家庭用品の危険シリーズ ■ワンプッシュ式蚊取り/寝室
ワンプッシュ式蚊取りを自分の顔に噴射してしまう事故が相次ぐ
噴射ボタンが分かりにくく被害の7割が子供のいたずらや誤操作
ワンプッシュ式蚊取りや電子蚊取りは渦巻蚊取り線香と比べ人間
へのダメージは格段の差があることを知っておきましょう
■自分の顔に噴射してしまうと火傷のような痛みが伴う
スプレーを1回噴射しただけで、部屋の蚊を長時間駆除できる置き型の「ワンプッシュ式蚊取り」の製品が、多く出回っています。しかし誤って、自分の顔に噴射してしまう事故が相次いでいるのです。事故の7割が、面白半分の子供のいたずらや誤噴射でした。顔に掛かると火傷のような痛みが伴い、アレルギー反応で腫れる子供もいたそうです。国民生活センターは、子供の手が届かない所に置くなどの注意を呼び掛けるともに、メーカーに対策を求めています。
ワンプッシュ式蚊取り製品の中には、置き台に「PUSH」の表示もなく、一見、押しボタンも分かりにくい。噴射口から斜め上に縦(高さ)方向の100~110cm、横(左右)方向に60~70cmに渡り、薬剤が噴射・飛び散ります。全ての製品に、噴射方向の注意表示がありません。スプレーのように、自分で持って真横に吹き掛ける方法ではないので、うっかりすると、大人でも自分の側(顔)に噴射させてしまう構造欠陥(設計不良)が見受けられます。
当シリーズでよく書くのですが、子供は珍しいことや面白いことに飛びつきます。他の製品でも、子供が誤って使ったら大変なことになる設計が罷り通っています。前号のジェルボールの誤飲、ロック機能なしの使い捨てライターの子供焼死、過去にはこんにゃくゼリーなどです。いつでも子供が死亡したり、事故が多発してから、メーカーは改善策に乗り出します。日本の政治も経営者も、「危険(リスク)」に伴う事前対策・思考力(予測能力)がなさ過ぎます。
■ピレスロイド系殺虫剤で充満された部屋に今夜も寝るのですか?
この製品はピレスロイド系の殺虫剤であり、噴射して揮発させることによって、各メーカーとも、ワンプッシュで8畳の部屋を約12時間程度、効き目をもたらすと言います。ピレスロイドとは神経毒の一種で、昆虫が触れるとショックを起こして動けなくなるものです。CMコピーのように、蚊を殺したり、半日も蚊から逃れられると喜んでいる場合ではないのです。
「電子蚊取り」の原理と全く同じで、締め切った部屋で長時間(長期間)に大量に吸い込むと、神経が蝕まれます。一晩中、高濃度のピレスロイド系殺虫剤で汚染され続けるのです。目・鼻・のどを刺激したり、頭痛・めまいや胸のむかつき・嘔吐などを引き起こします。アレルギー反応が出る人もあり、もし大量に吸うと意識混濁や全身けいれんなどの恐ろしい症状を引き起こす恐れがあります。
揮発して見えないだけに、使う人は危機感を持ちません。簡単に言えば、蚊が死んだり動けなくなるほどピレスロイド系殺虫剤で充満された部屋に、いっしょにあなたもいるのです。蚊と人間は違うと言うかも知れませんが、蚊は1回で死んでも、あなたは夏の間(最近は暑いため、梅雨の頃から秋まで使う人がいる)、毎日・毎晩、そんな部屋で住み続ければ、そのうちあなたにも“効果?”が表われます。
あなたの部屋だけではなく、家中がピレスロイド系殺虫剤で汚染されているかも知れません。特に小さな子供がいる方は、要注意です。こんな製品を使うより、近所の蚊の発生源を断ったり、しっかり網戸を閉めるなどして、こうしたピレスロイド系、あるいは殺虫剤を極力使わない環境にしましょう。仕組みと危険性を知って、ご自分やご家族を守って下さい。
■■危険への対策■■
ワンプッシュ式蚊取りは、誤噴射防止ロックを掛けるか、子供の手が届かない場所に置くこと
です。
こんな製品を使わず、網戸をしっかり閉めて室内に蚊の侵入を防ぐことです。
電子蚊取りは寝ながら知らない間に毒物を吸い込む
玄関先やベランダに吊るす空間用虫除け剤は全く蚊や蝿に効かないことが判明