築小型化します。日本は、呆れたことに逆なのですね。
旧・国立競技場は既に解体されてしまいましたが、建築家は取り壊し以前から既存の国立競技場を補修・増築すれば、1,625億円の半分から1/3でできるとしていました。さすが建築家は、浮かれることなく現実を見ています。1964年の大会は、日本人の生真面目さによって世界が驚くほど完璧に大会を成し遂げました。しかし安倍首相の前ノメリ・上っ調子、無節操ぶりと同じことがオリンピック計画にも言えます。首相が言う「国家プロジェクト」でも、こんなことでは『大失敗』する恐れもあります。
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 5
ザハ案の新国立競技場の開閉屋根は東京オリンピックに間に合わず大会後に建設
東京オリンピック大会記念切手のご案内・日本武道館 1964年発行
ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年5月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。
東京オリンピック開閉会式やメイン競技が行われる、ザハ案による新国立競技場。その自動開閉式屋根が、費用や工期の関係からオリンピック大会時までに設置できないことが発表されました。お粗末なことに、競技場のウリだった開閉式屋根は大会終了後の2020年以降に設置するそうです(嘲笑)。かねてからオリンピック計画そのもの、新国立競技場を始めとする会場全般について、杜撰過ぎると申し上げてきました。いやはやその見込みの甘さ、いい加減さに呆れるばかりです。何やってんだ!と、言いたいぐらいです。こんなことでは、大会が成功するか疑問に思えてきました。
また15,000席収容・電動可動式の迫り出す観客席も取り止め、仮設に変更されます。大会時は8万人規模ですが、終了後は仮設席を取り外し常設は6.5万人に縮小されます。当初予算は1,300億円としていましたが、建設資材や人件費の高騰どころではなく、このままではべらぼうな金額が掛かることが判明したからです。完成は、2019年9月のラグビー・ワールドカップに間に合わせるとしていました。しかし新国立競技場の極めて特殊なデザインによる建設や当初計画では長期に渡ることから、2019年春までに屋根を含めた全体完成は不可能とされたことが、計画縮小の主原因です。
以前から建築家は、工期が間に合わないことを指摘していました。全国にある競技場の建設は、長年のノウハウが蓄積しており、一定期間、そこそこの予算で可能です。しかしデザイン性に基づく建設の困難さ、あれほど大規模な開閉式屋根の工法技術はまだ確立していないのです。設計・建設以前の問題として、様々な強度実験や試作を繰り返さなければなりません。細かい部品を、一から開発することもあり得ます。また8月の猛暑中、グランド面積に匹敵するほど天井が大きく開いた建築構造だけに、冷房の冷気が逃げてしまい、風通しも悪いため選手・観客の熱中症が心配されます。
建設業界では今回の縮小案でも、競技場本体の完成がラグビーW杯さえ間に合わない声が出ています。オリンピック招致成功に浮かれ、ろくに技術検証もせず、また当初予算の大盤振舞など、計画や予算の甘さのツケが回ってきたようです。日本人の性格から見て、オリンピックが終われば熱気が冷め、その後に莫大な金が掛かる開閉式屋根を作る機運があるか疑問です。さらには大会後も維持費は毎年46億円も掛かり、許される背景があるとも思えません。開催各国のすう勢は、大会後は競技場を市民が使えるように改築小型化します。日本は、呆れたことに逆なのですね。
旧・国立競技場は既に解体されてしまいましたが、建築家は取り壊し以前から既存の国立競技場を補修・増築すれば、1,625億円の半分から1/3でできるとしていました。さすが建築家は、浮かれることなく現実を見ています。1964年の大会は、日本人の生真面目さによって世界が驚くほど完璧に大会を成し遂げました。しかし安倍首相の前ノメリ・上っ調子、無節操ぶりと同じことがオリンピック計画にも言えます。首相が言う「国家プロジェクト」でも、こんなことでは『大失敗』する恐れもあります。